監査役BLOG

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将来予測

いろいろな業界の人と将来予測を話題にすることがあります。 銀行員と金利予測の話をした時、『ずーっと低下してゆくよ、だから固定金利より変動金利にしたほうが有利だと思うよ』これは耳寄りな話を聞いたと思いました。 私は返済期間10年以上の借り入れをしており、変動リスクを避けるため変動金利より高い固定金利で借りていました。 『ところでその予測はいつまでの予測?』、『半年先だよ』と平然と言われました。

プライベートの発言として金利予測を話題にしてくれましたが、オフィシャルに金利予測を銀行員が軽々しくいうことはありません。 それほど予測が困難なのかもしれませんし、いうべきではないとの不文律があるのかもしれません。

不動産業の人はもう少し長期の視点で考えています。 金利が全国一律に対し、不動産は条件をそろえてみても同じにはなりません。 暴落期でも値上がりする物件があるかもしれませんし、逆もありえます。 不動産バブル期のようにすべて一斉に値上がりすることは考えにくくなっているように思います。 不動産個別の案件の予測でも個別の需給関係で価格は評価されますし、個別の価格は需給関係が大きく変わらなければいつまでも維持されます。

当社の取締役と将来予測の話をした時に収益組織の長を兼務する人は今月の業績で思考は満たされています。 5年先の話は思考モード変えても大雑把になってしまいます。 しかしこれらの取締役も5年後のことを考える瞬間があります。 たとえば将来どこに出店するとか。

収益組織の長は今月の業績に注力するのは当たり前として、たまに考えなければならない将来予測に備え方向性を揃えておかないと月末にどうするかという視点で5年先のことを考えたときにかみ合わなくなってきます。

方向性を揃えるのは会議、雑談の中で将来の展望が確認できる時があります。 常にそのすり合わせをしておかないと気が付いたとき皆バラバラの方向を向いて懸命に走っていることになります。

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予算編成

当社は5月末が期末で、例年今頃から予算編成作業が始まります。 一般に企業では予算管理を行っておりますが、事業計画や予算を作成しない結構大きな会社があり、業績も良いと聞いたことがあります。

何のために予算を作成するのか!は基本で重要な事だと思います。 私は企業が存続してゆくことが意味を成すと思っていて、存続の有効な方策は規模拡大と信じています。 企業の存続な方策はいろいろとあり、存続を意識している企業はどのような方策で存続するのかを事業計画に纏め、数値化した予算を編成します。

予算は作成すると独り歩きし、外部環境が厳しくなって当初の事業計画が合わなくなっても執拗に追及して行けば弊害は表れます。 当初の事業計画に事業を取り巻く環境変化を織り込んでいれば優れた事業計画であり、予算と言うことになります。

1年間の事業環境予測は大変難しく、それが正確に算出されるには金利や為替の予測が不可欠でしょう。

予算に利益の総額は盛り込まれますが捉われてはだめで、狙いとするものを見失わないことが重要になってきます。 捉われないといっても最善を尽くし、環境変化に対しても目標を見失わないで最善策を尽くし、目標に近づける努力につきます。

仮に未達に終わっても原因分析や対応策を講じることで混乱は最小限に抑えられるし、まさかの事態への対応策も経験値が積み増しされ、翌年の予算はさらに精度が上がって行くと思います。

予算立案と執行は経営目標とそれに基づく戦略の具体策ですから、すべて臨機応変では業績が上がって行くとは思えません。

予算編成と実施はかかわる人に大きな負荷をかけ決して安易なものではありませんが、予算達成は予算と言う基準があればこそで、基準が無ければ今月の業績がこれこれで終わりです。

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社風と常識

写真の猫の名は『シド』、娘が反対を押し切り飼いだしたのですが、昨日永眠しました。 このブログでも数多く写真を掲載し、問い合わせもいただきました。 冥福を祈ります。

