監査役BLOG

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[会社運営]

人を大切にすること

 社員を大切にすることで社員が勤勉に働いて、職員が社長に寄り添う会社の幹部の人と話す機会がありました。 その会社は近隣の会社で、話をした幹部の方も当社の事をよくご存じです。

『貴社の社長は社員の皆さんを大切にされ、社員の方は仕事に勤勉であると聞いています』と聞きました。 『いやいや、うちは生ぬるいですよ、社長は仕事より家庭を大事にするという常々言っていました。 だから子供が発熱したら家に帰らせてくれたし、会社の台所が広くみんなでお昼ご飯を作ってみんなで食べていても何も言いません。 その代わり急な仕事で残業になったり、休日に出勤することになって残業代も出ないですが、文句を言う人もいません。』とのことでした。

『当社でも子供が熱を出したら帰宅してもらっていますし、お昼ご飯を会社で作る人はいませんが、残業したらきちっと残業代を払っています。失敗は誰でもあるので誰かの失敗を厳しく詰めたこともありません(失敗を失敗と認める限りは)』、コンプライアンスをきちっとすることが結果的に人を大事にすること、その時話題になりませんでしたがきちっと人を評価すること(良いことも悪いことも)、自分がされて嫌なことをしないこと、これらは職員を大切にする基本と思っています。

会社の職員について現場の人、管理職の人、経営に近い人、それぞれの役割が違い評価項目も違いますが社外の人から『貴社の職員は優秀ですね』といわれることが多く、社外で高い評価を得ていると実感する事が多くあります。

自分が代表をしていた時に社員を大切にするという意味で社員教育に力を入れ、会社を辞めてもうえろくで働いていたというだけで評価される人に育てる、他所でも通じる教育を考えていました。 結果的に職員の成長につながったかどうかわかりませんが、仕入れ先以外の人から職員を誉められると人は宝という気持ちを新たにしてゆきたいと思います。

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[会社運営]

多様性

 最近ダイバーシティという言葉が話題に出てきます。 外国語でカタカナのまま使われる言葉は用心しないとそれこそダイバーシティに意味がぶれてしまいます。

テーマは多様性、特に企業文化の多様性についてです。 企業文化といってもその企業に属する人が文化のかなりの部分を担いますから企業人としての個人の価値観の多様性についてのお話になります。

組織の文化や価値観が統一されていてそれに沿って個人の能力が発揮されれば強い組織になると思います。

ある会社で誰に聞いても全く同じ答えが返ってきて『割っても割っても金太郎あめ』(棒状の飴で断面に金太郎の顔がえがかれている)と揶揄される会社があります。 それほど情報が徹底している会社で、嫌味で金太郎あめの比喩が使われます。 『会社の方針がそうであっても個人的にどう思うのか』という嫌味です。 サラリーマンの横並び意識と同列で金太郎あめと評価された時に嫌味になります。

組織に属す全員が組織運営に関する情報が開示され、徹底して共有されることは企業文化として強みになります。 共有された情報に対する対応がよく協議されて、同じ方向に向いていることは戦略の徹底という意味で強みになります。 もちろん優れた戦略であることは重要です。 ここまでは当たり前のことですが、当社も含め出来ていない組織があまりに多いという事です。

当社の場合基本方針の開示がないという批判が社内にあります。 規模拡大が急であったために規模に応じた方針が出せていないのであって方針を作らないわけではないし開示しないわけではありません。 基本方針は重要項目でとりあえずというわけにはまいりません。

つぎに各収益事業において実績を上げるための個別の戦略が明確でないという批判があります。 現実には目先の売上にとらわれて戦術主導になり、戦略思考が培われなかったと判断しています。 局地戦で優れた戦術により勝ちを収めても長期にわたり全体で勝ちを収めることは難しくなります。

このような状況で各個人はいろいろなことを言い、いろいろなことをし始めます。 いろいろなことは大抵混乱を招くことになります。 いろいろなことを行えば混乱が社外に波及します。 経営サイドに無い物ねだりをされても人、物、金、情報の経営要素が経営サイドに集まらなければ材料がなくて料理を作れと言われているものです。

