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鉄の女

『鉄の女』を見てきました。 前回の『戦火の馬』同様物語として脚色された映画というよりは現在のサッチャー氏自身の視点で過去を振り返るドキュメンタリー作品です。

私が高校生の頃から11年間首相の地位にあった人ですが、当時海外ニュースにあまり関心を示さなかった私も女性初の英国首相誕生や、フォークランド紛争、IRAのテロなどイギリスの歴史や経済を理解していないものにとってわかりずらい事件が起こったことは記憶していました。

フォークランド紛争はなぜ英国が南米の諸島を領有しているの、その島の領有権をめぐって戦争したのか、この映画でよく解りました。 保守党党首で首相となったサッチャー氏は日本流に言えば義を通す決断を無し、地球の裏側まで艦隊を送り込み、艦船1隻をミサイルで撃沈されて300人からの海兵が犠牲になったことなど詳しい記憶はありませんでした。 実話かどうか解りませんが米国の代表がサッチャー氏に緊急面会して戦争を避けるように進言し、サッチャー氏は『アメリカは本土から遠くはなれたハワイを占領されたら戦いますか?』と切り替えしています。

野田首相が尖閣諸島にたびたび領海侵犯する中国巡視船に自衛隊を繰り出して攻撃を仕掛ける決断をするようなものです。 時代背景もよく描写されていて労働問題が吹き荒れ産業が荒廃し、国家予算は底をついている時期に巨額の戦費を支出し、犠牲を払って戦いに勝利し、人気の無かった首相から国の英雄になったあたりは現在の日本に背景が似ているように思います。

無難な選択ではなく、国家の威信を前面に掲げ妥協しない姿は涙なしで見られるものではありませんでした。 ほかの男性議員たちの問題点のみを指摘し続ける姿は日本の野党やマスコミに酷似しています。 自分の考えに臆することなく貫く姿は強いリーダーシップそのもので、危機において必要なものだと思います。

ユーロ成立時に加盟することなくポンドの独立性を守り、それが元で議会や国民から支持を失い退任に追いやられたときに毅然と国会を去る姿は素晴らしいものでした。 ユーロ危機において非加盟の英国は他国の通貨リスクをかぶることなく悠然としていられますが、加盟していればギリシャ問題のときに独メルケル種子用、仏サルコジ大統領と現英国首相はぎりぎりの判断を迫られたことになります。

つまりこの映画はサッチャー氏の政策が当時批判を受けたにもかかわらず数十年後の英国に大きな国益をもたらしたことを図らずも証明しています。
いろいろな意味で今が旬の映画であり、主演のメリルストリープの演技がサッチャー氏のリーダーシップを見事に再現している作品と思いました。

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