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マーケットの変化とポジションの変更

有名な賃貸仲介業者の話です。 賃貸物件を借りようとして仲介業者のところに行きますと、希望家賃、希望地域、間取り、面積、建物構造等を聞かれ、条件に合う物件を紹介されます。
借手が入居を決めると契約になり、借り手は仲介業者に家賃の0.5ヶ月分を手数料として支払います。
仲介業者は家主から0.5ヶ月分の手数料をとり、合計1ヶ月分の手数料を得ます。

今は借手が少なく、、空室が多くなっています。 つまり借手市場です。 借手が得をするかというと一概にそうはなっていません。 家主は借り手が少なくなるので、仲介手数料のほかに広告料の名目で手数料をたくさん払い、優先して客付けしてもらうようにします。
地域によって空室率が高ければ0ネット方式がとられます。 契約時に敷金や保証金の代わりに礼金を取り、その礼金金額は仲介業者が決め、礼金がすべて仲介業者の手に渡ります。
仲介業者が高額の礼金を設定し、客が契約しそうであれば礼金を少し値引きします。 それが商売といえば商売なのでしょうが、この前聞いた話は33千円の家賃のアパートの礼金が20万円、仲介した業者は20万円の手数料を手にします。
入居者は生活保護の人で、25万円まで公費の礼金枠があります。 賃貸仲介業界は借手が減り、物件は過剰で、当然貸し手である家主や仲介業者は厳しくなって行きます。 業界の人に聞くと、ここまで広告料をとる契約は珍しいとのこと、仲介に携わる人は仕事の将来性もなく、取れるだけとって転職と考えている人がいるようです。

家主は建築コストや土地代金から家賃を計算していますが、マーケットの環境が変わったから原価を変えるわけに行きません。 価格は需給関係又は原価+事業者利益で決まります。
ここの部分が歪むと流通段階の弱いところが割を食います。 薬の卸などもそうで、製薬メーカー、卸、小売である薬局の中で一番弱く、割を食っています。

介護の業界でも取引先のP社はメーカーで、小さいマーケットでガリバーとなる戦略をとってきた会社ですから、自社製品分野では強気です。
しかしP社の製品を使う小売段階の事業者に聞くと最近大変評価が低下しているとのことです。 それでも威張っています。 威張っていられた時代が長かったので威張れないポジションになったことに気づいていません。
それは言い過ぎで、気づいていても変われないのかもしれません。
大メーカーが行き詰った時に高級品を製造して現状を変える動きをすることがあります。 日産自動車がトヨタに差を開けられたときに『シーマ』という高級車を作りました。 当時『シーマ旋風』と呼ばれ、シーマはよく売れ、日産の株価は上昇しました。

P社も汚れがつきにくい高級便器を発売し、当社の薬局に備え付けましたが、1年くらい経つと汚れが目立ち、なかなか取れません。
残念ながらこの便器はシーマのようにヒットしなかったようですが、普及品から高級品まで製造する大企業が価格的に飛躍した高級品を発売した時は危険な気がしてなりません。

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