監査役BLOG

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[会社運営]

仕事

 求人の仕事をしていて自分が就職した42年前と様変わりしたものだと思います。 一番の違いは終身雇用が消えようとしていることだと思います。

応募者の履歴書の職歴欄は若い人でも幾つもの職歴が記載されています。 転職理由もさまざまで、収入が低い、昇給しない、将来展望がない職場、人間関係で躓いたなどです。

どれだけの人が同じ職場で定年まで勤め上げるか統計を見たことはありませんが、永年勤続者の割合が減ったのは疑いのないところでしょう。

転職する人は職業紹介会社に登録する事が多く、自分でホームページを見て応募したとかハローワーク経由で応募は激減しました。 応募者御本人の転職理由は明らかなのですが次の職に何を求めているのか確たるものを持っている人は少なく、紹介会社の人に薦められるままに応募してこられる人が多くおられます。

自分に合う会社、仕事かどうか働いてみないとわかりませんが、何処の組織でも一人前になるまでは賃金も少なく、会わない人もいるかと思います。 又成長分野の人気企業に入社したものの40歳を過ぎた頃にリストラされて年齢から再就職で苦労している人も見かけます。

会社や組織に仕事人生を大きく依存することは危険で、自分が主人公として自分を活かすかを意識している人がいます。 自分の強みについて解っていてそれを活かせる仕事か熱心に質問されます。 自分に合わないと思えば辞退されます。

一方仕事人生が組織に依存している人は自分に与えられる仕事、処遇ばかりを気にします。 仕事人生と仕事環境がぴったり一致するとは限りません。 今までやってきた仕事、それが営業職なら自分が営業が得意と誤解している場合も多いです。 ずっとやってきた営業の仕事が自分の得意と信じているだけで他人が見れば営業が得意に見えません。

先日再就職支援の企業説明会に行ってきました。 支援会社の人が冒頭に『思い切って職種転換した人が成功しています』と言っていました。 しかしそれなりに同一職種で年齢を経た人は今までやってきた同じ仕事しか出来ないとはじめに宣言されます。

実は私も転職組、当社で始めにやったのは薬局の店番、介護の営業、経営者、採用担当など零細企業なので何でもやりました。 特に得意であることはなく、特に苦手意識もありませんでした。 それぞれの業務で結果は出してきました。 満点の結果はありませんが、その業務で停滞することもありませんでした。

初めての飛び込み営業を一人で行った時すごく緊張しました。 しかし私は緊張が3分くらいしか続きません。 震えるほどの緊張がなくなってしまいます。 初めてとはいえ営業に行って震える人は少ないかと思います。 しかし3分で緊張が抜けてしまう人も少なく、緊張が解けてから営業に関しては良い結果に結びつきました。 当時46歳、そこで始めて自分の強みの一つがわかりました。

前職は総務課に配属されていて契約書や諸規程の策定、株主総会の運営などを担当していたのでまったく畑違いです。 それだけ必死感があったのでしょう。 すこしの必死感が必要な場面で強い必死感で望むので感じてくれた相手は仕事をくれます。 もちろん頂いた仕事も必死で行ったのでその後も仕事は続きました。

そのような体験から余り自分の強み弱みについて配慮しなくなりました。 一時は自分はいったい何をやってどんな成果を上げることかできたのか悩みました。 全力を尽くしても失敗はあり、10年も経てば記憶に残るのは失敗ばかりです。 15年もすると失敗の記憶が増えて仕事を続ける気がしなくなり会社を辞めたいと思うようになりました。 実は自分はこのような長期にわたる失敗の経験に耐える力がなく、その間成功も多く成し遂げていたのですが、くじけそうになるのが自分の弱みであることに気が付きました。

長期にわたる経験で成功体験にしがみつく人がいて、自分が優れた人間と信じている人がいます。 たいていは高い役職について何もしない人です。 自信に満ちた態度、何も決断せず従って責任も取らない人は組織の不都合な事態に直面してもキャリアに傷が付くことはありません。

自分に似た経営者がビジョナリーカンパニーに紹介されていました。 大企業の経営者で業界の衰退期に大胆な業種転換して成功した経営者ですが、手が空けば窓から外を見て自分の失敗を心の中で嘆くそうです。

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[意思決定]

判断

 判断する仕事があります。 会社の取締役は主として判断業務に尽きます。 判断するうえで必要なことは判断すべき情報の収集です。 AIに何ができるか、という話題で経営判断は実現の可能性が高い仕事の一つとして議論されていました。

経営判断に必要な情報はマーケットの状況、競合他社の動き、判断したことを実行する職員の資質、判断者の経験・価値観などです。 従って上手く行かなかったときの言い訳はマーケットの読み誤り、競合他社の過小評価など判断に必要なことに紐づいてきます。

