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会社運営

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 会社等組織では様々なことが起こります。 会社全体から見れば小さな問題、例えば相見積もりの案件で失注したことは担当にとって問題で、なぜ失注したか考えます。 場合によっては上司に相談します。 薬局で処方箋をもってきた患者様が怒って帰ってしまったことも原因にもよりますが経営者のところに報告は上がってきません。

しかし相見積もりでの失注は価格設定が高めになっていて、他にも失注があったとなれば価格設定の問題として少なくとも部門長の話題になります。

薬局の話題は原因がお客様の待たせたことが原因であれば人員の充足や調剤作業の効率が話題になってきます。

価格設定の話題で、部門長が価格設定を低くして売り上げを伸ばしましたが利益率が低くなったため赤字になったとします。

薬局は一番忙しい時間に合わせて人員配置をして暇な時間に仕事がなく、人件費が嵩んで利益が低下したとします。

このような課題に上手く対処し、事業運営をうまく行う管理職がおられます。 いわゆるミドルマネジメントの手際です。 ミドルマネジメントの上手い人が経営層になれば現場のマネジメントばかりが取締役会で話題になってきます。 つまりは具体的な話題や対策です。

経営マネジメントは業界動向や社内管理の在り方、将来ビジョンなどが主なテーマになってきますので話題が抽象的になりがちです。 現場、ミドル、経営の話題が混在すると何を考え、判断すればよいのか判らなくなります。 それぞれの役割であって現場のやり取りに経営層が口出しするのは弊害になります。 現場やミドルマネジメントに具体的な指示を出してしまう経営者はミドルもできる経営層というより経営層として役割を果たせていないと考えた方がよいでしょう。 もちろん現場、ミドル、なんでも器用にこなす経営層の方もおられますが。

逆に社歴の浅い職員が卓越した会社の将来ビジョンを描いていて、どこかでそれを伝える事が出来たら私は経営層に加えるべきだと思います。 卓越したビジョンを描ける人はその目をもっていてそういったことにたけている、現場仕事は苦手かもしれません。 個人的には経営層の仕事をこなす上で現場マネジメント、ミドルマネジメントの経験が必要と思っていません。 なぜなら逆は真ならずだからです。

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昇進

 新聞に昇進についての記事が記載され、学者の言葉が書かれていました。

『昇進してみんな無能になる 組織は無能な管理職で埋め尽くされる』というものです。 それぞれのポジションで実績を上げ、昇進しても期待されたほど評価が上がらない現象を言い当てています。

一般的な組織は組織階層を形成していて上位者は下位者に指揮命令権をもち、処遇も良くなるので昇進を目指すようになります。 それがモチベーションでみんな頑張る構図は理解できますが、弊害として前述の言葉になります。

当社でも同様の現象が見られます。 優秀な管理職を見て次の管理職は育ちますし、社内教育も有能な管理職を育てるうえで一助となります。 当社は残念ながら有能な管理職が育つ前に規模が大きくなって管理職が不足しています。 他社で管理職として活躍してきた方を管理職として迎え、管理業務と職員の教育を進めようとしました。

残念ながら他社で活躍したであろう人(活躍したというのはあくまで本人の弁ですが)が当社に来て行う管理業務は経験したことの押し付けで、それが必ずしも上手く行くわけではありません。 経験した方法は意味があって方法が確立されていて意味を理解せずに方法だけを行っても『行う事』⇒『運用』で成果を生むとは限りません。 ざっくり言えば方法を知っている人格者であることが必要に思います。

そこで考えたのですが、管理職は管理職の目標⇒仕事⇒作業があります。 多くの各階層の目標、仕事、作業をバラバラにして役割を組み立てる、人は役割の成果で報酬が決まる、権限や責任は役割について回るという事を考えました。 上手く考える事が出来たと思ったのですが、分割された仕事の調整は誰がするのか、調整しきれないことは今までの組織では大きな権力をもつ役職者により決められる場合が多いですが、そこの調整は難しく組織運営の欠陥になるでしょう。

大きな組織で管理職を経験してきた管理職候補の方は何度も配置転換され、多くの役割をこなされてきています。 それなりの地位でありながら部下が少数であったり、担当された役割の責任と権限は非常に大きくとも達成すべき目標のある側面のみを担当されます。

