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善良な者

 企業運営で何かを決めるとき、複数の人の意見をすり合わせします。 皆善良で誠実で会社にとって好ましい意見を出してきます。 ある人が意図して悪意に満ちた意見を出してきたとすればその意見がいくら魅力的に思えても即断しなければ複数意見のすり合わせの中で悪意は露見してきます。

人は何かで秀でたいと思うものですから自己主張します。 負けず嫌いで組織に貢献することで自分を際立たせたいと思う人は結構おられます。 方針にこだわる人、プロセスにこだわる人など、物事を決める瞬間に一気に自己主張されます。 主張は筋が通っていてシンプルです。 説明はお上手で、熱弁をふるいます。 エビデンスとしてデータもふんだんに出してこられます。 大抵は近未来にとって都合の良い意見で、不確定な中長期で考えればリスクの多い意見であったりします。

私はこれら善良なる者への説得と結果の尻拭いが仕事の多くの労力を注いできました。 本人は自分の意見が通ったことで大きな問題がその決定から生じなければ会社に貢献したと信じています。 そこには莫大な機会損失が埋没していて、10人の人員を1カ月投入したプロジェクトが10の貢献を一時的にもたらし、もし私がやれば一人で数日で仕上げ、その貢献は数年にわたって1000続くようなことがあります。

何も自分が特別優れているわけでもなく、奇策を尽くしているわけでもありません。 最もシンプルで貢献に寄与する最善策を考えているだけです。 しかしその策は見た目に美しい策ではなく、自分が担当したいと思えるようなやりがいを実感できるようなものではありません。 地味で手ごたえを感じにくい策です。

私も当然下手を打ちます。 おそらく失敗の数だけなら一番多いでしょう。 正解を見いだせた確立も決して高くありません。 しかし他人の意見はしっかり聞き、時間をかけて決定してきました。 何時決定しても良いことを決定するまで5年以上かけたこともあります。

ここまでは私の経験上の愚痴かもしれません。 それらの人の意見を取り入れなければなりませんし、たまに最善策を提案されもします。 授業料と思って結果を待つ場合もあります。 高い授業料です。 説得を試みても経験値はすべで理屈で表すことが出来ません。

おおよそ今話題にしたような決定を上手く行える人にあまりお目にかかった事は無く、巧妙にダメな決定を下す人は多く見てきました。 経営は善意に満ちた誤りにいかに対処するかにつきます。

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