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季節感

 このブログで何度か書きましたが、私はチャンバラ小説が好きでよく読みます。 作家は主人公のキャラクターをきめ、いろんな事件を演出しながらたくさん書いてゆきます。 シリーズものがヒットすれば10作前後書く人もいますし、30作迄伸ばす人もいます。 TVの連続ドラマのようで、いわゆる歴史小説は作品数が多いです。

同じキャラクター、江戸の同じ長屋、剣客の流派等でバリエーションが出てきます。 季節や食べ物、当時の珍しい仕事も題材になります。

季節感は作家によって表現がいろいろで、食べ物や着物の種類、雪や台風などの気象、花、野菜売の野菜の種類まで使えるものは何でも使います。

読者は『野菜売が大根を・・・・』といっても現在では周年大根は売っているので季節感の小道具としては弱くなってきます。 雪や台風、氷結、うちわ、打ち水等現代でも季節を連想するもの、露骨な小道具の登場機会が増えます。

私はかつて積雪期の山に登るのが趣味であった時期がありました。 絵を描く友人と登っていると向かいの尾根の落葉樹は完全に落葉していて雪面から枝が無数に出ています。 私の感覚からすれば白いお餅にカビが生えたような印象です。 友人は『きれいなローズグレーだ』といいました。 多分色の話であろうと分かったのですが、ローズグレーは初めて聞く色の名です。 向かいの尾根の雪面に生え出た落葉樹の色、雪はあくまで白いので色を見間違う事はありません。 お餅に生えたカビのような色が美してというのは感性の違いでしょう。

いまから100年ぐらい後、西暦2100年になってまだ小説というものが残っていた時、時代小説のジャンルにサラリーマン小説が入っていたとします。 平成期のサラリーマンの生活をエンターテイメントして仕立てた作品で、ある作者が私のブログをネット上で発掘し、作品の主人公にしてシリーズ化したとします。 チャンバラ小説同様シリーズ化されて作者は変化をつけるために季節感に工夫します。 主人公は毎朝6時に起きて7時に出勤する、冬、途中の公園の落葉樹のローズウッドの色がかつて愛した女性のコートの色を連想したと書かれても100年後の人は季節感を抱かないかもしれません。

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