中小企業では代表が多くの役割を果たすことが一般的ですが、このような代表の役割も規模の拡大とともに分割されていくのが進化した組織運営に思えます。 将来ビジョンに始まって事業方針、個々人の目標管理に至るまでツールは開発されています。 権限移譲の一言でかたずけられない組織運営の進化がすでに始まっています。

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仕事

 求人の仕事をしていて自分が就職した42年前と様変わりしたものだと思います。 一番の違いは終身雇用が消えようとしていることだと思います。

応募者の履歴書の職歴欄は若い人でも幾つもの職歴が記載されています。 転職理由もさまざまで、収入が低い、昇給しない、将来展望がない職場、人間関係で躓いたなどです。

どれだけの人が同じ職場で定年まで勤め上げるか統計を見たことはありませんが、永年勤続者の割合が減ったのは疑いのないところでしょう。

転職する人は職業紹介会社に登録する事が多く、自分でホームページを見て応募したとかハローワーク経由で応募は激減しました。 応募者御本人の転職理由は明らかなのですが次の職に何を求めているのか確たるものを持っている人は少なく、紹介会社の人に薦められるままに応募してこられる人が多くおられます。

自分に合う会社、仕事かどうか働いてみないとわかりませんが、何処の組織でも一人前になるまでは賃金も少なく、会わない人もいるかと思います。 又成長分野の人気企業に入社したものの40歳を過ぎた頃にリストラされて年齢から再就職で苦労している人も見かけます。

会社や組織に仕事人生を大きく依存することは危険で、自分が主人公として自分を活かすかを意識している人がいます。 自分の強みについて解っていてそれを活かせる仕事か熱心に質問されます。 自分に合わないと思えば辞退されます。

一方仕事人生が組織に依存している人は自分に与えられる仕事、処遇ばかりを気にします。 仕事人生と仕事環境がぴったり一致するとは限りません。 今までやってきた仕事、それが営業職なら自分が営業が得意と誤解している場合も多いです。 ずっとやってきた営業の仕事が自分の得意と信じているだけで他人が見れば営業が得意に見えません。

先日再就職支援の企業説明会に行ってきました。 支援会社の人が冒頭に『思い切って職種転換した人が成功しています』と言っていました。 しかしそれなりに同一職種で年齢を経た人は今までやってきた同じ仕事しか出来ないとはじめに宣言されます。

実は私も転職組、当社で始めにやったのは薬局の店番、介護の営業、経営者、採用担当など零細企業なので何でもやりました。 特に得意であることはなく、特に苦手意識もありませんでした。 それぞれの業務で結果は出してきました。 満点の結果はありませんが、その業務で停滞することもありませんでした。

初めての飛び込み営業を一人で行った時すごく緊張しました。 しかし私は緊張が3分くらいしか続きません。 震えるほどの緊張がなくなってしまいます。 初めてとはいえ営業に行って震える人は少ないかと思います。 しかし3分で緊張が抜けてしまう人も少なく、緊張が解けてから営業に関しては良い結果に結びつきました。 当時46歳、そこで始めて自分の強みの一つがわかりました。

前職は総務課に配属されていて契約書や諸規程の策定、株主総会の運営などを担当していたのでまったく畑違いです。 それだけ必死感があったのでしょう。 すこしの必死感が必要な場面で強い必死感で望むので感じてくれた相手は仕事をくれます。 もちろん頂いた仕事も必死で行ったのでその後も仕事は続きました。

そのような体験から余り自分の強み弱みについて配慮しなくなりました。 一時は自分はいったい何をやってどんな成果を上げることかできたのか悩みました。 全力を尽くしても失敗はあり、10年も経てば記憶に残るのは失敗ばかりです。 15年もすると失敗の記憶が増えて仕事を続ける気がしなくなり会社を辞めたいと思うようになりました。 実は自分はこのような長期にわたる失敗の経験に耐える力がなく、その間成功も多く成し遂げていたのですが、くじけそうになるのが自分の弱みであることに気が付きました。

長期にわたる経験で成功体験にしがみつく人がいて、自分が優れた人間と信じている人がいます。 たいていは高い役職について何もしない人です。 自信に満ちた態度、何も決断せず従って責任も取らない人は組織の不都合な事態に直面してもキャリアに傷が付くことはありません。

