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経営者の役割

  経営者の役割は多岐にわたりますが、多くの経営者がすべての役割を果たしているわけではありません。 業種・業態、企業規模、幹部の資質、経営状態によっても経営者の役割の優先順位は変わってきます。

 中小企業が規模拡大を目指しながらほとんどが規模拡大を果たせません。 何百万もの法人企業がある中で上場を果した企業は数千社、零細企業の新陳代謝を考えれば千分の一が規模拡大を果たせることになります。

 もちろん規模拡大を目指さない企業も数多くあり、一定の利益を長期にわたって 計上する老舗もあります。 そもそも企業の目的は生命体と同じで生き抜くこと、継続して存在するには安定して利益を上げ続けなければならず、規模拡大は有効な方法です。

 営業出身の経営者は自分の特技が営業なのでひたすらトップセールスを行い、販売増に注力します。 人事出身の経営者は採用、教育、賃金制度に関心がわくでしょう。  企業の構成要素に人材は大きな役割を占めているので売り上げを伸ばさない時にも優秀な営業を採用し、社内教育でスキルを磨かせれば販売が増加すると考えがちです。

 しかし企業の規模拡大に対する課題は販売力、人材、社員教育、販売する商品力、社風、財務、ひょっとしたら社名の良しあしなどいろいろなものがあり、経営者がすべてにおいて熟達しているわけではありません。 専門スキルを持つ幹部にそれぞれの業務をゆだねて行うのが一般的です。

 いくら財務のエキスパートがいて、金融機関との折衝力があっても今投資すべきか、投資するとすればいくらファイナンスが必要か、その判断は経営者から外しがたい役割になります。 投資は将来予測、現状を分析していま増員すれば二年後に戦力化が図れ、扱い商品は五年以上ライフがあるので増員した社員が三年以上利益を稼いでくれる、といった予測です。

 これらの予測はすべて現状の精査により行われ、データ分析を積み上げてゆきます。 たとえばプロ野球のシーズン前の優勝チームの予測に似ているように思います。 株価予測等も開設を読んでいるとよく似ています。 近未来は近過去が決めるというものですが、それらの予測は外れることも多いです。 仮に当て続けることができて何年も予測を当て続けて億万長者になった投資家は稀です。

 数年前に香港に行き、投資ファンドのCEOからプレゼンを受けたことがあります。 香港訛りのクィーンズイングリッシュは難解でしたが、リーマンショックの前後で50%以上の利益を稼いでいました。 私は一体何を根拠にリーマンショックい直前にすべての投資を引き揚げ、ショック直後に底値で株を拾えたのか聞きました。

 彼の答えはアメリカの有名な非農業部門での雇用統計、建設受注残等シンプルなものでした。 しかしこの種の予測に登場する指標は手を変え、品を変え聞いたこともない指標が登場します。 学術論文でもそうですが、結果に見合った指標を繰り出して大発見のように言われてもその瞬間はそうであっても再現しなければ科学的ではありません。 つまり発見であっても経済理論の発明ではありません。

 香港の例はごく一般的な指標を組み合わせ、それを見抜いたところに凄さを感じました。 優れた仮説を立ててその仮説に従えば指標はこのように動くだろうと予測したのです。 つまりあらかじめ立てた予測とその予測従えば指標はこのような動きをするという仮説が優れていたのでしょう。 ボードにマーカーで書いてせっめいしてくれたものは簡単なグラフで、難解な数式ではありませんでした。

 近過去の積み上げに対して仮説を立て、指標評価の方法変えるだけで見事に予測した例だと思います。 そう考えることができたのはアメリカの住宅バブルがいずれ弾けるという予測を持っていたことにほかなりません。 香港の住宅事情は厳しく、マンションなどは東京より高い価格になっています。 想像ですが不動産取引についてはアメリカより香港が優れたマーケット感覚があるのではないでしょうか。

 将来予測について近過去の分析以外にあるべき姿を追求するというものがあります。 この商品やサービスはこうあるべきだ、これが理想というものです。 それに向かって突き進む経営者がいます。 岩いる熱い人です。 アップルのジョブズはこのタイプの経営者と思います。 近過去の分析より予測される近未来よりより遠い未来を予言することができる場合があります。 しかしすべての商品やサービスが経営者の描く理想に向かうかどうかわからず、違うコンセプトとして発展する場合も多くあります。 自動車では自動運転の話題がにぎわっていますが、そもそも人が移動しなくなれば自動運転の車はそれほど売れなくなるでしょう。

 ドラッカーはすでに起こっている未来を見つけることを勧めています。 これは現実的で経営に応用できます。 気づくかどうかはその人の感性、アップル社の製品は革新的であっても技術的には完成されたもの、電話でネットに接続できればというのはドコモがすでに行っていたものでした。

 近過去の分析や仮説を立てることやすでに起こった未来を見つけることそれらの複合で経営者は基本方針を立てるのですが、出来るだけシンプンに構成しなければ少しぶれた時に答えは大きくぶれることになります。

 

 以前香港

  

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