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新規事業

当社の事業は医療・介護保険にかかわる事業です。 面接で志望動機を聞くと『市場規模が拡大する事業分野だから』と答えが返ってきます。 確かに無くなることはありません。 人が病気や要介護になる限り、保険制度がある限り、無くなることのない事業分野です。

しかし徴収された保険料と税金の補填、自己負担で運営されている保険制度で賄われる金額は膨大で、年々膨らんで行っています。 総額でいえば約50兆円、国の借金が国債発行残を含め1200兆円になり、今のままで制度維持が難しくなっています。

今まで制度改定の時期になると厚生労働省が検討してきたことを小出しにして、反応を見ていました。 財務省から予算を減らす圧力がかかって制度変更を行ってきたのですが、最近は財務省からこの制度をこのように変えてはという変更内容の指摘があるようです。

内容はともかく、お金がないのだから変更せざるを得ないわけですから『市場規模が拡大するから』と楽観できません。 もちろんすぐに無くなるものではありませんが、内容はどんどん変わって行くでしょう。 仮に医療・介護の保険制度がなく、全額自己負担なら高齢者の多重診療は殆どなくなり、高齢者が介護サービスを使う頻度は激減するでしょう。

例えば処方箋が出て、薬は病院やクリニックで調剤されることでそれなりの医療保健点数がつくようになれば門前薬局は激減するようになります。 高齢者介護の自己負担割合が1割から3割になれば介護サービスは激減します。 そのような施策について功罪があるので劇的な制度改正は行われませんが、ジェネリック使用割合を80%にする方針は10年前には考えられなかったことです。

会社運営をする中で毎期の業績を追求するのは当たり前として、どこの会社も10年先を考えています。 当社も同様で10年先も無くならないが大きく様変わりする事業は当社で継続できるかどうかわかりません。

介護用ベッドや車いすは無くなり、高齢者がガンダムのようなロボットスーツをまとうようになるかもしれません。 我々の仕事はロボットスーツのメンテナンス・配送になりますのでロボットメーカーがこの分野を担うようになるかもしれません。

そこで10年先を見越して今から何を手掛けてゆけばよいか、未来予測の本をいくつも読んでみました。 必ず出てくるのが人工知能AIの活用です。 インプット・アウトプットの関係が比較的単純な仕事は機械に置き換わるというものですが、以前にも書いたように税理士業務などはかなりの部分AIに代替されると予測されています。 なくならないのは相談業務、経費を使い何かを買った会計処理は単純ですが、今の財務状況で、または一般的に営業車両など資産を買うよりリースで賄うとアドバイスするとかです。

調剤薬局で調剤業務はAIの性能アップを待つまでもなく自動化は現在の技術で可能です。 機械・装置が大きくなり、高額でもあるので現在の調剤薬局の規模では過剰投資になってしまいますが、アマゾンの物流センターであれば投資も設置も可能で、処方箋が来てから数時間内に薬が手元に届くことが可能です。

現行制度の問題を無視すれば服薬指導はテレビ電話システムやメールの問診にこたえることで可能になります。 その受け手は薬剤師ですが、問診内容をAIが薬剤師に代わって行う可能性は否定できません。 薬剤師の役割はAIソフトの改善や新薬研究などになってきますが、新薬開発では一部AIが利用が始まっています。

現在の職業のかなりの部分は様変わりしてゆき、一体何を新規事業にすればよいかわからなくなってきます。

実際の事業運営を考えた時にすぐに劇的変化が起こるわけではないので、変化のプロセスを追う事になるでしょう。 30年ほど前に初めて携帯電話を見た時、現在のスマートフォンを誰も想像しなかったでしょうし、その頃初めてインターネットショッピングモールを熱く語った友人を思い出します。

現実にはスマホもネットショップも30年後の現在でも固定電話や店舗販売を完全に排除していませんが、かなりの部分代替してきたと思います。 私同様高齢の人は固定電話を使い、店で買い物をしています。 その利便性を受けるのは人ですから、世代交代と共に変化が進むのでしょう。

ちなみに私の母親は90歳前ですが、毎日安否確認の電話を始めました。 最初は固定電話にしていたのですが、最近携帯を持つようになり、携帯にかけています。 電話のそばにいなくても電話に出る事が出来るので携帯が便利だと母もすぐに理解しました。

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