(本文)
会社には社風というものがあります。 個性のようなものでしょうか、しかし組織は個人ではないので集団の性格になります。

社風も個性も基にあるのは価値観、あらわす言葉は「保守的」、「攻撃的」、「清廉」、「くせもの」いろいろあります。

社風に関しては理念やスローガンにその一端があるのではないでしょうか。 当社の場合ミッション『もっと元気に、もっと笑顔に、きっと感動』、ビジョン『働きたい会社ナンバーワン』です。 手前味噌ですが徐々に浸透してきています。 そしてこれらミッション・ビジョンが少なからず業績に貢献しているものと信じています。

しかし社風や個性はなかなか一言では語られるものではありません。 歴史の中で現代は価値観が多様化した時代と言えるように思います。 個人も会社など組織も価値観が多様な中で自らのもしくは自社の価値観を明確に持ち、組織においてはその価値観を良しとする人が集まってくるものです。

個人でも多様な価値観の中で同じ価値観でなくとも相手の価値観に共感できる人が人間関係を作って行くと思います。

そういう意味で社風も明確にしてゆくべきで、価値観の多様性の中では相いれない取引先も出てくるでしょう。 例えば当社は小売業、卸から仕入れた商品やサービスを販売するわけですが、低価格だけを売りにする卸との取引は長続きしませんでした。 もちろん市況に反して高値で卸す卸はそもそも取引が続きません。

社内での社風はミッション・ビジョンや戦略、教育、人事制度などにより職員が作り上げてゆくものですが、職員のみんなが納得しているわけではありません。

社内で常識であることが通じないことがあります。 意思決定において細かい事であれば戦略や社内ルール、過去の決定方法に従って大抵の事は自動的に決まって行きます。 少し自由度を広げれば選択肢は複数になるでしょう。 全く制約が無ければ無数の選択肢が出てきます。

全ての決定事項が必ず一つに決まり、誰も異議を挟まない会社はどこかでつまずくことになると思います。 取締役会で全員が賛成した事案は可決すべきでないといわれています。 しかし決定に関与する全員がそれぞれ自説を曲げなければいつまでも合理的な判断化できません。

程よい方向性、程よい社風はそれらに基づく常識がみんなに備わっていて、意思決定で紛糾することはそれほど多くないかもしれません。 もちろんこの常識が一人歩きすると融通の利かない発展性のない組織になってきます。

固定観念が出来上がってしまうと壊すのが大変です。 あれば楽な固定観念、社風も個性でもガンコなだけでは生きてゆくのが難しいのが多様性の世界、一方で多様性は明確な個性を求めるものだと思います。

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会議

当社で複数部署をまたぐ会議は四種あります。 最初に会社法で規定される取締役会、一般に役員会と呼ばれ名前を聞かれたことがあるかたは多いと思いますが、議題や議事運営まで法律で定められています。

議事対象となる議題はたとえば重要な資産の売却などですが、そんな制約を気にしたことはありません。 株式会社は所有と経営が分離された組織、会社の所有者である株主の重要な資産にかかわる決定は十分な審議を経て会社の所有者である株主に損害を与えないようにしなければなりません。 もし不適切な資産譲渡により会社に損害を与えた場合、株主は訴訟により責任追及を行う事が出来ます。

実務として何をもって重要な資産家という基準が無く、会社規模に応じて常識的に決めるものとされています。

月次の決算が終わると決算結果の報告を行います。 これは業績報告会と呼んでいて、取締役と各組織長、経理担当者により構成されています。

企画会議は各組織が事業計画を達成するために課題は何か、課題を達成するために何をし、どのように持っていくのかを話し合う場です。 大きな金額でない資産の購入やリース、人事、組織内の役割分担等がこれに当たります。

以後に社員全員が参加する社員総会、会議というよりお祭りのようなものですが、直近半期の評価と次の半期や中長期の方針を発表します。 優秀者の表彰ののち宴会となります。

この四会議で気になる事があります。 皆の発言が解りにくい事、解り難いがゆえに決議を求められても判断がつかない、そこで発言の意味を質問することになります。 質問も下手、議事は何を決めようとし、何が疑問なのかわからなくなります。 我々は会議が下手で、うまくなることが必要と痛感しています。

昨日も企画会議かあり、ある管理職の人が組織内の現象を説明し、何をしてどのような改善があったか詳細な説明を行っています。 そしてその管理職のそれらの活動を通じてその組織のモラルや生産性が劇的に改善しています。 成果は出ているのです。

それを会議でなぜ討議するのか? その人の成果をほめるためなのか? 成果を上げる方法を会議のメンバーが知るためか?

