監査役BLOG

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[言葉]

表現と記録

 私は65歳、60年ほど前、家におもちゃのテープレコーダーがあり初めて自分の声を録音して聞きました。 録音性能は低いものでしたが生まれて初めて聞く自分の声は他人の声に聞こえました。

その後録音技術は改善され、ハードもコンパクトで低価格となりましたが私の関心は写真に向かい、小遣いを貯めてカメラを買って写真をせっせと写していました。

社会人になり仕事で記録すべきことが多くなった時にバインダー式の手帳を使うようになりましたが記録が生かせません。 記録項目を決めて見出しを付け項目ごとに記録するなど工夫しましたがうまく行きません。

30年ほど前にシャープのザウルスというアイホンの一番大判くらいの電子手帳を使いだしました。 記録の活用が悪かったのはファイリングの方法が悪いことも原因で、ザウルスはよくできていて有効に活用できました。

その後再び紙の手帳に戻り、最近20年はB5版の手帳を使っています。 それ以外に考えをまとめるのにA4の白紙に鉛筆で書きます。 考えが固まっていないとき考えをまとめるのにこの方法を使います。 だからまとまっていない考えが文字になっているのであとで読んでもわからないことが多いです。

会議の議事録を会議中のメモから作りますが、自分の発言はメモに書けません。 自分が何を考えているか解っているので自分の発言を議事に書く事が出来ます。 しかしよく抜けているので録音することになりました。 それで気付いたことは自分の発言は理解できないという事、他人の発言は大変筋が通っているという事です。

これでよく会議が成り立っていたものだと感心する一方、自分の謎めいた発言に嫌気がさしました。 議事録は苦痛でしかありません。 自分の表現力の乏しさにずいぶん落ち込みました。 それを何十回か繰り返すと自分の発言のタイミング、表現などが改善されてきました。 辛い議事録作成は自分の成長につながったのです。 昔の言葉で言えば『わが振り直せ』たわけです。

最もそう思っているのは録音を聞く自分で他の会議メンバーから『最近解り易くなった』とお褒めの言葉を頂いたわけではありません。 コピー紙に書きなぐっていた整理されていない考えのような発言は当然みんなに解りにくく、みんなは必死で『何言っとるんや』と考えてくれたのでしょうが、解り易くなると『そういう事か』で終わってしまい、印象に残らないのかもしれません。

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[経営]

たとえ話

 何時の時代でも最新の話題には珍しい言葉や考え方が出てきます。 私の場合TVのない生活をしていて会話について行けないときがあります。 例えば『コンサバ』、coservativeで保守的なという意味だそうです。 私の英語の知識に無い単語、ネットで意味を調べて当時の会話に当てはめても意味が通じません。 相手は大手商社から出向した人でその数か月前の経済誌を丹念に読めば出てくるのでしょう。

服飾の世界でよくつかわれる言葉のようですが、服飾に詳しい中年女性に聞くと知っていました。 前出の会話で相手がコンサバと使った意味合いは経営方針やマーケットの環境を示す言葉で保守的では正確に意味をなしていないように思いました。 経済環境の背景として日銀の黒田総裁がマイナス金利を導入し、円安が安定して輸出関連企業が息を吹き返して史上最高利益をたたき出し、アメリカで大統領選挙がが重なった時期かと思います。

その時期に『コンサバ=保守的』は経済環境の趨勢から投資を控え、財務体質を強化して次に来る嵐に備えるような姿勢はなかなか理解に苦しむところでした。

前置きが長くなりましたが、何か新しい概念や状況を説明するときいずれかの分野の専門的な言葉や概念を持ち出して表現されます。 私も相手に話が通じないときに話題とは別の分野のたとえ話を持ち出します。 先日も年代的に近しい人に会社の将来展望について明治維新前夜の話を例示しました。 将来の会社のビジョンを考えるときに現状からスタートしなければ具体的な対策は立てられないという説に対して「あなたが明治維新前夜の旗本で将来ビジョンを描こうとしたときに現状からスタートすれば幕府ありきになってしまい実際の明治の世界と異なる的外れなものしか描けないのでは?」と例示したら「よくない例えだ」と返されました。 残念ながらここでの話では話題の焦点がかみ合っていません。 維新時に幕臣といえど新しい技術、経済の知識はあったはずでドラッカーのいう「既に存在する未来」をもとに話をすれば見える景色は異なってくると言っているのですが、彼は現状をどうするか、士農工商の身分制度や幕藩体制など存在する現実からスタートしなければならないというものです。

極端な例示をするのが私の悪い癖で例示の失敗です。

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[採用]

[未分類]

就職

 新卒の採用行事がスタートする中で就職活動の特集記事が新聞に出ていました。 日本経済新聞電子版は当日の記事で読んで行くと最後に最近掲載された同種の記事をさかのぼって読む事が出来ます。

