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フラット化する世界

トーマス・フリードマンの「フラット化する世界」をよんでいます。 最近読書のスピードが落ちて400ページ2巻の本に苦戦していますが、内容は濃いもので今が旬の本といえます。

金融政策に関心を持ちミルトン・フリードマンというノーベル経済学賞を受賞している経済学者の著書を読もうとしていて、勘違いからタイトルの本を読み出しました。

トーマス・フリードマンは1953年生まれ、私と同じ生年ですが、新聞記者として中東に駐在し、ピューリッツア賞を3回受賞している人です。
さすがに元新聞記者でいろいろな社会問題について現地で取材しています。 タイトルのフラット化するという意味は、IT技術進歩と普及により、国際間、企業間、仕事間の障壁が失われていく様子を記載しています。

インドでアメリカの深夜のクレーム受付を行っているというのは前に新聞で読んだことがありました。 時差からアメリカの深夜の仕事はインドではディタイムの仕事になるからです。 しかしWebを使ってアメリカ人の子供にインド人がインドで家庭教師をする話やアメリカの税務申告書の基礎部分の作成=税務申告ソフトに入力するなど賃金の格差やITバブルのときに敷設された光回線の低価格利用が可能にした話など驚きの事実が解説されています。 個々の話題は日本の新聞にも記載されていますが、それらの記事をつなげると世界がフラット化するそうです。

アメリカ大手運送会社のUPIは東芝のPCの修理依頼を請負ったそうですが、ユーザーがUPIに修理依頼を電話すると引き取ったPCをUPIの工場に持ち込み、修理するそうです。 物流だけでなく集配業者が修理、料金徴収まで行います。

当社は調剤薬局を営んでいて、2500アイテムの薬剤の補充のために2社の医薬品卸から10回/日の納品をしていただいています。 医薬品卸は調剤薬局という地域密着の業態に対して在庫配送機能、それも発注から納品までのリードタイムが数時間という配送システムを運営しています。 これを効果的に可能にしたのがメディセオ社のALCという物流倉庫、1箇所の投資が100億円を超える自動倉庫です。
医薬品卸の主要機能は物流といっても良いでしょう。 あとはファイナンスで、支払サイトの延長に応じてくれるので外部から資金調達しなくとも調剤薬局は弾力的な資金調達が出来ます。

しかし、これは佐川急便やクロネコヤマトでも可能なことです。 国際間の障壁は制度であり、人件費であり、資源単価であり、これらを飛び越えてしまう道具が開発されようとしています。 医薬品卸は産業分類では商社になり、従業員の賃金単価も商社として高い設定になっています。 クロネコがこの分野に入ってくれば賃金単価はクロネコのほうが安いので、固定費は低く抑えられるでしょう。 日本でそのようになるには薬事法等関係法令の制約を緩める必要があり、それによって医療費の国庫負担を減額することが出来ると思います。

当然医師の診断などもIT技術の進化で様変わりしてきて、大幅に診療報酬を下げることができるようになると思います。 例えば家庭用血液検査キットなどが出てくれば今診断時に行う検査を家庭で行ってWebでデータ送信し、PCのTV会議システムで問診すれば診断効率は格段に上がり、患者の待ち時間も減らすことが出来ます。 日本では一つの制度が出来ると、多くの場合法律で制度化されていますが、その制度を手直しすることで改善を図ろうとします。 その硬直性からどの分野でも利権の問題が発生し、事例をあげつらえて制度の擁護に向かいます。

どんな仕組みでも、現行の仕組みでも問題の事例を踏まえて批判は可能で、リスクも多く、その批判に耐えるために医療分野などでは膨大な紙データの作成を強制し、作業負荷をかけています。 今あるツールを使い、トレンドに乗れば想定される問題は以外に簡単に解決すると思いますし、役立たずの国家公務員を大幅に削減できていくだろうと思います。

仕組みを変えて問題が起きたという点では司法書士に小額訴訟が出来るようになったことでサラ金が倒産しました。 司法書士は新たな獲物を求め、セクハラ・パワハラに軸足を移していますし、弁護士は営業活動を活発化しました。

どの分野もほんの少し柔軟になればよいのです。

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