それらの事も大切です。 しかし最初に正確な事実をメンバー全員が知ることです。 知るべき事実は何か、このケースで言えば本当に成果が上がったのか、どのような成果であったのか、それは理念に沿う成果なのか、その先に何を目指すのか等です。

その管理職は目標も基準も期限も胸の内、何時までに残業時間をいくらにするなどと明示すれば決めたことが一人歩きする懸念をもっているかのようです。 心情に訴えて人を動かすことは決して悪い事ではないと思います。 出来うるならば心情だけでなく、どうしたいのか、いつまでにしたいのか、方法は何か、それらをうまく決めることでその管理職の心情的努力や苦痛は減少するし、その人がいなくなってもある程度組織運営が自動的に出来るものだと思います。

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企業風土

同じ業界で多くの事業会社が事業を営み、ある企業は多くの利益を出し、別の会社はそうでない事が起こります。 その違いを経営分析と称していろいろな角度から分析し、評価されています。 さらに業界横断的に共通項を取り出し、戦略、財務、権限移譲、効率化、立地など様々な要素で評価されます。

どれも正しいのでしょうが、普遍的に正しければ真似をすれば真似た会社の業績はよくなるはずです。 かつてトヨタの看板方式が評判になり、導入して成功したところ、そうでないところがあったようです。

看板方式のような手法や組織構造、権限移譲など真似できるものはたくさんあり、当社も同業他社のやり方を見学させてもらいました。 コンサルタントのアドバイスもうけました。 評価されている手法や仕組みが定着して期待された効果が発揮できるかどうか、最近それが組織の風土、文化に依存していると考えるようになりました。

当社でも仕事をしている場は8箇所に分散されていて、それぞれ組織単位として長がいて組織運営しています。 それぞれが微妙に違った考えを持っていて、細かいところでそれぞれ異なった文化をもっていると思います。 それぞれの組織長が持つ価値観で解釈されている当社の文化の違いということになるのでしょう。 それを無理やり統一しようとは考えていません。 しかし、勝手に統一されていくような強力な文化を作り上げたいと思っています。

優良企業においてこの現象を何度も目の当たりにしました。 その企業の周辺の職員、中心にいる職員、皆同様の考え方、行動様式をもっていました。 ある意味強い組織であり、共通の弱みを持っているのかと思います。 それは企業の個性で、それが無く皆バラバラであれば企業としての個性は無いに等しいと考えます。

組織は共通の土台を持っていて、その土台の上に個々人の価値観があると思います。 土台となるものを築くために二つの事を常に考えています。

一つはそうあって欲しい事、社歴や役職に関係なく意見を言う事、その事だけであればどこの会社も同様のことを考え、同様の事を掲げています。 それが徹底できるのは少なくとも上位者が会のものの言う事をきちっと聞くこと、言われた事を納得すればきちっと守る事、何かを発言し、実行して貢献を果たした人についてきちっと評価し、昇格・昇給に反映させることなど徹底は大変です。

経験の少ない人は自由な発想でいろいろなことを思い場合によっては発言しますが、役に立つことはそのうちわずか、場合によってはすでに考えていて実行に移す順番を待っているプランなどもあります。 それらを感心して聞き続けるのはそれなりに忍耐が必要ですし、経験があってもその貢献について予測しがたいこともあります。

組織の土台作りのもう一つはそれはやってもらっては困る事、を決めることです。 企業内でタブーを作ることです。 例えば上位者に調べれば判ることを事を聞くこと、先輩にこの商品の幅は何センチだったか、つい聞いてしまうことがあります。 私はこれを嫌い、調べて判ることを人に聞くものは成長しないなどと言っています。 これはタブーになります。

