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坊さんの話

 曹洞宗の僧侶で南直哉さんの『超越と実存』を読みました。 今までの読書体験で理解できなかったトップに近い書籍です。 数ページ読んでは読み返し、それでも1割も理解し得ていないでしょう。 読後第17回(2018年)小林秀雄賞の受賞策であることを知りました。 この賞は日本語表現豊かな評論、エッセイに送られる賞だそうです。

内容として副題である「無常」をめぐる仏教史でお釈迦様に始まり、法然、親鸞、道元に至る日本仏教史の中で仏教観の変遷を解説されていて、エッセイというよりアカデミックに感じました。 ずいぶん苦労して読んだ割には理解できていないので評価は差し控えます。

南直哉さんについて知りたく、ネットで検索するとユーチューブにNHKの『こころの時代~宗教・人生』で南さんの対談の映像を視聴し、一つ解ったことがあります。 対談の中で自分の認識について以下南さんの解説です。

自分というものはない=無我が現に自分は存在していてどのように認識するか、自分を台風の目に例え、台風の目は何もない穴、この穴の実態は何か、何もないという解説です。 実体の無い台風の目を自我に例え、穴とその周辺で強風が吹く、その関係性が自我であるというものです。

別の例をすればコップ、液体を入れて飲むための道具がコップで雑貨店で並んでいるコップはコップではない、コップという実態ではないというものです。 なるほどこの関係性を縁起というそうです。

なんともめんどくさい考え方で、一体何の役に立つかというといじめなど社会現象をこのような縁起で考えると解決の糸口が見えてくるというものです。(生半可な認識なので南さんが聞いたら怒られるかもしれません)

採用面接で応募者に質問します。 「貴方はどんな人ですか?」、「私は実存しない、台風の目のようなものです」と答えた人はいませんが、この質問をしながらいつも疑問に思っていたことがあります。 常識的な答えとして 意志が強い、やさしい、数学が得意、経験が豊富・・・等々です。 意志が強いとは孤島で一人で暮らしているわけではありませんから何か対象があって意志を貫いているのでしょう。 強いという事は何かの比較かもしれません。 部活のサッカー部で一人で居残り練習をしているとか、他の部員が部活を終えて帰宅しても一人練習している、他の部員より意志が強いになります。

ある時から「あなたはどんな人ですか?」をやめて「あなたは周囲の人からどのように思われていますか?」に変えました。 何かアピールポイントがあれば、例えば負けず嫌いとか、そのエピソードを聞くようにしました。 この違いは南さんが解説する縁起を聞いていることになるように思います。

ドラッカーが『人は自分の強みをわかっていない、せいぜい弱みの一部を知っている程度」という解説がずっと引っかかっていましたが、もしドラッカーが南さんの縁起の解説を生前に聞いておれば面白い著書を出版したかもしれません。

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