[社員教育]
守破離
会社で普段接する機会の多い人は幹部の方です。 一緒に仕事をさせてもらっていて、その人と出会った時期まで遡って思い出してみるとずいぶん変わった、つまりずいぶん成長したと感じます。 殆どの人にそのように思います。
組織で仕事をすることは組織の死後に関わる情報の海に漂うようなもので、それが食品分野であれば食品の情報を、金融であれば金融情報に数多く触れることになります。 付帯して組織の戦略や人間関係の情報も多くあります。
仕事をしているとこれら情報に触れ、経験を積み、小さい判断から徐々に大きな判断を任されるようになります。
日々新しい体験なのでたいていの人は先輩や上司を見習います。 そして上司や先輩のやる通り判断することを重ねると慣れてきます。 求められる判断の中に前例とは少し異なる要素が加わった判断を求められることがあります。 応用問題で、その時見習うべき経験値がなければその人なりの考えで修正された判断を行います。 応用問題をこなしてゆけばやがては先輩とかなり異なる行動パターンが現れ、やがてさらに進化して先輩や前例と違う判断・行動になってゆきます。
古典芸能の世界で言う『守破離』はこれにあたり、守り、破り、離れてゆく成長過程を表しています。
一人もしくは数人で構成される芸能の世界は演題の解釈が大きく変わることはありません。 事業会社ではその事業を取り巻く環境が変動し、昨日正しい方法が今日通じるとは限りません。 そしてたいていの事業は組織で運営され、社外の組織とも連携しています。
このように考えると守破離はビジネスマンが個人としてわきまえなければならない行動パターンをマスターするうえでは有効ですが、組織としてミッションに向かうときに有効なものなのか、守破離に重きを置いて大変よくできたビジネスパーソンは信頼でき、有能であるでしょう。 そのようなビジネスパーソンを何人もめぐり合っています。 そしてその人たちの多くが一人で動いていて、集団を動かしているイメージが乏しいのです。
気配りができて、部下や取引先の信頼も厚く、会議で適切な提案もする経営者がいて、その人がみんなの目標になり、リーダーシップを発揮しうるか、できる人は自分より劣る人に任せるより自分でやってしまうでしょう。
そして大変忙しくなり、孤独になり、年老いて退任されます。