これには副作用があり、私に質問することを躊躇させます。 『ちょっと聞いてみたいがこれを聞いて叱られるかも』となってしまいます。 そこまで私自身は偏狭でないつもりですが、人によっては権威の確立に利用するかもしれません。 『私にそんなことを平気で聞くのか』と利用されてしまいます。 もちろん『そうあって欲しい』ということにも副作用がありますが。

 

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取締役と従業員

取締役の役割が社内で話題になっています。 私のつたない知識では取締役を規定するものは会社法しか認識していません。 取締役は株主から経営をゆだねられ、株主、債権者への責任を果たすことが求められています。

さらに従業員の雇用や社会貢献への責めを負わされていることはマスコミ報道からも明確です。

一方社内から取締役就任を見ると明らかに昇進の意味合いが強く意識されます。 いわゆる出世したということですが、当社のような中小企業では取締役の権限は大きくみられがちで、それだけ大きな権限をもちえることは一面で出世とみられるかもしれません。

私の場合代表ということで、さらに強大な権限を持っているように社内外から見られます。 確かに責任は大きく、株主への経営責任や雇用、社会貢献は言うに及ばず、仕入れ取引の継続責任や金融機関からの債務の保証など果てしなく大きな責任がのしかかっています。 上場企業ではありえない連帯保証だけでも保証額は莫大です。

一方責任を果たす上での権限は限定的で仕入れ先一つの変更ですら勝手に出来ません。 先日友人の印刷会社に発注していた名刺を総務担当が変更しました。 友人は『なぜか?』と強硬に聞いてきました。 私は関与していないでそのように伝えると友人は絶句します。 小企業のオヤジが名刺の発注先の決定権を持っていないのか?と訝るわけです。

そういう意味では業務を分担し、担当を決め、権限を与えて自らの手から実務的な作業を外してきた結果で、当然の事なのですが一般的ではないので外部から見て違和感があるかもしれません。 権限を委譲した私はと言えば以前にもまして忙しく、仕事の難易度は高くなってしまいました。

実務はうまく行えば成果は明確になりますが、実務を離れ、方針策定など純粋に経営マターは成果が直接的ではありません。 しかし優れた経営とそうでない経営は安定性や人が育つことにおいて明確に異なってきます。 良い経営であれば職員の定着率が上がり、雇用責任の一端を果たしたことになります。 経営の安定は債務に対するリスクを減らします。 コンプライアンスを重視することで事業運営を通じてあるべき社会貢献を
果たします。

取締役はこのような抽象的な役割を担う仕事で、自ら指導が上手い=マネジメントに優れている、地域戦略に優れている=戦略思考に長けている、組織運営をうまくこなす=リーダーシップ、というような個別具体的な特技を持たなくても役割を果たす事が出来ます。 もちろんいろいろ特技があればそれに越したことがなく、営業が上手いばかりに花々して営業成果を上げ続ける経営者もたくさんおられると思います。 そのような場合、会社の長期ビジョンや方向性を考える副官がおられると思います。

しかしその会社の取締役全員が具体的な事への取り組みしか関心が無くて、営業や作業効率向上しか関心が無くて、となると会社は強力エンジンを積んだ車の暴走と同じく方向性の確定も危機回避も出来なくなります。 事業を取り巻く環境変化がすさまじい現在、ビジネスモデルや戦略の修正をはじめ、経営マターとして課題はどんどん現れます。

取締役に就任することはリスクだらけの問題を解決し、最高の結果を生み出しても経営判断の成果と称賛されにくく、誤って地雷を踏んだ時に散々責任追及される役割で、昇進と喜ぶのはどうかという印象を持ちます。
代表取締役などは最たるもので、うまくやれる人がいたら熨斗を付けて譲りたいと思うことがあります。

そのような取締役のメンバーを新たに考えるときに候補は営業が上手かったりマネジメントが得意だったり、事務処理に長けていたり下になります。 そういう人の中からビジョンを描くことの得意な人を見つけるのは案外難しいことです。

