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北の湖親方の死

角界の重鎮、北の湖親方の訃報が報じられました。 昭和28年生まれで享年62歳、若くして逝かれました。 ご冥福を心よりお祈り申し上げます。

私は同年の生まれ、故人が角界に中学1年で入門された時にはマスコミに報道され、同い年の少年が北海道から一人で東京の親方のもとに赴き、中学校に通いながらけいこを重ねることに自分との隔たりと、関心の無かった角界への親近感がわきました。

その後力士として活躍されたことはここで書くまでもないことですが、たまたま友人の母親と相撲の話になって『北の湖は憎たらしい力士だ』と言われて『違うよ』と心の中で反論したのを覚えています。 同年の私がまだ大学生のころで、そのころすでに横綱になっていて、『全くすごい奴だ、同じ学校にいたのなら一度は一緒に遊んでみたいものだ』と思いました。

若いころから体も大きく、力も強く、スポーツもできたのなら角界に入らず大人になっていたなら鼻持ちならない奴に成っていたかもしれません。 しかし中学1年から厳しい世界で修業に躾の日々は彼を若くして立派な大人になってしまったのでしょう。 今思えば今日までいつも自分より年上の近寄りがたい威厳を備えた男おられたように思います。

生きた時代は同じで、同じ国に生きていながら世間話も通じない世界で生き続け、同じ世代のわれわれよりももっと多くの経験を積み、濃縮された人生を終えられたことと思います。 自分の比較する意味もありませんが、そういう人生もあり、自分は平和に身勝手にのんびりとした人生を送ってきたことに後ろめたさすら感じます。

自分もこの歳になって人生を最後まで全うしたいという思いをもつようになりました。 それは歯磨きのチューブから最後の一押しで中身を出し切るようなイメージです。 人はそれが人生の最後の絞り出しかどうか解りませんし、判る必要もありません。 ただ、若い人に比べれば最後は近づいていて、いつも最後の一絞りのつもりで頑張っていますが、時々まだまだチューブにたくさん残っているのではと錯覚して手を抜いてしまうことがあります。 力士は20歳でも30歳でも取り組みで大けがをすれば即引退、チューブの残りがどれだけか凡人のわれわれには計り知れないものがあり、それが緊張したまたは腹を括りきった人生を歩ませ、我々の歳になっても残りを数えない凄みを身に付けているのでしょう。

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