人間よりAIが判断業務に優れているとしたらそれぞれの情報の評価が客観的である点です。

aさんを起用するかどうかはaさんの人事考課、会話、会議の報告など判断者が過去にaさんから得た情報を総動員して行います。 更に確認のためaさんに近い人、上司や同僚に評価を聞くと全く違ったものが返ってきたりします。

aさんは仕事を詰め込んでやる人で成果も挙げるが失敗も多く、その失敗も慎重さや丁寧さが欠けているがゆえに起こる失敗だとします。

慎重な人であればaさんの杜撰な面ばかりが印象に残っているかもしれません。 積極的な人の評価は高くなるでしょう。

aさんを起用するかもしれないことは知らされておらず前提なしの評価になります。 判断の難しさの例として人の評価を挙げました。 これが数値化できるもの、実績でも同様の問題が起こります。 前年比110パーセントの売上、多くのマーケットでは優れた実績かもしれません。 しかしそのマーケットの伸長率が前年比120パーセントであれば競り負けた実績になります。

ますますAIの登場が望まれます。 しかし例示したような思い込みのによるミスジャッジは多くの場合誰かが気付いて修正され、権限者が意地にならなければ修正されますし、経験上例示したような極端なミスは千分の一の確立だとして、ある会社の経営判断が年に千回行われ1回のミスジャッジが引き金になって倒産に至るケースは多くあり、倒産事例として報告されています。 ミスジャッジの確立が千回に1回で、どこの会社も年に千回経営判断するのはあてずっぽうですが起業した会社が10年後の生存率が1割ならかなりの確率でミスジャッジが行われていることになります。

コンサルタントはミスジャッジしないスキル、素早い判断の方法、ミスのリカバーを指導しますし経営側もよく考えています。 しかし環境変化は速く、過去の成功時例は今日の失敗はよく聞きます。 思い出す言葉は『愚者は過去に学び、賢者は歴史に学ぶ』です。

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[会社運営]

人事考課

 組織で重要なことの一つに人の評価があります。 人事考課を想像して下さい。 多くの人は人事考課は収入に直結する指標と思い浮かべるでしょう。 確かに本人にとって収入は大きな要素です。

本人目線で多くの人が人事考課に望むのは自分のことを正確に評価されているかです。 想定以上に評価が高く、昇給したとしても大して嬉しくもなく、逆に自信のある項目や客観的な成果を上げたにもかかわらず評価されなければ不快感を示します。

自分のことを正しく評価できていれば強みを活かすポジションにつける可能性があり、キャリアアップに繋がります。

一方評価する側は相手が複数人で相手の事がよくわかる人もいれば判らない人もいます。 営業職などで単純に実績だけで考課している場合は考課目的が昇給や賞与の査定が目的で考課そのものの不満は小さく出来ます。 しかし考課項目の数値化に主観が入るものは考課される側に不満が出やすくなります。 考課者は期待値を実績と混同して評価しがちです。

被考課者が上級職である場合、考課内容は貢献の比重が大きくなります。 営業組織長の考課はマーケットの状況がどうであれ結果が出なければ低い効果になってしまいます。 市場の変化に努力したか、判断は的確であったか、部下は慕っているか、よりも実績を上げたかどうかが重要になってきます。 部下に嫌われていても的確な戦略や指示を出す事ができて実績に寄与したならその地位にとどめるべきでしょうが結果が出なければ席を追われる事になります。 人材が豊富な組織では組織に留まる事すら出来ないでしょう。

組織の長や会社の代表が人気の有無で決まりやすい場合、その組織は次第に毀損してきます。 地方自治体の首長はえてして人気取りで決まり、人気だけで首長になった都市は10年の単位で寂れていきます。 会社なら業績が低迷し、業界に逆風が吹き荒れるまでもなく潰れていきます。

組織のトップの評価は未上場企業ではトップ自ら行うことになります。 たいてい自分が可愛いからダメだしはしないものです。 経済誌の倒産事例記事にありがちな話です。

私はチャンバラ小説をよく読みますが、江戸期以前では組織長である大名などは世襲です。 大名は地域を支配する、つまりは所有する立場ですから世襲というのは納得しやすいでしょう。 現代ですら所有物の相続は認められているのですから。

ところが法人組織の所有といえば株式、その配当が所有対象の実態です。 大きな会社の創業主の株式を相続した大株主が会社の支配権を行使しようとするのは会社法上間接的に認められていても傍目には見苦しいものです。 それば経営合理性から判断していない場合が垣間見られるからです。

 

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[社会]

不安の掟

 自分の過去を振り返り、不安に思った瞬間を思い出してみました。 強い瞬間の不安、数時間続いた不安、何年も続いた不安、いろいろなことをやったので色々な不安を経験しました。

強い瞬間的な不安、夜中に軽自動車に乗って信号待ちしていて大型トラックに弾き飛ばされたとき、この大型トラックは10トン以上の大型で軽自動車は交差点の向こう側まで飛ばされました。 鞭打ちになり、就職時期でどうなることかと心配になりました。

大峰山系の道のない山を下山していて道に迷い、台風で雨が土砂降りで合羽を着たまま谷の中で疲れて寝てしまったときです。 別に危険ということはなかったですが地図で自分の位置も判らず不安はありました。