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分業

社員数が少人数の零細企業から少し社員数が増加すると自然に役割分担が出来てきます。 それは少しずつ発展して分業になって行きます。

当社は最近になって自然発生的に分業の動きが出てきました。 製造業では新型機械の導入や製造品の変更により仕事の内容が変化すると思います。 当社のようなサービス業ではIT化により業務の流れが変わったり、分業が行われたりしますが、人がパソコンに向かって行ったり営業に行ったり配達したりであっても分業が生まれてきます。

もう少し規模が大きくなると分業も効率化を目指したりしてさらに進化し、細分化するでしょう。

分業になるということはそれぞれの業務がきちっと定義されて、その業務を専任の人が行うメリットがあることが条件になってきます。

一人の人が定義できる多数の業務を抱え、自分のスケジュールにしたがって業務をこなしてゆくと習熟しなければならないことが多く、個々の作業効率が低い事や工程管理に労力を使うなどその仕事の困難度は高い一方で個々の作業品質は高くなくなります。

分業は作業者が複数の作業をこなす中で 作業者自身から発生する場合がある一方で、管理職が全体の業務フローを検証しながら効率化や作業品質の向上を目的として意図して行う場合があります。 基本は個々の業務=作業の定義に始まり、それを今までとは別の人が集中して行うことの効率性と問題点を検証しながら進めてゆきます。

分業による効率化を進めるために各部門の業務フローチャートを作成したらどうかと提案しました。 皆なるほどと思ったようですが、ぜひやろうという動きになりませんでした。 ある部署ではフローチャートに記載する作業をリストアップする、お仕事調べをしたそうです。 出てきたお仕事=作業の定義をすれば業務フローが書きやすくなるわけです。

だったら自分のポジションである経営者のお仕事調べはどうか、と考えてみました。 私は出来る限りルーティンの作業を持たないようにしてきました。 経営者の役割は会社全体の運営を行うことで、強いて言うならその仕事は調査、プラン作成、評価等時々によっていろいろなことをやっています。 人と話をしたり、本を読んだり、ひたすら考えて素案を作ってみたり、これが作業ということはバラバラです。

日々何をしたか、予定は何かといったことをスケジュール表と自分のノートに書いています。 もしそれを当社の職員が見たらいったい何をしているのか?ということになりかねません。 自分でも書いたものを見返して一体何をしているのか?とうんざりすることがあります。 結局経営者は結果だけで評価するしかなく、何をしたかで評価できない、分業もできない役割であることを改めて知りました。

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社員総会

先日の土曜日に全社員とその家族を招待して会社創立40周年記念パーティを開催しました。 40周年記念の無い時も年2回、社員だけの総会を行っています。

私は人前で話をするのが苦手、いつも最近の会社の評価、今後の方針、ビジョンなど会社のトップとして示すべき話題を工夫し、原稿に纏め、何度も録音しながらリハーサイルを来ない、本番に臨みます。 原稿用紙5枚程度の内容を覚えるのが大変で、苦痛の為です。

今回は原稿なし、リハーサルなし、その場で感じたことをそのまま話すことにし、緊張もなく、40周年にふさわしい内容をお話しできてよかったと思います。 来場者は約160人と聞いていましたが、人数が増えたおかげて返って緊張することもなかったように思います。

問題は総会の直前に行った幹部会、店長以上の管理職を集め、今季上期の総括と現状の課題をまとめ、下期に向けての対策を通達するものです。 会社の現状評価、これは数字だけであれば客観的に説明しておしまいですが、そもそも管理職の人たちは現状の成績についてよく知っていますし、日々大変苦労しているのでこれ以上尻を叩かれる話をされても、となってしまいます。

予算や中期計画の進捗は芳しくありません。 5ヵ年計画の3.5年が経過したところですが、キックオフ時は職員数が約70人、現在は133人、ほぼ倍になっていて、しかも専門スキルを必要とする営業職や薬剤師、ケアマネージャー、事務職で構成されていますので、短期間で倍増した職員で事業運営するのは単純に考えても大きな困難が予想されます。

法が要求する書類作成が負担となっていて作成が滞っている事、新人に3ヶ月の研修で独り立ちさせる不安、並行して進めている残業の削減、課題は山積みです。

組織長や現場のベテランは分業を導入し、対処を工夫しています。 分業が効率よく業務を回す効果をもてば同業他社より優れた事業運営になり、競争関係の中では大きなアドバンテージをえられます。

