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マーケット変化のスピード

 高齢者介護の業界、その中でも当社が位置する貸与事業の位置するマーケットの変化のスピードは速くなったように思います。

こんな話題を他業界にいる人と話せば『何をいまさら』と思われてしまうかもしれません。 例えば当社が位置する医薬品業界、処方箋調剤の業界ではもともと医師が調剤権を握っていて医薬品メーカーが自社製品を大量販売するため薬価マージン差をつけて医師は患者を薬漬けにして儲ける構図を崩すのが目的で院外処方箋の制度が生まれました。

今やコンビニの店舗数に匹敵する保険調剤薬局の店舗が展開し、それ自体がなぜか批判されています。 当時の官僚は患者の薬漬けが健康面でどうかという事も意図して行ったこと、現在ではいかに叩けるところを叩いて医療費を削減するかに焦点が置かれています。 例えばかつて後発薬が出荷され始めた時、行政に問い合わせると後発薬への返還はドクターの承認を求められました。 その後処方箋薬の商品名より化学名が使われるようになり、後発薬への変更も自由にできるようになりました。 社会の要請が医療費削減、卸と製造メーカーは拡販のため薬価マージンの制度を利用し続けましたが、行政は実勢価を元に薬価改定を行う方法を編み出しました。 この方法は理論上限りなく薬価が減少する制度です。

最初に利益率を落としたのは卸、合併を繰り返し、大型物流基地を立上利益の殆どを物流基地への投資に回しました。 初めに見学に行った物流基地はロボット化された最新鋭のものでしたが、ジェネリックの増加で品目数が増え、在庫数も増えて在庫の問題でパンク寸前です。

一方薬局は在庫リスクを減らすため在庫を減らした結果納品回数が増加し、卸に負担を強いています。

医薬品メーカーは新薬申請において申請方法を工夫し、高額薬価を勝ち取り批判を浴びています。

福祉用具貸与事業において卸は売上経常利益率10%以上を上げていて商品コードすら統一されていません。 10年以内に売上経常利益率は5%以下に落ちて共同配送、共有資産運用、合併と段階を踏んで集約されてゆくと思います。 今回上限価格設定がなされたのは貸与事業の収益性の低下の始まりで、薬価改定と同じマーケット価格を基準に行っています。

薬のマーケット規模と貸与事業のマーケット規模の違いから(金額ベースで薬は数十倍)マーケット変化のスピードが遅いのでしょうが、行政がそれを許すはずはなく薬も福祉用具貸与事業も主軸は配送業なので法律や制度の変更後にはこれらの事業の主体は運送業者に移ってゆくと思われます。

福祉用具の業界がマーケットの変化への対応に鈍ければ最後の変化は急激だと想像できます。

 

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