自分に似た経営者がビジョナリーカンパニーに紹介されていました。 大企業の経営者で業界の衰退期に大胆な業種転換して成功した経営者ですが、手が空けば窓から外を見て自分の失敗を心の中で嘆くそうです。

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人事考課

 組織で重要なことの一つに人の評価があります。 人事考課を想像して下さい。 多くの人は人事考課は収入に直結する指標と思い浮かべるでしょう。 確かに本人にとって収入は大きな要素です。

本人目線で多くの人が人事考課に望むのは自分のことを正確に評価されているかです。 想定以上に評価が高く、昇給したとしても大して嬉しくもなく、逆に自信のある項目や客観的な成果を上げたにもかかわらず評価されなければ不快感を示します。

自分のことを正しく評価できていれば強みを活かすポジションにつける可能性があり、キャリアアップに繋がります。

一方評価する側は相手が複数人で相手の事がよくわかる人もいれば判らない人もいます。 営業職などで単純に実績だけで考課している場合は考課目的が昇給や賞与の査定が目的で考課そのものの不満は小さく出来ます。 しかし考課項目の数値化に主観が入るものは考課される側に不満が出やすくなります。 考課者は期待値を実績と混同して評価しがちです。

被考課者が上級職である場合、考課内容は貢献の比重が大きくなります。 営業組織長の考課はマーケットの状況がどうであれ結果が出なければ低い効果になってしまいます。 市場の変化に努力したか、判断は的確であったか、部下は慕っているか、よりも実績を上げたかどうかが重要になってきます。 部下に嫌われていても的確な戦略や指示を出す事ができて実績に寄与したならその地位にとどめるべきでしょうが結果が出なければ席を追われる事になります。 人材が豊富な組織では組織に留まる事すら出来ないでしょう。

組織の長や会社の代表が人気の有無で決まりやすい場合、その組織は次第に毀損してきます。 地方自治体の首長はえてして人気取りで決まり、人気だけで首長になった都市は10年の単位で寂れていきます。 会社なら業績が低迷し、業界に逆風が吹き荒れるまでもなく潰れていきます。

組織のトップの評価は未上場企業ではトップ自ら行うことになります。 たいてい自分が可愛いからダメだしはしないものです。 経済誌の倒産事例記事にありがちな話です。

私はチャンバラ小説をよく読みますが、江戸期以前では組織長である大名などは世襲です。 大名は地域を支配する、つまりは所有する立場ですから世襲というのは納得しやすいでしょう。 現代ですら所有物の相続は認められているのですから。

ところが法人組織の所有といえば株式、その配当が所有対象の実態です。 大きな会社の創業主の株式を相続した大株主が会社の支配権を行使しようとするのは会社法上間接的に認められていても傍目には見苦しいものです。 それば経営合理性から判断していない場合が垣間見られるからです。

 

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綻び

 会社の規模がすこし大きくなって綻びが出てきました。 綻びは業績の低迷、過去を振り返れば好調だったときに原因が発生しているようです。 現在は過去の反映と強く認識しました。 その当時の責任者の施策が現在の問題の原因なら当時に対策を講じたか、引継ぎで十分な説明を行ったか、後任は対策を講じたかが課題です。

過去から見れば現在は将来、確実な将来は自ら築くことと言う言葉に従えば過去において将来を築こうとしなかったことになります。

現在の不都合が過去の失策であるなら現在の施策は将来を築く展望に基づかなければ同じ失策を積み上げるでしょう。

経営層は自ら描いた将来展望に基づく方針を出し、現場マネジャーは経営層の方針に基づき最善を尽くします。 現場マネジャーが常に自らの将来展望にこだわれば統制が取れなくなります。 現場マネジャーは経営層の将来展望を強く意識して目先の課題に取組まなければ組織の運営はできません。

この役割分担が当社のような小企業であれば曖昧になったり、経営層の描く将来展望を信頼できなくなったりします。 その時点で企業は崩壊に向け進んでゆきます。

 

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会議

 会議はコストがかかります。 人件費、会議室のコスト、会議のテーマ設定や事前調査・資料作成など合わせれば大きな費用です。 バブル前に都市銀行が 全店長会議を定例で東京で開催していたそうですが、コストは億単位といわれていました。 出張費、宿泊費、人件費で費用算出には資料作成コストは入っていないと思われます。