必要は改善につながるいろいろなものを生み出し、業務を推進します。 組織長の副職を設定するのも分業と言えます。 分業を提案したのは組織長と現場の職員です。 分業を生み出す程度のストレスを現場にかけたことはよかったと思いますが、分業による作業間の連携の不調など新たな課題も生みました。

概ねこのような現状評価と下期方針ストーリーですが、現状認識がこれでよいのか悪いのか、評価としての分業の推進を下期の目標としてよいのか? 2週間ほど考え続けました。 会社の方針の良し悪しは個々の評価いかんで今後の当社の業績が決まるように思います。

事前に取締役会で討議し、幹部会で分行を評価することがうまく伝わるのか、不安でいっぱいでした。 幸い反対意見も出ず、下期はこの評価をもとに修正を加えてゆくことでまとまりました。

前出の結局総会でのスピーチも分業をテーマとして話すことができ、筋の通ったスピーチになりました。 私の仕事は過去の検証を通じて現在をどのように評価し、それをもとに将来を描けるかが仕事をの殆どで、今年は胸をなでおろしました。

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[価値観]

朝三暮四

中国古典の現代訳本を読んでいると世界の軍隊の幹部が読んでいると解説がありました。 近代装備の先進国軍隊司令官からアルカイダのようなゲリラ組織の幹部まで読んでいて、国籍も問わないそうです。

私も読んだことはありますが、なかなか日常業務に応用できていません。

私が懇意にさせて頂いている経営者の方で、大変スマートで誠実な方が自らの従業員の処遇を巡り、『朝三暮四』を引き合いに出しました。

その人の行う事業に従事する職員の一般的賃金水準は決して高くありません。 従事する人は解っていても賃金に対する不満はついて回ります。 デスクワークが多い仕事で、基本給、残業代の支給、休暇・休日制度の運用、すべて適法に処理されておられます。 年収に換算すると決して高くなく、それが相場でありながら不満を持つようです。

経営者の方は考えて基本給をさらに下げる代わりに残業代を厳格に支払うことを約束されたようです。 そのことについてタイトルの『朝三暮四』を引き合いに出されました。

中国の故事でお猿をたくさん飼っていた人がエサ代に困り、餌である木の実を朝に三つ、夕方四つ与えるとお猿に言うと、お猿が少ないと怒ったそうです。 そこで飼い主の老人は『では朝に四つ、夕方三つではどうか』というとお猿は大変喜んだということです。

飼い主の老人は一日の木の実は七つで変わらないのにと思ったことでしょう。 しかしお猿の立場で見ると事情は少し変わってきます。 お猿の餌と人の賃金を同列に考えるのは少し不謹慎ですが、仕事の難易度は個々に違いがあり、残業を必要とするものとサクッと仕上げる仕事があります。 難易度の高い仕事で残業して仕上げれば残業はきちっと評価される、しかし平均すれば個々の職員に振り分けられる仕事は経験に応じてバランスを保たれるわけですから、ほとんど残業が発生しないよう工夫されてています。 経営者はそこまで配慮しているので個々の作業について残業して完成させることに意味を見出さなかったのでしょう。

世の中には同様の現象が多くあり、当社においても営業職の初任給で話題になります。 当社の営業職の初任給は低くく設定されていて、他業種と比較して見劣りします。 もちろん介護事業は制度ビジネスで、国が事業における利幅を厳格にコントロールしていますから、同業も賃金は決して高くありません。

当社の報酬における基本的な考え方は相場と会社への貢献度合いで決めるものとしていますから、営業職が会社に利益貢献すると十分な報酬を支払っています。 少なくとも業界内比較ではかなり高い方だと思います。 募集をかけても見劣りするので応募者が集まりません。 そこで初任給をあげてはどうかと意見がたびたび出てきます。

人件費総額は変えられませんから同然高い報酬を得ている人から報酬の低い人に付け替えることになります。 これでは平等を目指して逆不公平になります。 少なくとも今働いている人は望まぬ方策になります。