経営サイドは様子を見極め、必要事項の優先順位をつけて取り掛かります。 現場の人に方針などを公表し、現場では戦略に練り上げ戦術に落とし込んで行くまでに批判されます。 それは各人が自分が正しいと誤解していることによる場合が多いとおもいます。

企業という組織は一般に役割分担を行い、役割間のコミュニケーションを通じて理解が進むものですが基本方針を批判する人は基本方針を分担する人に質問しません。 質問するまでもなく自分が正しいと判断が働いています。

自分の考えの思い込みの強い人は時に成果を上げますが、思い込みがツボにはまった場合で、成果は続きません。 自分の考え以外の考えを自分に取り込むことが私は多様性の効果と思っています。 古い言い方をすれば引き出しが多い人、柔軟な人でしょうか?

組織が多様性であってなお成果を上げるには構成員の個々人の心の問題が大きいと思います。

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[他業界]

ややこしい高機能家電

 私にしては珍しくP社の斜めドラム洗濯機を買い5年たちました。 ヒートポンプによる乾燥機能付きで高額商品、発売当時中国の高額所得者が皆買った商品です。 私はP社が嫌いでめったにP社品を買わないですが、家電スーパーでモデルチェンジ期にたまたま買いに行き、50%引きにつられて買ってしまったものです。

4年目にして乾燥機能がおかしくなりました。 やたらと綿ホコリがつまり、乾燥しません。 乾燥が終わった洗濯物をまた乾かすというバカらしいことをしていたのですが、ついにネットで修理依頼をしました。

何の修理か入力する過程で製造番号の入力項目がありましたが製品に製造番号が記載されていません。それを飛ばして入力を完了し、修理希望日にチェックを入れると翌日電話がかかってきました。 ご希望の修理日はいっぱいで修理に行けないとのこと、理由は忙しいだけで理由になっていません。 ネット上で空いていた日ですから『いいよ』と言っておきながら『忙しいからダメ』と後日言ってくるのはいかにも腹立たしい限りです。 もちろん謝罪もありません。

再指定した日と時間に職員がやってきて修理は15分ほどで終わりました。 ねじ止めされたフィルターを取り外し可能なものへ変更するものでした。 取り外されたらフィルターは取扱説明書にも掃除するように書かれているもので掃除をしていたのですが、ほこりがフィルター裏面まで廻り外して裏面を洗浄しないとだめだったのです。 明らかに設計ミス、欠陥です。 メーカーは保証延長という事で無料修理でしたが、高額商品でありながらユーザーに連絡もしない対応に腹が立ちます。 車ならリコールでしょう。 P社はかつて石油ファンヒーターの二酸化炭素中毒死事件を起こし、長期にわたり新聞広告で商品追跡をして誠意あるメーカーと評価された会社ですが、洗濯機で人は死にません。 だから何もしないというのがP社の誠意です。

修理後問題なく使えましたし、後継機種を見に行った時にはマイナーチェンジもされていました。 発売初期でメーカーはこの欠陥に気づいていて対応しませんでした。 かつてP社は技術あるメーカーとして評価されていましたが、現在人気はありません。 そのうち家電事業をやめるかもしれません。 今は住宅に力を入れているようですが、企業文化が変わるものではないのでP社の家など全く買う気がしません。

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[会社運営]

キャリア

 当社は急成長したがゆえに管理職が不足しました。 というかポジションは管理職ですがたまたま大きな売上を計上できた営業であったり、長期に勤務した薬剤師であったた方が就任しています。

一般的に言う管理職に期待される役割である戦略立案、新人教育、メンタルケアなどの訓練を受けていないので期待することに無理があります。

そこで外部で管理職キャリアを積んだ方を採用しました。 すばらしいキャリアの方ばかりで到底当社のような中小企業で見当たらない方です。 それらの方が素晴らしいキャリアを積めたのは在籍していた会社で高いハードルのミッションを与えられたからです。 それらの方の同僚が同じようにミッションを与えられて達成できなかった方もたくさんおられるでしょう。 また当社にお越しいただいた方のように達成したにもかかわらず離職される方も世の中には多いということが解りました。

