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誤薬

誤薬とは薬局で処方箋を受け付けたときに処方箋に記載された薬剤と異なるものを調剤してしまうことです。 薬局ではたまに起こることで、健康被害に繋がり、場合によっては生命にかかわる場合もあります。

誤薬をなくすために様々な工夫がなされていますが、代表例は複数チェックです。 処方箋に従い薬を棚から取ってくる=ピッキングをしたものを別の薬剤師がないよう確認する=監査、そして患者様にお渡しして説明するときに患者様の目の前で処方箋と照らし合わせてお渡しする、三重のチェックを行っています。
かつて誤薬があったとき、その原因を追究すると主にピッキングする薬剤師が「監査するから」という理由でピッキング段階での注意が散漫になり、監査する人は「特殊な薬剤ではないしピッキングが正確に出来ている」という甘えでした。 また誤薬した薬剤師をヒァリングしたときに「たまには間違えることもあるだろう」という開き直りがありました。 これには唖然としましたが、厳しく注意し態度を改めるように言い含めましたがその後すぐに止めてゆきました。 いくらでも就職口があり、競争原理が働かない薬剤師の就労構造に問題があります。

薬局長は棚位置をかえ、近い名称の薬剤が隣同士ならない工夫や体調の悪い薬剤師をすぐに帰宅させるなど努力しましたが、まだ誤薬の発生が止まりません。 しかし工夫や注意を繰り返す中で、薬剤師の誤薬に対する意識が高まり、徐々に発生率が低下する中で調剤後「誤薬したのでは」と気になったケースがあり、それを隠して調べた薬剤師がいました。 隠していたことが明らかになり、薬局長の怒りが爆発しました。 その薬剤師はプライドが高く、自分が誤薬したことを認めたくなかったのでしょうが許されることではありません。 誤薬の懸念があれば薬局は全力を上げて調査し対策しなければなりません。

結局怒りを向けられた薬剤師は退職しましたが、その薬剤師が退職する理由も誤薬で叱られたとは言わずにたいそうな家庭の事情を言い訳がましくしていました。

その後誤薬の発生頻度は劇的に低下し、現在に至っています。 意外なことが誤薬を防ぐ効果があったことを認識しました。 誤薬に関するデータを見ていると以外に発生頻度は高いものとなっています。 血圧を下げる薬が処方されているとき胃腸薬を誤って渡したり、明確な健康被害に繋がらないケースも誤薬としてカウントした結果ですが、ヒヤリハットであることに変わりありません。

薬局の研修会で誤薬の防止策として「注意する」、「チェックする」というのはよく言われますが「隠すな」というのは聞いたことがありません。 薬局長の優れたマネジメントでしょう。

倉庫業界に見学に行く機会が何度もありましたが、ご配送を防止するために様々な工夫がなされていました。 概ねバーコードで監査していますが、医薬品卸であるメディセオの倉庫ではデジタル機器を多用してチェックし、出荷前にコンテナに入った薬剤を撮影していました。 撮影そのものは誤配送の防止に直接繋がりませんが、取り扱う商品の重要性を考えれば必要なことと思いました。

「うそをつかない、隠さない」姿勢の現われと思いました。

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