それでも初任給を高くして優秀な人が集まり、会社全体として効率化が図られれると人件費総額を大きくする事が出来て人件費増を吸収できるという考えもあります。 もちろんその可能性を否定できませんが、私は次の二つの考えから反対しています。

一つは目先の賃金水準を職業選択の基準にしている人は将来ベテランになったときに期待する賃金水準が低いと不満が募ることになります。 制度ビジネスは大きく景況が変化する可能性が低く、安定している業界なので、その保険料から賃金は低いという考えも成り立ちます。 そもそも職業選択ということであれば自らの適性を選択基準にすべきで、生活できない水準でなければ目先の賃金は無視してはと思います。

二つ目は職業というとプロフェッショナルですから、貢献が収入の基礎であり、貢献の多寡にかかわらず勤続年数などで報酬が決まる割合は出来るだけ排除したいと思うからです。 民間企業は利益がなければ消滅するだけですから、当然の考え方と思います。

成果を正当に評価してほしい、つまりやったらやっただけ収入が増えることを良しとする意見は面接時によく聞きますが、そのような意見の人が成果を出せず、昇給しなかったときに真っ先に転職に走るのを見ているとかなか考えを変える事が出来ません。

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経営者の条件

当社は経営として一時的な安定期に入り(と私は思っているのですが)、自分が次に何をすべきかと考えていたとき、PFドラッカーの『経営者の条件』が目に入りました。

北海道ツーリングの帰路、小樽の本屋で見つけて帰りの船で読んでいました。 ドラッカーが1950年から1960年代に書いた論文をまとめたもので、歴史に名を遺した経営者や歴代の米大統領の意思決定が例示されています。

例示が古く、人によってはコンピュータの発達や経済学の進歩など現在では過去の考えと思われるかもしれません。 実際に読んでみるとそうは感じさせないものがあり、ドラッカー先生の深い洞察力を感じました。

前述した会社の安定期に何をするべきかを悩んでいたのですが、介護保険ビジネスや医療制度の一環である調剤薬局、ケアプラン作成業務など制度ビジネスを営む当社にとって、なおかつ労働集約型のビジネスモデルの中で、方向を誤らずうまく運営すれば赤字にならないビジネスで、今のところ赤字てないわけです。

負荷の大きい制度要請の効率化を図る、制度外ビジネスを立ち上げるなど課題はあります。 人事上の問題もあります。 それらに目を奪われ、解決に注力したとしても問題が解決して元の状態に戻るだけ(これもドラッカーの見解)、同じ問題が繰り返し起こるなら本質的な問題がある、それを見極め個別の問題にかかわらず本質に迫れと氏は指摘しています。

JR北海道、東芝、VW等の問題はまさにこれに該当し、かつてのドラッカーの指摘は現在のトップを走る経営においても生かし切れていません。 これら大企業は大企業であるがゆえに当社と比較ならない多くの課題が、それも大きな課題が日々起こり、経営者は膨大な報告を受けていることでしょう。 選択を誤ったり手を抜けばすぐさま凋落の危機が訪れます。

一番効果的なことは反復する問題の本質を見極め、再発を防止することです。 当社はこれら大企業と比べるべくもありませんが、頻発する課題に対処して幹部は疲弊しています。

私自身、年齢は62歳、課題の対処を目的とした本を読もうと思っても目の老化で若い時ほど読めません。 集中しようと思っても体力が衰え持続できません。 好奇心も薄れました。 そこで筋トレをし、気分転換をし、隙間の時間に本を読み、人の話を聞くように心がけています。 しかし、思ったことをバランスよくこなすには時間が足りません。

ドラッカー氏はこの問題に『やることを決める前にやらないことを決める』と言ってます。 やらないことはらなくても良いことや誰かにやってもらえばよいことで、結構多いと思います。 私はこの考えにずいぶん以前から従い、多くのことを止めてきました。 やめて空いた時間を娯楽にあてたりもしましたが、今やらねばならないことを明確にすることで娯楽の一部も減りました。

娯楽の少ない人生は侘しい気もしますが、代わりに得られるものは大きい気がします。

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