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人が考えを変えるとき

新聞のコラムに『組織開発の最前線』というのがあり、「スケールの大きなリーダーが研修だけで育つことはない。 ・・・・リーダーを育む要素は、経験が7割、薫陶が2割で、研修は1割にすぎない。」というのがありました。 「7・2・1の経験則」として知られているらしいですが私は知らなかったので驚きです。

研修は画一的で、薫陶や経験は個別的でありますが、研修と言っても知識の習得を目的としたものや駅前で大声を張り上げる怪しげなものまであり、経験則の割合は前提としての『リーダーの育成』に限定して考えるべきでしょう。

薫陶の意味が曖昧だったので辞書で調べると「火で物をたき、土をこねて陶器を作るように、人を感化教育し、品性を作る」とあります。 要は人間関係においてアドバイスを受けるということでしょうか。

私自身の体験から言えば若いときに言われた言葉で自分が影響を受けたもので今すぐに思い出すのは次のものです。
①反省するより悔い改めよ
②男を磨け(多くの人と付き合う)
③ふりをしろ

①は東北をドライブしていたときキリスト教の布教のためのプレートに書いていたもので、言葉の意味することを正確に理解できないのに心に響きました。 このような瞬間に入信するのでしょうね。 私の解釈は反省は何か不都合があってそれを顧みること、悔い改めるは考えを変えることと文字通り理解しています。 反省を積み重ねても考えを変えなければ同じ不都合が起こってしまうという解釈です。

小さな問題では考えを変えることができるでしょう。 たとえは悪いですが年長者に敬語を使えない若者に接するとその若者の全人格を否定することがあります。 私は60歳ですからそのような若者と接するときに、例えば採用面接などで質問は少なくとも丁寧語で行います。 ちょっと意地悪をして教養がないと答えられないような質問を続けるとその若者は私に対して恐怖を抱き、なれない丁寧な言葉で答え始めます。

その若者が質問に必死に答え、素晴らしい答えを返してもらったとき、若者の言葉遣いだけで人を判断してはいけないと実感します。 もちろんそうならない時のほうが多いですが。

悔い改めるとまではゆかないまでも先入観を除くだけでも大変で、前述の「人が育つうえで経験が7割」はその通りかもしれません。

②男を磨けは青春時代に喧嘩に明け暮れた人の言葉で、不思議に人の縁で大会社の社長と面識があったりした人ですが、卓越した人と全く卓越していない人の落差に触れ、人格や品格を学べと教えたのだと思っています。 仕事がら人には多く面談しますし、稀に人格者と思われる人に出会うことがあります。 そういう人格に触れたところで直接自分を(男を)磨けるものでは残念ながらありませんでした。

③ふりをしろはクラシックバレエの先生の言葉で、バレエの練習はふりを付けること、先生の真似をすることです。 サラリーマンになった時、自分がサラリーマンに向いていないと悩み、相談した時の言葉です。 サラリーマンという職種?で成功するには成功しているサラリーマンの真似をすればよいのでしょうか。 大学時代に教えを受けた教授も「ゴマをすって出世できるならゴマをすれ」とアドバイスを受け、そんなものなのかと思いました。

この三つの言葉だけで人生を乗り切ってきたわけではないですが、これらと経験とセミナーは自分のリーダーシップに少なからず影響を与えています。 しかし影響という意味では北方謙三氏の小説が好きで、多作の作家ですがほとんどの作品を三回程度読んでいます。 北方謙三氏の作品の主人公は男性で、危機を勇気と知恵で切り抜けていく強さにあこがれ、影響を受けたと思っています。

日常生活で命のやり取りをしなければならないことは皆無と言ってもよいでしょうが、現状の保身という意味では何度も危機が訪れます。 会社の経営に携わって15年になりますが、大きな危機は二度経験しており、その都度基本に戻りあるべき姿をイメージして復元を図りました。 その対処で悔い改めるとか男を磨くとか反省するとかは役に立たなかったわけです。

結局窮地からの脱出は基本を見失わないことと勇気を持つことでしょうか。 それがリーダーシップの重要な部分で、危機に際してふりでしのげなかったように思います。

最初の話に戻って経験がリーダーシップを育んだ例で会社の幹部の一人が毎年のように転勤させて、その都度人格的にも成長したことに驚きました。 調子に乗ってほかの人も転勤させてみましたが、転勤を小さな危機とすれば転勤で成長できる人は転勤に際して考え、内省し、向上心をもった人に限られたように思います。

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