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金融政策の不思議

近年の円高から輸出競争力の低下を生み、不況の主因として金融政策が話題になっています。 円高対策としてインフレターゲットが話題になり、そのために日銀が市中にお金がいきわたるよう金利を限りなくゼロにし、金融機関が資金を調達し貸し出ししやすくして投資を促進しようとしています。

確かにインフレになれば円安にぶれて輸出が促進され、賃金水準も下げ止まりするかもしれません。 不況の原因を為替の問題とすればそれも方法でしょう。
パナソニックやソニーなど代表的な輸出産業が円高で輸出不振にあえいでいて、最近の大きな赤字の原因になっているのは事実ですが、パナソニックやソニーの製品を海外メーカー品の比較して買いたくなるでしょうか。 私は家電製品を買うときかなり身長に製品比較を行います。 製品比較はネットでも出来るし、家電量販店の店員に聞いても生の情報が得られます。
これは不況の原因が日本の製造業の製品企画や品質から想像できることで、もちろん日本のメーカーが優れた品質(価格対比)の製品があると思います。 ただし、すべての製品がそうだとは思いません。

ダイソンの掃除機を使っていますが、サイクロン方式はダストパック不要で臭いも少なく集塵力も高いように思います。 しかし重たくてコードの巻き取りはよいとは思いません。 音もうるさいです。 しかしダイソンノ掃除機に匹敵する日本製サイクロン掃除機は最近までみませんでした。

私は経済の素人ですが、インフレにして経済を膨張させたり、デフレで経済が縮小したりというのはどうも経済現象の一面でしかないように思います。 各産業分野で大小のイノベーションが行われ、新しいビジネスモデルが誕生してきています。 そこでは同種同等の製品やサービスが今までより低価格で提供される可能性が生まれます。 ユニクロの規模拡大の基礎を築いたフリースは私が約35年前に購入したときは1万円以下ではありませんでした。
自動車などは私が初めて買った頃からあまり値段が変わっていません。 30年前の日産ブルーバードSSS-Sターボ車は200万円を越えていましたが、パワーウィンドウ、パワーステアリングはオプションで、シート地も安っぽかったように記憶しています。

多くの製品が価格を維持するか高くするために付加価値をつける、それも必要なものというよりあってもいいかなという程度のもので差別化を図るとこのようになってきます。 日本の製造業はその小手先の差別化に多くを依存してきたように思います。

インフレ、デフレは社会の価値の調整で、総ての産業分野で生産性が上がれば製品価格は下がるでしょう。 つまりデフレになります。 一般には販売システムで価格競争は制約されますが、長い時間では価格低下が起こります。 だから価値の調整という意味ではデフレでの調整もあり得ると思います。

経済規模を金額表示すれば時代と共に拡大してきましたし、世界で見ればまだまだ拡大基調といえます。 デフレでの調整が進めば賃金水準も低下する可能性は大きいと考えられます。 世界の賃金水準に比べ、日本の水準は高いわけですからそれを維持できるイノベーションを達成しない限り低下は免れないと思います。

賃金水準が低下して製品価格やサービス価格が低下すれば円高でも国際競争力は価格という点で強くなるでしょう。 賃金や財・サービスの価格が下方硬直であれば国際競争力は失われます。 なぜなら発展途上国では製造やサービス部門で最も効率の高いシステムが採用されますし、人件費も安いことによります。

日本でデフレでの調整が機能しにくいのは労働法に基づく賃金制度の下方硬直や管理コストの高さ。その他もろもろの制約で、これはインフレでは比較すれば調整しやすい問題なのかもしれません。

平たく言えば、儲からなくなったとき損を誰が負担するかよりたくさん儲かったときの配分をどうするかが調整しやすいからです。 国を挙げてインフレ政策を展開してもインフレにならないなら、金融政策以外で地要請を地道に行い、ビジネスモデルの変更やイノベーションが起こしやすい環境を整備することが必要だと思います。

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