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先日求人サイトの原稿作成でインタビューを受け、起こされた文章が送られてきて違和感を覚えました。 当社の理念の中のビジョンが『働きたい会社№1』、それをテーマに取材に応じたのですが、肝心の部分が『働きやすい会社№1』になっていました。

読み流しやすい表現の違いですが、働きたい会社は働きやすい会社ではありません。 『働きやすい』は残業が少なく、休暇は取りやすく、人間関係が良くてストレスも少ない、給料も多い、楽にお金が稼げるようなイメージを抱きます。

『働きたい会社』は仕事は困難であっても、たとえ給料が低かっても、不意の残業があっても、事務所は狭くて古い建物であってもその仕事をしたい、私の場合働きたい対象は会社というより仕事にあります。

もちろん給料は高いに越したことは無く、残業は無いに越したことは無く、休暇は取れて福利厚生が充実しているに越したことは無いのですが、医療介護業界は一部の資格職を除き賃金は低く、残業は恒常的でも働きたいと思う人は多くいるものだと思います。

採用面接をしていて「どのような会社で働きたいですか?、どのような仕事をしたいですか?」に対し「社会に貢献できる仕事、お客様にありがとうと言ってもらえる仕事」と答える人が多いです。 私は「世の中の仕事はすべて社会に貢献していますよ、貢献の対価は利益で利益がなければそもそもその事業や会社は存続できませんよ」と意地悪く切り返します。

「社会に貢献していることを実感できて、なおかつお客様からありがとうと言ってもらえる」仕事ということになるわけですが、お客様がなんと言ってくれるかどうでもよくて、役に立つことが重要なポイントです。 車いすの選定で、お客の好みを聞いて不適合な車椅子を納品してもお客様は『わがままを聞いてくれて』ありがとうとというかもしれません。 基本は役に立つ、利益が得られる、つまりはプロの仕事でしょう。

そのような選定に『ありがとう』の一言を求めるのは要求過大と思います。 我々の仕事は舞台演劇の黒子、観客は俳優の演技に拍手を送りますが、舞台の見えないところで証明や装置を動かしている多くの人がいて、舞台演出を高めています。 観客は誰も証明が良かったと拍手しませんが、照明がここ一番で主役を外して投影したらその舞台は台無しです。

仕事はプロ的であればあるほどプロ以外のものにその重要性やスキルはわかりません。 『ありがとう』と言われ続けたいなら拍手を受ける仕事につけばよい、それはそれでやりがいのあるプロの世界ですが、拍手も受けないプロの世界があり、確実にプロの貢献はあります。 想像すればよい、ミュージカルが炎天下でBGMなしで行われるところを。

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