それでも多くの組織では会議をします。 会議目的は情報共有・個別案件意志決定・方向性共有などですが、機能が明確でない会議ではこれらが区分されていません。 状況はペーパーでデータが提示され、数値上の問題点が指摘、改善策として抽象化されたものが提案されます。 そこで出席メンバーから意見が出て方針が決まるのですが、結論があいまいな場合が多く、内部批判が出てきます。 そもそも意見が出にくく、意見を言っても改善策まで用意できていないので策を求められると否定されるので黙っていることになり、決定への批判の元になります。

何かを決めると負荷が大きくなったり、一定の犠牲=他の問題の誘発を伴う事が大きいです。 時間に余裕がない課題では即決が求められます。 そういう組織では皆が会議でのストレスにさらされ、出席者は強行に意見を主張し、批判があっても徹底して決定に従います。

ドラマを見ていて戦争での作成会議や刑事物の捜査会議などはこれに当たります。 ミスは許されない状況で予測される犠牲をはかりに掛けて瞬時に決定し、それが結果をもたらさなければ決定者が解任される場合が多いです。 つまりこのような組織では優れた組織長であっもいずれミスをして更迭されてしまいます。 評価は減点法です。

企業の会議での決定が劇的効果を生むケースはまれで、以前より肌感覚では感じられない改善であったり、いつも作られるデータで改善が見られない効果があったりします。

そういった小さな改善がいくつか積み重なって大きな結果に繋がるのが事業運営での改善で、3視点での改善が整えはかなりの効果が期待できても2視点の改善で終わってしまう残念な結果は日常的にあります。 それを気付いて一気に改善を図るせっかちな経営者や管理者は意図が理解されないので孤独に陥り、付随した犠牲の非難にさらされ、厳しい決定をなした勇気や責任感が賞賛されない場合も多いと思います。

当社の会議ではこの改善策として資料は事前配布、フォーマットを決めて情報共有・個別の意志決定・方針を分けて各人が提出するように変更されました。 報告者の負担は大きく、報告内容については責任が付随します。

経営責任を管理職に押し付けた格好ですが、最後に責任を取るのは管理者であることは間違いありませんし、波風を立てて、意味ある会議になって行くと思います。

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問いを決めないことには答えようがない

 表題は最先端の経済学者の本に書かれていた言葉です。 著者は日本人でアメリカの大学に学び、指導教官から言われたそうです。

零細企業とはいえ経営者の一角で働いている私はついに最年長となり、どちらかといえば問われる方です。 私は質問する事が多く、今でも相手を質問攻めにします。

問いを決めるということは何らかの課題があって、その解を求めて解に直結した質問をしなければ質問の意図に沿った答えは得らません。

昨日頂いた問いは『管理職は少ない方が良いのか?』というものでした。 メールでの質問には課題も書かれていて、来期の事業計画を立てていて気分転換に私をからかうメールを送ったようです。 この場合、私は問いと事業計画立案という課題について説明されていません。 課題は事業規模の拡大と安定、その手段として事業計画立案ということになります。

課題が明確で、その為に行うべき施策が明確であれば施策を実行する人が必要です。 規模拡大に営業が必要なら営業の強化を図らねばならず、営業部長のミッションは少し明確になってきます。 営業員の増員か、再教育か、顧客のターゲットを変えるのか、その為に管理職が必要です。

管理職が行うのは管理業務、つまりは営業業務から営業管理業務分離させて効率化を図るわけですから管理職の役割が明確にされていないとえてして管理職は自ら営業を行い、分業されません。 営業で管理職が行う一般的なことはマーケットの分析、ターゲットを決める、営業方法を決めることなどでしょうか?