当社でそれらの方に適切なミッションを与え続けられなければ当然その方たちは当社に貢献していただけません。 このことだけであれば無理難題を言い続ければよいように聞こえますが、理解の得られない無理難題は無理難題に終わります。

上手くミッションを出し続ければ当社の急成長に拍車がかかると信じられるようになりました。 零細企業が中企業に規模を成長させる方法はいろいろあるでしょうが、どこでもやっている事業で競争していても業界に逆風が吹いていても成長できる環境が多くの事業分野にあることは経営者の一人として将来展望を描けます。

社内の人材から管理職にという人は多く、それを否定しませんが管理職のノウハウも経営のノウハウも社歴の長い大企業に蓄積されていて、零細企業が独自に蓄積することは現金資産を蓄積するのと同様に難しいものです。 また管理職や経営ノウハウは人に帰属し、本を読んだりコンサルタントに指導されたとしても借り物のノウハウに思えます。 ノウハウをもつ人の採用とその人の貢献は本やコンサルタントの指導や研修会に勝る教育だと思います。

その様な優れた人たちが大企業から停年などによりポロポロ離脱して労働マーケットに流れていく様は大変もったいないと思う一方で、我々零細企業にとって経営の神様降臨と感じます。 もちろん神様に見える凡人の方もたくさんおられますが。

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[会社運営]

仕事の流儀

 ゴルフを始めて最初はティーグラウンドに立ちピンに向かって打ったことです。 コースが総てピンを見通せるわけではなく、見通せる限りにおいてですが、飛距離は人並みなのでボールの落下点には障害があります。 コースがそのように設計されていること等全く関心がなく、直線的に狙って打てばよい単純な遊びと思っていました。

結果的に障害であるバンカーなどに捕まることが多く、スコアは崩れます。 バンカーから打ち出すのは上手くなりましたがバンカーに入れない方が当然ながらスコアはまとまります。 急がば回れという事でしょうか?

仕事でも同じことが起こります。 目的に向かって直線的に進めば障害にあたります。 ゴルフの障害のように意図して作られたものではありませんがこれは仕掛けられた罠ではないかと思うようなものもあります。

そこで障害を予測し、障害の排除を目的にすることが多く起こります。 これは問題だから解決しなければならないという場合で、それが間違いではないのですが本来の目的が見失われると問題解決が総てになってしまいます。

ドラッカーが問題から出発してはいけない、解決しても元の状態に戻るだけだと言っています。 クレームが起こり問題になっていれば直ちに対応しなければなりません。 一歩踏み込みクレームが納品遅れにあり、担当が納品処理を怠っていたとすればその担当に注意して終わりです。 更に踏み込めば納品データのやり取りのタイミング、さらに踏み込めば納品完了チェックシステム、さらに踏み込めば・・・・と続きます。

トヨタが現場で『なぜを4回繰り返す』やり方をしていますがこれに近いものと思います。 トヨタのように徹底することが難しい事でしょう。

なぜをどの方向に4回繰り返すか? 私はこれが大事と思っています。 得てして楽になる方向だったり、ミスが減る方向だったりします。 結果ミスは減ったけれど煩雑さが実務の要請を超えることもあります。

ゴルフはこの点では単純で良いスコアが最終目的、初めのなぜで飛距離を伸ばすで止まってしまい、ボールを変え、クラブを変え、筋トレを行い飛距離は伸びたもののスコアが悪くなったという笑い話になってしまいます。

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[人間関係]

本音

 小泉元首相が現役時代『上り坂と下り坂以外にま坂がある』と言われました。 それは意外という意味の例えとしてで印象に残りました。

事故と言われるものは大抵予測がつきません。 かつて交差点で車にひかれかけた時その1分前から急にぞくぞくして、青信号に変わった交差点に自転車で侵入直後自動車が左折し私を弾き飛ばすところでした。 運転していた人は私が出てくると思っていなかったのか停止後ハンドルに顔を乗せて動揺を鎮めていました。 私はその時予知能力があるのではと思ったほどです。

