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生き心地Ⅱ

岡 壇氏著『生き心地の良い町 この自殺率の低さには理由がある』というタイトルの本の感想後篇です。

本書の中でなにか当社の運営と似ているところはないか、と言う視点で読みました。 『生き心地の良い町』が『働きたい会社№1』という当社のビジョン実現の参考になるのではと考えたのです。

前回紹介したように書の研究フィールドは徳島県海陽町(海部)ですが、歴史上大量の移住者が各地から当地に流入しています。 短期間に大量の移住がなされると地域の地縁的な文化が崩れます。

一方当社は最近ですがここ数年職員の増加率が高く、職員の3割が1年間に増加したりしています。 もちろんその前後の年も増加する一方で古い職員が止めたりしています。 年功序列の風土は弱く、先輩への敬意は比較的弱い一方で後輩の遠慮も弱い会社になっています。

海陽町では他人への関心の強さがあると記されています。 著者が研究のために海陽町の宿で宿泊し、聞き取りで出かけると皆著者が何のためにいるのか知っていて、機会があれば話しかけてこられるようですが、考えが違ってもそのことで関心を示すわけではありません。

この部分では当社で新人が入社してポータルサイトで公表されても特に皆が関心を持つわけではなさそうです。 職種が違えばさらに関心が薄く、営業職のものが薬剤師の新人に関心を示すことはありません。

海陽町で特徴的な風土で、著者はリーダーの選出をあげています。 よそ者が流入してきて問題を起こさないよう監視するのが一般的ではあるが、海陽町では監視するより関心を持つ、そしてリーダーを選ぶときに家柄などよりリーダーとして優れているか、その1点でリーダーを選出する傾向が強いそうです。 多くのよそ者がいる小さな村で古い家柄やお金持ちをリーダーにするよりたとえよそ者であっても問題解決能力が高い人をリーダーに選ぶ傾向があり、風土の維持に貢献しているそうです。

企業ではリーダー選出に関して当たり前のように思われるかもしれませんが、過去の実績で高齢のリーダーを温存して問題となった企業、就職人気ランキングが常に上位にもかかわらず実態は派閥人事が行われている企業、リーダー選出は企業において海陽町ほど上手くいっていない事例が多いと思います。

海陽町の風土して隠し事が無い事も挙げられていましたが、企業においても風通しの良さはよく話題になります。 当社は個人情報にかかわるもの、未決定の経営方針や戦略は秘密扱いにしますが、財務データなどは開示しています。 社員の関心は経営者である私より部門の長に対して強いように思われ、指示を出す人が最高責任者より吸引力が強いようです。

ほかにも類似点は多く見られましたが、地域コミュニティと企業を全く同一に比較はできません。 しかし人の問題と考えると本書は働く環境を快適にするうえで多くの示唆を含んでいるように思えます。

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