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雇用のミスマッチ

雇用のミスマッチや大学新卒の就職率が社会問題になっています。 問題になったのは以前からで、最近はローワークがその対策に乗り出したのは遅きに失した感があります。 労働マーケットでは10年以上前から問題になっていたと思います。 10年位前から採用を担当し、面接してすぐに気づきました。

ハローワークの対策は企業の合同説明会の開催だったり、紹介会社並みのサイトの立ち上げだったり、雇用に対する助成金だったりです。 やらないよりやった方が良いとは思いますが、個人的にはミスマッチなどの原因は他にあり、根本問題を解決するほうが効果は大きいと思います。

私が思う根本問題は採用側では企業文化といったところでしょうか。 増収増益が続いている会社が多くの番組で取り上げられています。 カンブリア宮殿、ガイアの夜明け、ルソンの壺、がっちりサンディ等多くあります。 これら優良企業の多くは業績が優れていることで優良企業といわれていますが、すべての企業文化が働く人にとって良いものではないかもしれません。 人材を消耗品と考え、優れたビジネスモデルで業績を伸ばしていたり、目標や労務の管理が厳しく、自殺者の絶えない企業もあると聞いています。
その一方で働くものの個人能力を最大限引き出すことで業績向上の原動力にしている企業もありますが、私の感覚では中規模にとどまっている場合が多いように思います。 業界の地位で抜きん出たり大企業にブレークスルーするためにはビジネスモデルの再構築や効率を重視した管理が必要なのでしょう。

つまり採用側=企業としては仕事を押し付けるだけでなく、働く者の気持ちや能力の生きる場を用意し続けなくてはならないということでしょうか。

応募者側でよく聞く話題は「好きなことであれば勉強もするし、仕事もやる気が出る」というものです。 20歳を超えていて「では今までに好きなことを見つけ、勉強したことはありますか?」、「ありません」、つまり好きなことを見つけることすらできていないということです。

私は関心を持ったことはやらずにいられないたちで、趣味では登山、テニス、カヌー、スキー、料理、陶芸、スキューバーダイビング、オートバイ、ゴルフとわれながら気が多いと思います。 もちろん続かなかった趣味も多いのですが、好奇心があるからやってみる、好奇心があるから好きなことが見つかるといったところでしょうか。

それがそのまま職業選択に繋がらないまでも世間で流行っていることを漫然とやる、ではなかなか好きなことは見つからないと思います。
例えばスマートフォンが流行ればすぐに買ってゲームをするとか、テニスのゲームをしてテニスをした気になるとか、私もファミコンが流行ったときにテニスのゲームをしたことがありますが、実際のテニスとゲームは当然異なるもので、努力してスキルアップする、体力・技術だけでなく考え方で勝率が大きく変わるということが体験できました。

私の好奇心の源は読書ではないかと思います。 本は文字情報、そこからイメージを膨らますので、ゲームの映像や映画の映像より強いイメージが造られることがあります。 『ホワイトアウト』という冬山を設定した映画があり、原作も読みましたが、原作のほうがはるかに面白かったです。 冬の高山の吹雪の中を逃走する主人公は絶望することなく元気ですが、実際に吹雪の高山の夜を移動するのは危険で、顔からツララがぶら下がってきます。 低温で動きは鈍く、思考力も低下します。

仮にゲームで営業であったり薬剤師であったりのゲームがあれば自らの職業選択が上手く行くかと言えばあまり期待できないと思います。 企業文化であっても管理職向け会社経営などのゲームがあれば企業が上手く運営されるかというとそうはならないでしょう。 とはいってもそういうゲームがあれば面白いでしょうけど。

小説や映画、TVドラマでは個別の職業が登場し、それが職業選択に寄与する場合はまだ多いかもしれません。 しかし、映画やドラマのテーマは職業そのものに向いているわけではないし、原作作成において取材も限界があると思います。 その中でもチャップリンの『モダンタイムス』は職業の本質に迫る思想を感じました。

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