インターンシップに焦点を合わせた記事では30社のインターンシップに参加した学生の話題が出ていました。 インターンシップの日程は1日から1週間程度のものまでいろいろで、30社も参加するとなるといったいいつ大学に行くのか、そもそもインターンシップで何が解るのかいろいろ気になります。 記事は漫然とインターンシップに参加するのではなく同業や関心のない業界のものに参加するなどアドバイスしています。 これらの記事やアドバイスは就活する学生向けに書かれたものか採用者側の人事担当向けなのかわかりません。

人の価値は多様で応募者がやりたい仕事とその仕事を行う組織のミスマッチが話題になります。 確かにミスマッチはあります。ミスマッチは不幸な事なので避けるに越したことはありません。

当社は中途採用が多く、応募者はほとんどが転職歴のある方です。 転職された理由は入社した企業が業績不振、仕事をやってみたけど自分には合わなかった、直属の上司とそりが合わなかった、転勤したくなかったなどいろいろです。 新聞記事でミスマッチにあたるのは『仕事をやってみたけど自分に合わなかった』の項目になります。

ミスマッチの転職が多い人は1年以内の退職を繰り返し、残業が多い、お客様の顔が見えない、人間関係が殺伐としている、離職者が多いなど具体的な理由を挙げられます。

なぜ同じような業界を選び転職するのか事前にわからないのか、もしくは調べないのか不思議に思い質問を続けました。 よくある答えは採用担当者が好印象であったとの答えです。 いわゆるブラック企業は離職率が高いので採用の効率を挙げなければなりません。 そこでよく聞くのは採用担当者に好感の持てる人を配置するというものです。

私は今更採用面接に応募はしませんが取引先を選ぶとき相手企業を訪問します。 相手が個人事業主のような小さい会社であれば昼間に前を通り、夜も前を通って様子を見ます。 夜の22時で仕事をしている様子だったり、窓がスモークの車が頻繁に止まっていたりすると取引を躊躇します。

企業情報はネットにあふれ、丹念に調べるとその会社の実態が分かってきます。 ネットには意味のない情報も溢れ、一定の割合で単なる誹謗情報も多くあります。 ある程度大きな会社を目指すのであれば読み切れないほどの情報があります。 深夜にその会社の前を通り残業しているか調べるのも一つですが、いわゆるブラック企業はその手の情報が溢れています。

当社でも仕事のできる人はどこからともなく貴重な情報を得ています。 情報はあり、それを評価できなければ単なる情報です。 自分にとって貴重か評価できなければ情報は意味を成しません。

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[プライベート]

自分を鍛える

 ドラッカーは自分の強みや弱みについてほとんどの人が解っていない、せいぜい弱みの一部が解っているくらいだと言っています。 自分の姿は見えないし、自分の言動は相手が言ったことほど記憶していません。

もし自分の姿が見えて自分の言動がおさらい出来たら自分のことが解るようになります。 ビデオレコーダーが出来て自分の声や姿が見られるようになりました。 テニスをやっていた時に自分のフォームを映像で見て『こんなに下手なら上手くなりようがない』と思いました。 初めて録音装置で自分の声を聴いた時もショックでした。

自分という存在の見た目はセンスの良い服を着て清潔にし、きれいな歩き方を心がけます。 コミュニケーションでは喋る速さや語彙に工夫し、表現力を豊かにします。 社会的に信頼を得るために、つまりは仕事をうまくこなすために何をどのように考えれば良いか、自分の考えをテーマを決めて作文します。 作文は会話と違って時間に余裕があり、相手は紙です。 自分がどのように考えているか冷静に書く事が出来ます。 書き始めのものを読めば迷っていることをくどくど書いていたりしますが、だんだんと筋の通った文章になり、さらに自分らしさも出てきて人に読まれて恥ずかしくないものになっていきます。

会話ではよほど訓練を重ねなければ普段封じている言葉や考え、相手の発言内容に刺激を受けた自分らしからぬ発言も出てきます。 せっかく多くの作文で鍛えたのに、テニスで言えば散々壁打ちで練習してきたのに相手が壁でなくなるとたちどころに望まぬ自分が出てきます。

私は自分の理想に向けて思考や会話を訓練し、理想に近づくことを否定していません。 私は65歳で躾けには年を取りすぎていると思われるかもしれません。 俳優は自分の映像を何度も見て研究するし、政治家は失言しないように努力するでしょう。(マスコミが批判するかどうかが訓練の基準でしょうが)

もし自分が理想に近づけば、そしてその理想が社会一般から受け入れられるものであれば見えてくる景色、人間関係が変わってくるでしょう。 まず自分に対する相手の見方が変わり、相手が影響を受けて相手(自分の周囲の人間)も変わり、相互の関係もさらに変わっていきます。 出来るだけ多くの人とこのような相互作用が成立し発展して行くことが私の理想です。

 

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