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戦略の本質

以前にも紹介した戦略研究家の野中郁次郎氏は戦略の本質を次のように言っています。

『戦略とは何かを分析することではない。 本質を洞察してそれを実践すること、認識と実践を組織的に統合することだ。』

会社経営に置き換えて本質とは何かと考えると、私は将来を予測することだと思います。 多くの経営者は『将来を予測するために分析するんだろう』という事でまじめな経営者はせっせと分析を行います。

しかし、本質を洞察して分析しているのか? ドラッカーがアメリカのデパートの経営者の逸話を書いていました。 そのデパートの経営者は何かを買ってくれた顧客にアンケートを取り、分析をしてデパートの経営に役立てようとしたのですが、そのデパートはつぶれてしまったそうです。

ドラッカーは買わずに帰った来店者になぜ何も買わなかったのか問うべきであったと示唆しています。 この話で野中氏の言う本質は『売れない理由』であって売れた理由ではないと考えます。 本質がその通りならどうさつして調査分析は必要で、野中氏は『洞察に基づいて分析し・・・』と言っていないのは戦略は分析によるものではなく本質であると強調したかったと思います。

企業経営に携わらせてもらって私が思う本質は『こうすれば将来どうなるか?』という将来予測です。 こうすればは別の支店ではより社会に貢献できるか、とか従業員がやりがいを感じるとか、利益につながるかとかあります。 それらを考え事業運営として意思決定を行う上で将来展望が必要になってきます。

実績データは過去のもの、過去の正確な分析は将来予測に繋がりますが、洞察された将来ビジョンがあって初めて過去データの分析も将来に対する意味を持ちます。 過去の分析はデータも多く、思い込みがなければ正確に分析できるでしょうが将来予測は変数が多すぎて大変難しいものです。

それは天気予報の解説のようで、予報士は今日大雨が降ったことの理由は自信をもって解説しますが明日の予報は少しあやふやに解説します。 一週間後、一月後に至ってはサイコロの目を予測するような感じです。

経営予測の変数は気圧や気温の変化ではなく為替や金利や貿易収支や技術革新などどれ一つとっても天気予報程度には予測が困難なものです。 それゆえ本質がぶれないことが求められます。

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