問いはあくまで事業の拡大と安定にあり、分業としてのマーケットリサーチやターゲッティングは方法手段、良くあるパターンは方法手段が目的になって、たとえばマーケットリサーチ目的にして深みに嵌まってしまうケースです。 いかにも専門的で本人は自信を持ちますが、業績に繋がらないのは営業の力のなさにされます。

いささか理屈が過ぎるように見えますが、課題から生まれる問いの履き違えは少し考えるとよく起こっていて、頑固な管理職が履き違えた考えを主張して現場の混乱を招いたりしています。

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フラットな会社

 会社の組織には職階があります。 ここで職階とは部長職や課長職などの肩書きを指します。

私は前職のときから少ない職階が業務遂行の上で都合がよいと思っていました。 又上位の職階の役割は配下の職員の言う事を聞いて結論を出してゆくのが合理的であると思っていました。 配下の職員はより現場に近く、今の現場を見ています。 上席者は同じ現場の過去の経験は豊富ですが、現在の現場については接点が少なくなっています。 上席者が経験を踏まえて判断・指示を下してゆく組織は古い組織運営だと思っています。 上席者=管理職には自らの部署の包括責任を負うわけですから権限を有し、権限を行使すること=指示を出すことになります。 変化の少ない、もしくは変化させない仕事、たとえば伝統芸能などでは伝統を引き継ぐ上で上位者=師匠は弟子に絶対的になりがちです。 しかし能の世界で『守破離』という言葉があるように、全くのコピーが伝統芸能の本質ではないようです。

あるとき管理職の必要性を主張されました。 管理職の役割について部下の教育や職務の進捗管理など各管理職の職務内容から必要性が話題になりました。 私が権限と責任でフラットな組織が良いというのはかみ合わない議論になります。

理屈はともかく一定程度の職階は必要であることを認識し、職階を指定していますが少ないにこしたことはないと思っています。 早い意志決定や責任者の明確化が理由です。

ある取締役はかなりの実務をこなしていて、速い意志決定や責任の明確化はクリアーです。 しかし当人の負担は大きく、又業務が増えても抱え込みを続けると停滞しますし、配下の人も育ちません。

ドラッカーは『組織は戦略に従う』と言っていますが、自分が代表だったときにフラット組織を望んだのは戦略推進に必要だったからで、そのことを意識せずフラット化を考えていました。 振り返ると当時規模拡大を基本戦略にすえていて、代表である自分が前に出て引っ張ってゆく事を考えていたのだと思います。

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企業再生7 状況把握

 企業が破綻するのは理由があります。 世の中に同業が沢山あり、かなりの企業が利益を出しているなら破綻した企業には明確な理由があり、理由さえ取り除けば再生はさほど難しくないと思いました。 初めて再生支援を行いまだ完全に再生できていない中で言うのはおこがましいかもしれません。 しかし再生は容易い事、しかし私が必ず成功できると言うつもりはありません。

世の中に成立していない事業を成立させることが出来るかどうか予測がつきません。 あるビジネスモデルで利益が出ている企業がある程度存在するなら成功する=利益を出すことは可能で、破綻したのであれば破綻理由が必ずあるということです。

今再建を手伝っている企業は同じ事業を行う企業が沢山あり、業界は求人難や管理の煩雑さが強化されるなど逆風が吹いていますが利益を出している会社は沢山あります。 破綻した理由は会社を知ることから始まりますが、意外に簡単に理由は見つかります。 対策もそれほど難しいものではありません。 難しいのは対策を実現させる為の方法です。

たとえば赤字が続いて破綻した事業なら、赤字の原因が固定費に対して売上の過少にあれば固定費を削減するか売上を増やすかによります。 固定費=販売管理費の大きい費目は人件費で一般的な再建方法として人的リストラを行います。 売上増を目指すなら営業力強化を図ります。 現実の再建では破綻原因も対策も複雑に入り組んだコンビネーションで現れてきます。 そこで最適オプションを見出すにはさらに突っ込んだ事実把握が必要になります。 破綻に至る経緯であったり、職員の価値観であったり、過去のクレーム対応の悪さから企業イメージが悪いなどです。

こうした破綻原因の元のとなった事件を紐解いてゆくと有効な対策が見えてきます。 問題はここまでの時間をかけられないことです。 破綻企業は人で言えば瀕死の状態、心肺が停止し数分以内に蘇生しなければ決定的な死が訪れます。

企業では私は3ヶ月以内が蘇生期間と考えています。 経営学として明確に説明できる根拠は持っていません。 3ヶ月は90日、人のうわさも90日と言う言葉もあります。 ある経理の人が固定費の3か月分を流動資産として維持すべきと教えて貰いましたが、理由は人のうわさも90日程度の解説でした。

