薬局で月に1回、製薬メーカーの講師に来ていただき、そのメーカーの薬の効能などについてセミナーをやってもらいます。
先日は第一三共の『クラビット』という抗菌剤のお話でした。
医者と薬剤師向けの内容で専門的であり、私のような門外漢が聞いても7割はわかりません。
しかし理解できることは非常に単純です。
課題があります。 クラビットは抗菌剤ですから細菌を殺すのが働きです。 以前100mgの錠剤が許可されていましたが、このたび500ngが販売できるようになったとのことです。
わけもわからず500mgが必要なら100mgを5錠飲めばよいと単純に質問しました。 厚労省は医科向け薬剤の承認に際し、用法容量が指定されます。 つまりクラビットは1回100mg投薬しか認められていなかったのです。
海外では1000mg投薬など認められており、今回日本でも認められた為に500mg錠剤が販売されることになりました。
クラビットを服用すると血中濃度が急速に上がり24時間で殆んどが尿中に排泄されます。 一方従来の服薬方法である100mgを数回に分けて服用すると、服薬後の血中濃度はあまりあがらず、次の1錠を飲む頃には前に飲んだ薬剤が排出されています。 つまり血中濃度が一定以上になることはありません。
ここで面白いのは殺菌作用があるのはある濃度以上で、それ以下の濃度では耐性菌を生むことになりことです。 それゆえ高い血中濃度が有効になるのですが、一方で副作用が問題となります。
たったこれだけのことのために色々な菌に対して効果があるか、疾患の種類ごとに副作用が出ないか、さまざまな治験データが紹介され、これだけデータを出さないと承認されないのか、投薬する上で必要な知識なのかは解りません。(私にとってはどうでも良いことです)
セミナーを受けて、これは社員教育や地域戦略と同じではないかと思いました。 社員に教育する時にちょっとずつ教えるのと困難ケースを一人でいきなりやらせる方法です。 ちょっとずつ教えると受け手が受け入れない時に言い訳=耐性菌を考えます。
いきなり困難ケースの場合、自信を失い、仕事に意欲を失う=副作用が見られます。 本人次第、内容次第で管理職は新人教育の場合に使い分けていると思います。
地域戦略では、ある地域で当社を含め3社がそれぞれ営業2名を投入してしのぎを削っている場合、当社が地域を掌握しようと3名を投入します。 他の2社は2名体制でチームプレーを工夫したり、値引きをしたりして対抗策を講じます。(=耐性菌) 当社は1名増員の割りに成果を挙げられません。
しかし4名投入すると営業密度は2倍になり、短期に地域を掌握し、掌握後もとの2名体制で十分という場合があります。 又は4名で頻繁に営業に来られると営業の名前は覚えられないし、時間はとられるなど逆効果=副作用になるかもしれません。
薬も教育も地域のせめぎあいも投入量に対する成果の比率で決まります。 薬の場合、重篤な副作用が見られると投薬方法は採用されません。
地域戦略であれば信用失墜などは重篤な副作用に当たるでしょうし、社員教育ではモチベーションの低下などがそれにあたるでしょう。
私は薬に関して知識がなく、イメージとしてはクラビットは悪人=菌をやっつけるホワイトナイトですが、専門的には殺してはいけない菌や組織のダメージ、その他の副作用と複雑と思われます。 知らないだけに薬は善悪がはっきりしてわかり良いと思ってしまいます。