今会社にやってきて売上が増えるけれど資金が底を着きそうになったとき黒字倒産が頭をよぎりました。

どのケースも不安を感じた直後に何をすれば良いのかわかりません。 呆然とした状態です。 いずれも時間の経過と共に冷静になり、対応を考えます。 山で道に迷い、日没になると何も出来ません。 冷静になったら寝ることだけ、予備初句もなかったのでおなかが空いていたはずですが雨の降る暗闇の中であっさり日の出まで寝てしまいました。 自分に胆力があったのか判りませんが、岩だらけの上で眠れ、朝には爽快であったことを覚えています。

会社の資金残量が毎月減少して黒字倒産を覚悟するまで融資を求めて走り回りました。 黒字であっても何処も融資に応じてくれません。 親戚などにもお願いしましたがお金の話は別でした。 もう少し冷静になれば仕入先に支払猶予を求めれば応じてくれたはずですが考えが至らず、策が尽きたときに父の死亡で遺産相続しました。 最終的に資金は200万円ほどショートしたのですが、資金繰り管理ができていなかったので不足額はわかりませんでした。

どの場合もわかってしまえばいくつかの方策はあり、いまの知識があれば瞬間にうろたえることはなかったでしょう。 もちろん呆然としたでしょうが、私の場合数分で開き直れたと思います。 切羽詰った緊急事態で早い対応が求められるときには開き直る事ができれば最悪の選択は取らなかったでしょう。

先が見えないような長期の不安であれば瞬間の開き直り、瞬時の対応ではなく状況の把握や考え抜かれた緻密な方針と計画が必要になってきます。 たとえばデジタルカメラが普及したとき、フィルムメーカーのコダックと富士フィルムの対応です。 コダックは倒産し、富士フィルムは医薬品メーカーとして再生しました。 写真フィルムのように需要がほぼ無くなるのではなく毎年10パーセント収縮するマーケットで事業を行っているような場合です。 eコマースが拡大する中でのデパートなどです。 デパートに良く行きますが、多くの企画で集客を図り、昔のデパートと様変わりしていますがトレンドには逆らえません。

当社のような中小企業でもマーケットが衰退期に入る瞬間に混乱が起き、多くの同業は困惑しています。

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[会社運営]

綻び

 会社の規模がすこし大きくなって綻びが出てきました。 綻びは業績の低迷、過去を振り返れば好調だったときに原因が発生しているようです。 現在は過去の反映と強く認識しました。 その当時の責任者の施策が現在の問題の原因なら当時に対策を講じたか、引継ぎで十分な説明を行ったか、後任は対策を講じたかが課題です。

過去から見れば現在は将来、確実な将来は自ら築くことと言う言葉に従えば過去において将来を築こうとしなかったことになります。

現在の不都合が過去の失策であるなら現在の施策は将来を築く展望に基づかなければ同じ失策を積み上げるでしょう。

経営層は自ら描いた将来展望に基づく方針を出し、現場マネジャーは経営層の方針に基づき最善を尽くします。 現場マネジャーが常に自らの将来展望にこだわれば統制が取れなくなります。 現場マネジャーは経営層の将来展望を強く意識して目先の課題に取組まなければ組織の運営はできません。

この役割分担が当社のような小企業であれば曖昧になったり、経営層の描く将来展望を信頼できなくなったりします。 その時点で企業は崩壊に向け進んでゆきます。

 

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[社会]

浦島太郎

 介護の事業はいまのところ無くすことのできない事業です。 世の中には無くすことのできない事業分野がいくつかあります。 教育機関、病院、消防署、その一方でなくなっていく事業も沢山あります。 カメラのフィルム製造、新聞販売、薬店など衰退していく産業分野があります。

AIが話題になり出した時にどの分野がAIに取って代わられるか検討されました。 税理士業務やコールセンター、弁護士事務所、会社経営者などです。

最初に申し上げた介護事業なども長期的には人の関与が減ってゆくと思われます。 このような無くなっては社会的に困る事業分野は法律で守られることになります。 行政はこれら事業に税金も投入するので事業利益もコントロールします。

コントロールされるので上手くやれば相当利益が計上できます。 コントロールされている事業の各事業体ごとの利益が大きい順に並べると上位は相当儲かり、為替も国際分業や景気変動の影響も受け難い特徴があります。 安定して工夫できればそこそこの利益が計上できるので、経営の視点から捨てがたい事業といえるでしょう。

しかし日本において国の借金=国債発行残高などが天文学的な額になってくると安閑としていられなくなります。 社会的機能が低下した銀行は国の保護が弱まり、破綻する自由が与えられました。 お家芸である産業分野のメモリー、ディスプレーなども完全な救済はされませんでした。 国立大学は独立採算の傾向を強めています。 病院も破綻して閉院するところが出てきています。 医療点数をすこし辛くすれば閉院は加速するでしょう。 調剤薬局はM&Aが横行していますが薬剤師の仕事の受け皿として増え続けています。 介護事業は早い時期から廃業が続いていて、新規事業者と入れ替わりが続いています。

すこし視点を変えれば農業も保護が薄れ、土地の流動化・技術革新を伴って大企業が参入しています。 50年を待たずして日本の産業構造は激変してゆき、自分が生きて目の当たりにすれば驚きの変化と想像します。

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