この90日で何処まで出来れば良いか、救急救命の世界なら心臓が働き始めることでしょう。 企業なら資金が回り、業績も底を打ち黒字化といわないまでも損益が改善に向かうまではやらねばなりません。 もちろん業種業界によりこの期間は異なると思いますし乱暴を承知で言えば正しいと思います。

大企業が破綻すると現職取締役がすぐに改善対策をプレスリリースします。 最近印象に残った事例で言えばライザップ、日産自動車、日本航空、三菱自動車、リクシル、東芝、三洋電機、破綻した企業、大きく利益を既存した企業で第一報が原因の特定に始まります。 原因はガバナンス、投資の失敗、コンプライアンス、放漫経営など異論は余りありません。 意見が分かれるのは誰が悪いかの責任者探し、上手く混乱を乗り越えた会社は経営層を一新してたいていはすぐに業績が好転します。 新しい経営層はプロ意識が高く有能で、破綻時に経営層だった人は経営判断を過っています。 後から何とでも言えるという人もいますが、会社が破綻したのは事実、再建したのも事実です。

アメリカではファンドのマネジメンドバイアウトが事業として高いリターンを生んでいますが、経営学で再生学と言うのは寡聞にして知りません。 古くは坪内寿夫氏のように個人のスキルや手法が小説になったりしています。 現実の再建は地道な当たり前のことの積み重ねで、個人としては投資効率の高い事業手法と思っていますし、社会貢献も実感できるものです。

 

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企業再生6 信じるからこそ見える

 出向してから65日、月次の試算表(2ヶ月前の業績)がやっと出て来ました。 惨憺たる成績です。 おおよそわかっていたことですが改めて正しい数値を見せ付けられると思い知らされます。 ちょうど出向が始まったときの数値です。

何か手立てを講じてどのように改善したか経営を担当していると早く知りたいものですが、ひと月がおわり伝票がそろって入力され仕訳が行われて計算書にまとまるまでに2ヶ月、出向後の65日でまだ何も対策を打てていません。 やったことは情報収集と分析、対策立案、立案したプランの実施手順(いくら良い方法を考え付いても順序を間違えると結果は伴いません)くらいです。 次の1ヶ月で実行、その結果が出るのはさらに3ヵ月後、その結果が数値に反映するのはさらに2ヵ月後、約半年後です。

2ヶ月掛けて考え、6ヶ月掛けて結果を待つのは相当気が長くなければ耐えられません。 そもそも企業再生は約3ヶ月の短距離走、息をつめてダッシュして6ヶ月待つのは苦しいもので、上手く行くと信じていなければ気持ちが続きません。

商況がこうだからこのような手段が効果的で、この手順で改善すればこの程度の業績になるというのは予測、それをどれだけ信じられるか、少なくとも自分が信じられなければ底の職員に信じて貰うことはできず、信じてもらえなければ改善した会社のビジョンは見えてきません。

自分が実際の業務をやるわけではないので業績の実感はわきません。 真っ暗闇の手探り状態のダッシュです。

なぜダッシュするのか、毎日赤字が数万円と計算されるだけで経営担当としては恐怖にさいなまれ、これが続けばどうなるかとめいってしまいます。 そもそも最悪の状態からはできるだけ早く抜ける事が好ましいです。

もし少しだけの黒字しか生んでいない経営の改善はまだ赤字の垂れ流しがないだけ余裕があります。 それでも機会損失を考えると改善は速いに越したことはありません。 急げは失敗しがちに思えますが、切羽詰って出来る決断もあります。

アマゾンの幹部が書いた本を読んでいたらアマゾンの改善方法をF1レースにたとえて時速200km以上でマシンを走らせながらマシンをチューンナップしているようなものだと表現されていました。 それに比べると時速20キロメートルで走りながら改善策を考えているようなもので私の不安はさておきアマゾンから見ればいかにも鈍いものです。

そこはEコマースと介護業界の違いでしょうか? 介護業界がEコマースに飲み込まれるようになれば、ロボットやAIの活用が始まれば私の経営改善は3日程度で肩をつけないといけないでしょう。 しかし、そこで働く人たちがビジョンを共有できるか疑問は残ります。

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