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多様性

 最近ダイバーシティという言葉が話題に出てきます。 外国語でカタカナのまま使われる言葉は用心しないとそれこそダイバーシティに意味がぶれてしまいます。

テーマは多様性、特に企業文化の多様性についてです。 企業文化といってもその企業に属する人が文化のかなりの部分を担いますから企業人としての個人の価値観の多様性についてのお話になります。

組織の文化や価値観が統一されていてそれに沿って個人の能力が発揮されれば強い組織になると思います。

ある会社で誰に聞いても全く同じ答えが返ってきて『割っても割っても金太郎あめ』(棒状の飴で断面に金太郎の顔がえがかれている)と揶揄される会社があります。 それほど情報が徹底している会社で、嫌味で金太郎あめの比喩が使われます。 『会社の方針がそうであっても個人的にどう思うのか』という嫌味です。 サラリーマンの横並び意識と同列で金太郎あめと評価された時に嫌味になります。

組織に属す全員が組織運営に関する情報が開示され、徹底して共有されることは企業文化として強みになります。 共有された情報に対する対応がよく協議されて、同じ方向に向いていることは戦略の徹底という意味で強みになります。 もちろん優れた戦略であることは重要です。 ここまでは当たり前のことですが、当社も含め出来ていない組織があまりに多いという事です。

当社の場合基本方針の開示がないという批判が社内にあります。 規模拡大が急であったために規模に応じた方針が出せていないのであって方針を作らないわけではないし開示しないわけではありません。 基本方針は重要項目でとりあえずというわけにはまいりません。

つぎに各収益事業において実績を上げるための個別の戦略が明確でないという批判があります。 現実には目先の売上にとらわれて戦術主導になり、戦略思考が培われなかったと判断しています。 局地戦で優れた戦術により勝ちを収めても長期にわたり全体で勝ちを収めることは難しくなります。

このような状況で各個人はいろいろなことを言い、いろいろなことをし始めます。 いろいろなことは大抵混乱を招くことになります。 いろいろなことを行えば混乱が社外に波及します。 経営サイドに無い物ねだりをされても人、物、金、情報の経営要素が経営サイドに集まらなければ材料がなくて料理を作れと言われているものです。

経営サイドは様子を見極め、必要事項の優先順位をつけて取り掛かります。 現場の人に方針などを公表し、現場では戦略に練り上げ戦術に落とし込んで行くまでに批判されます。 それは各人が自分が正しいと誤解していることによる場合が多いとおもいます。

企業という組織は一般に役割分担を行い、役割間のコミュニケーションを通じて理解が進むものですが基本方針を批判する人は基本方針を分担する人に質問しません。 質問するまでもなく自分が正しいと判断が働いています。

自分の考えの思い込みの強い人は時に成果を上げますが、思い込みがツボにはまった場合で、成果は続きません。 自分の考え以外の考えを自分に取り込むことが私は多様性の効果と思っています。 古い言い方をすれば引き出しが多い人、柔軟な人でしょうか?

組織が多様性であってなお成果を上げるには構成員の個々人の心の問題が大きいと思います。

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