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蹲踞(ソンキョ)

難しい熟語でなじみはないかと思います。 TVの相撲ち夕景を見ていて解説の元関取がたまにこの言葉を使います。 土俵でしゃがんで相手と対峙する姿勢をあらわし、剣道でも試合の前にしゃがんで向かい合うのも同様に蹲踞というようです。

相撲や剣道、柔道等道とつくものはスポーツとは一線を画していると教えてもらったことがあります。 元々は命を懸けて戦う技を鍛えるためのもので、得点を競うスポーツ性とは相いれないようです。

相撲で上位に位置する力士の蹲踞の姿勢は見ていて心洗われるものを感じるときがあります。 『これからお前と真剣に戦うがお前に何の恨みもなく、恨まれる何物もない』といった感覚です。 相手の目を見て平常心をもって顔を合わしています。 ボクシングで試合の前に選手が呼ばれ審判に注意を受けているときのボクサーの闘志剥き出しの表情とは違い、非常に物静かな感じがします。

採用面接は面接官と応募者が向き合い真剣に質疑を繰り返します。 相互に敬意を払いながらも面接官側は相手の弱みはどこで強みはどこか質問を繰り出してゆきます。 それはパンチやけりは出ないものの曖昧なものが感じられると追加の質問が矛盾をついてゆきます。

最近の面接で話題になるのは圧迫面接などある種の威圧を加えて動揺するかどうかを見るなどテクニックが独り歩きしている感があります。

私は論理の戦いと思っています。 応募者は自己アピールを繰り返しますが、嘘をついていないか、もしくは勘違いしていないか確認しなくてはなりません。 応募者は一般に自分の弱みはよく知っていて、つかれると動揺します。 そこで評価を下げるのは素直に自分の見識の誤りを認めることができるかどうかです。 こういう強みがある、こういう強みを自分のものにしたい、こういう強みはいいと思う、などこれを自分の強みと言い切った実態には何段階かに分かれます。

そういう時、ラッキーパンチを繰り出したボクサーのようにしゃにむに相手にパンチを繰り出すボクサーがいます。 しかし、こちらが相手の言うことをそのまま受け入れ、「ではそれが強みであるエピソードはありますか?」と切り返すのは相手を追い詰めるより相手の本質に迫れるように思います。

このような姿勢を相撲で言う蹲踞の姿勢ではないかと思います。 わざわざ時間と交通費を費やして当社を応募したい、と思ってこられた人には最大限の敬意を払ってその人が当社に会う人がどうか判断したい、決して小手試しで人を扱い、判断しないそういう姿勢が私は望みます。

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