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損を嫌うと損をする

日本経済新聞にタイトルの記事があり、面白いので紹介します。 タイトルの意味するところは株で高値掴みをし、せっかく値上がりした株を値上がり直後に売ってしまい損をしたり儲けそこなったりすることです。

なぜ合理的に儲けようとしないのか、次の二つの心理が解説されています。
①人は損をすることを、とても嫌う生き物
②人は利益が出ているときに確実性を好み、損をしているときは賭けに出たがる
つまり損失を受けることで感じる心の痛みは利益の喜びの二倍以上というものです。

これを企業経営に当てはめてみると①は新規事業で損失がとどまらず、経費特に人件費をけちって優秀な人材を失う負の連鎖に似ています。 ②は利益が出ている事業に投資をして利益を大きくしようと欲張って過剰投資になるのが似たケース、結局損をしてしまう例が多いと思いますが、損をしている事業に対して早期撤退を取りたかります。

以上のように個人の行動と企業の行動が必ずしも当てはまらないように思います。

会社の職員と株の話をしていて、それが儲けた話で『よかったね』と言ったら『それだけリスクをとりましたからね』と返されました。 事業の収益構造はリスクと比例するように思います。 高齢者介護事業でも施設事業は良い例だと思います。 一般に住宅系高齢者施設の損益ラインは80%稼働と言われてきました。 あくまで平均値です。 仮に100%稼働すると20%分は利益、50室の施設で20%は10室、1室15万円の粗利であれば10室で150万円の粗利になります。 経費はほとんど増えませんから150万円の粗利はほぼ経常利益に近くなります。

逆に稼働率60%であれば毎月150万円の赤字、この落差が大きいです。 全国の平均稼働率が80%前後ということですから施設経営のリスクは高く、その分高稼働の利益は大きくなります。

このような不動産絡みの投資額の大きい事業は好まれるのかすごい勢いで高齢者施設の建設が進んでいます。 今のところ顧客が増加していて大きなリスクに見えないですが、高齢者の絶対数が増えなければ稼働率は下がる一方です。 そもそも高齢者施設はぜいたく品ではなく生活関連ですから需給関係が崩れると全国一斉にリスク発現になりかねません。 持ち運びもできないので最終的に損失はかぶらざるを得ません。 逃げられざるリスクであることがやっかいさに輪をかけています。

私はこのような需給関係に寄り添うビジネスはあまり関心がありません。 しかし施設を始めた介護事業者は利益が出ていることで高級車に乗り換えたりしています。 リスクは貯めることも発生時期を遅らすこともできません。 自然災害と同じでこうむったらあきらめざるを得ません。 儲かっているうちに事業譲渡するか、儲からなくなった時に損切り出来ずに赤字をため込むか初めの個人の行動パターンに似てきました。

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