監査役BLOG

カテゴリ

会社運営

[会社運営]

将来像委員会

当社の経営理念は『地域に根ざして人の健康と生活を支えます』というものです。

十数年前、まだ従業員が二十数名だったころ、どのような会社か明確にしようと言うことで理念が話題になり作りました。 最初に考えたのは『うちが儲かればいい、うちだけ儲かればいい』というものでした。 当時始めた取締役会で提案して全員に否定されました。

当時は売上が徐々に伸び始めましたが、資金が回らず黒字倒産寸前で、気持ちも切羽詰っていました。 だからこのような理念を提案した当時の自分をいまだに責めるつもりはありません。 後悔することもなく恥じる気持ちもありません。

これだけ聞くと医療・福祉に関する事業に従事していてさもしい事業者と思われるかもしれません。 しかし私は実際の商売において法令順守をし、お客様にとって一番良いと思われる提案をし、結果として売上が年率30%ずつ上昇していた時期でした。 経営が苦しい時に何とかがむしゃらに浮上しようという気持ちが滲んでいて私は好きな言葉です。

しかし人が、顧客が、市場がこの言葉を容認するかといえば否でしょう。 経営者一人の苦しみを組織の看板として標榜することは許されないばかりか的外れですらあります。

文頭に書いた理念はその後職員に不思議に浸透し、経営判断や行動基準の基本として深く根付きました。 しかし、この言葉でよそから見て、会社に帰属してどのような個性の会社か?ということが見えません。 経営戦略は地域密着、医療・介護という点でわかるのですが。

そこで経営理念の更改を決めました。 このブログでも何度も書きましたが、私はすでに61歳であと数年でリタイヤします。 というか現在も実質リタイヤしています。 だからこれからの当社を担う人に作ってもらおう、私はそのことに意見を挟まないでおこうと決心し、ある職員にその考えを託しました。

彼はプロジェクトを立ち上げ、そのメンバーに私も入れてしまいました。 私は意見を挟まないという点で私をメンバーに加えた判断に意見を挟まず、6回に及ぶプロジェクト会議に参加し、積極的に意見も言いました。 私を入れて6名のメンバーははじめバラバラでしたが、人の意見に相互に影響を受け、昨日最終回で大筋のものが決まりました。

今はまだ公表できませんが大変すばらしいもので、さらに言えば毎回出される宿題で、私の考えてきたものはことごとく否定されました。 否定されるたびに「そうなのか、そうなんだ、みんなはそんなことを思っているんだ」と感心ばかりしていました。 もちろん意見を検討するときに私なりに他人の意見を否定することなく自分の意見も展開し、それが違う言葉に編みかえられてゆきます。

結果、思っていたことと似ても似つかぬミッション、ビジョン、バリューがきまり、その中に私が吐いた言葉もちりばめられていました。 それらの言葉の意味合いは経営に携わったものと現場のマネジメントに尽力する人では異なるのでしょうが、共感があり、言葉にハーモニーすら感じられました。

親子ほど違う人たちとこれだけ違う言葉を綴り、互いに共感できたことは多事とって驚きと幸せを感じる瞬間でした。 自分は孤独に仕事をしてきたという思いがみんなにもあり、人に相談できない悩みを抱えて「だから正直に・・・・」と言うのは実はみんなの心の叫びだと気付きました。

こんな小さな会社で、みんなは多くの問題を抱え、困っている人のお世話をする仕事につき、考え抜きながら日々の業務をこなす仲間がいて涙が出ました。 人間は捨てたもんじゃない、そう感じて社内を回るとあちこちで鈍く光る人たちが見えました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*

上に戻る