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3月26日の日本経済新聞朝刊『経済教室』小宮山 宏三菱経済研究所理事長の論文が出ていました。
タイトルは「創造型需要で先行利得を」とあります。

面白い分析なので2回に分けて紹介したいと思います。 氏の論点で面白いのは既存産業を「普及型需要」を担うものとして、その需給バランスが飽和すれば「創造型需要」にシフトしなければならない点です。

普及型需要で例示したものはセメント製造、セメントは重量物なので地産地消製品、その製造料を人口で割り積算すると先進国では頭打ちになってきています。 セメントは道路、ダム、ビルなどの建造物に使われますが、一定の建造が終わればその補修用に使用するだけで、新たな道路を作るなど減ってきます。

普及型需要はこのように需要が満たされると頭打ちになります。 日本ではセメントに限らず普及型需要として家や自動車も飽和状態になっています。

経済成長著しい中国ですらこのような指標を元に飽和点を予測すれば5~10年らしいです。 例えば中国のセメント製造料は世界の50パーセントに達しているそうです。

個別産業分野で個別企業が長期生産計画を作る際にこのような予測は行われますが、国の経済成長の予測でこのような指標を前面に出した分析はあまりお目にかかったことはありません。
日本は元々輸出型の国であったので内需が既に飽和していても輸出すればよいという発想が強かったと思います。
中国を初め東アジアが日本の普及型需要を代替してしまえばもはや現行日本の産業モデルに活路はありません。

単純な話で、自動車を例に取れば耐用年数12年として現在の飽和台数7000万台の12分の1は約600万台の年間需要となります。 台数だけなら日本に自動車メーカーは1社あれば事足りるでしょう。

そこで創造型需要の創設ということになります。 面白い発想と思ったら氏は専門が地球環境工学だそうです。 経済学は純粋科学ではなく応用科学ですからいろいろな分野の人がいろいろな意見を出すことで経済学が発展する可能性を感じました。

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