しかし人が組織が行う決定や行動は大抵予兆があります。 ボクシングで左ストレートを出す前に必ず2回ジャブを出すとかパターンがあります。 予兆なく絶妙のタイミングで左ストレートがが出せた時絵に描いたような一発ノックアウトシーンになります。

弱電メーカーのP社は数年前から住宅関連に主軸を移しています。 家電メーカーがハウスメーカーに変身するのは意外性がありますがハウスメーカーの作る住宅に革新的なノウハウが詰まっているとは思われない一方でずいぶん利益が出ています。 最近の住宅にはソーラーパネルが屋根に設置されていたり空調や照明の高度化により建築業は箱だけ作ることになります。 自動車産業が自前主義から組立産業になったようにです。 P社における予兆はおそらく半世紀近い前にあったと思います。 当のP社が認識していたかどうか解りませんが、社史等ではその動きが後付けされていると思われます。

個人ではどうかと言えば、大抵の人は発言の中にその予兆があります。 その発言を聞いても大抵は何も感じません。 しかしある人のまさかの行動はずいぶん以前から発言や態度に表れていてその人との対話が総て録音・録画されていればここの所作、この発言とまさかの片りんは本人が意識しているかどうかは別として見つける事が出来ます。

それをまさかと思うのは大抵損得では説明できないからです。 ミクロ経済学でも人は平たく言えば損得が唯一の行動基準と定義されていますが、最近は説明がつかない事象に対して損得以外の価値基準を持ち出しています。

本人も意識しない将来行動の片りんは現代では膨大な情報に埋もれがちです。 違和感を感じた発言行動を丹念に拾い、本人の得になる示唆をするのは本人の価値にならない示唆になりかねないところが難しいところです。

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[価値観]

事業

 私の居場所は谷町筋に面したビルの7階窓際です。 上町台地の上にビルが建っているので階数以上に高く、遠くが望めます。 高い建物がなければ西側は大阪湾がきれいに見える場所です。 大阪湾に沈む夕日が見えたことから地名も夕陽丘となっています。

窓から景色を眺めながら見えている範囲に仕事の種類はどれくらいかと考えました。 付近はお寺が集積しているのでまずお寺、宗教が仕事がどうかは別として、お寺を建てる宮大工、境内の植木の剪定をする植木屋、寺の屋根に太陽光パネルが設置してあり、パネル製造業者、見えている景色から拾い出した仕事の種類は想像されるものも含めて100くらいは思いつくでしょう。 見えているものから想像するわけですから谷町筋を走る車から自動車産業、タイヤ製造、ガソリンスタンド、石油会社、走る車からタクシー、バス、ゴミ収集、運送業と1000くらい思いつくかもしれません。

さらに想像を膨らまし、ガソリン添加剤製造メーカー、お坊さんが頭をそるカミソリ製造業、お寺が飼っている猫のキャットフード製造業、キャットフードの包装材料と印刷業等で1万くらいの仕事、事業、商品を連想できるかもしれません。

やった事は無いですが毎日10分ほどの時間をさいて景色を見ながらエクセルに仕事を書き込んでいきます。 1万種書けたら、もしくは想像できなくなったら今度は書かれている仕事で自分の生活を成り立たせる事が出来るか考えます。 生活するうえで不便であり、在ったら良いと思える仕事を考えます。 『それは事業としてて成り立つか?』おそらくそんな作業で思いついた事業や仕事などすでに社会の片隅で細々営まれているか儲からないので誰もやらないのかでしょう。

しかしこんな風に考え続けることは新規事業を考えるうえで訓練になると思います。 事業として成立する新規事業のネタは日々の仕事や生活の中に潜んでいて誰もが見えているけれど気が付かないもの、気が付くような訓練をして自らの価値観に刷り込まなければ見えているものから見つけることが出来ないように思います。

そういうことを考えるのが上手い人と話をしていると驚かされます。 なんでそんなことを考えられるのか、その人は皆と同じものが日常で見ていてそうかと思うだけです。 それは理屈でもなんでもないように思います。

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