監査役BLOG

カテゴリ

会社運営

[会社運営]

取締役と従業員

取締役の役割が社内で話題になっています。 私のつたない知識では取締役を規定するものは会社法しか認識していません。 取締役は株主から経営をゆだねられ、株主、債権者への責任を果たすことが求められています。

さらに従業員の雇用や社会貢献への責めを負わされていることはマスコミ報道からも明確です。

一方社内から取締役就任を見ると明らかに昇進の意味合いが強く意識されます。 いわゆる出世したということですが、当社のような中小企業では取締役の権限は大きくみられがちで、それだけ大きな権限をもちえることは一面で出世とみられるかもしれません。

私の場合代表ということで、さらに強大な権限を持っているように社内外から見られます。 確かに責任は大きく、株主への経営責任や雇用、社会貢献は言うに及ばず、仕入れ取引の継続責任や金融機関からの債務の保証など果てしなく大きな責任がのしかかっています。 上場企業ではありえない連帯保証だけでも保証額は莫大です。

一方責任を果たす上での権限は限定的で仕入れ先一つの変更ですら勝手に出来ません。 先日友人の印刷会社に発注していた名刺を総務担当が変更しました。 友人は『なぜか?』と強硬に聞いてきました。 私は関与していないでそのように伝えると友人は絶句します。 小企業のオヤジが名刺の発注先の決定権を持っていないのか?と訝るわけです。

そういう意味では業務を分担し、担当を決め、権限を与えて自らの手から実務的な作業を外してきた結果で、当然の事なのですが一般的ではないので外部から見て違和感があるかもしれません。 権限を委譲した私はと言えば以前にもまして忙しく、仕事の難易度は高くなってしまいました。

実務はうまく行えば成果は明確になりますが、実務を離れ、方針策定など純粋に経営マターは成果が直接的ではありません。 しかし優れた経営とそうでない経営は安定性や人が育つことにおいて明確に異なってきます。 良い経営であれば職員の定着率が上がり、雇用責任の一端を果たしたことになります。 経営の安定は債務に対するリスクを減らします。 コンプライアンスを重視することで事業運営を通じてあるべき社会貢献を
果たします。

取締役はこのような抽象的な役割を担う仕事で、自ら指導が上手い=マネジメントに優れている、地域戦略に優れている=戦略思考に長けている、組織運営をうまくこなす=リーダーシップ、というような個別具体的な特技を持たなくても役割を果たす事が出来ます。 もちろんいろいろ特技があればそれに越したことがなく、営業が上手いばかりに花々して営業成果を上げ続ける経営者もたくさんおられると思います。 そのような場合、会社の長期ビジョンや方向性を考える副官がおられると思います。

しかしその会社の取締役全員が具体的な事への取り組みしか関心が無くて、営業や作業効率向上しか関心が無くて、となると会社は強力エンジンを積んだ車の暴走と同じく方向性の確定も危機回避も出来なくなります。 事業を取り巻く環境変化がすさまじい現在、ビジネスモデルや戦略の修正をはじめ、経営マターとして課題はどんどん現れます。

取締役に就任することはリスクだらけの問題を解決し、最高の結果を生み出しても経営判断の成果と称賛されにくく、誤って地雷を踏んだ時に散々責任追及される役割で、昇進と喜ぶのはどうかという印象を持ちます。
代表取締役などは最たるもので、うまくやれる人がいたら熨斗を付けて譲りたいと思うことがあります。

そのような取締役のメンバーを新たに考えるときに候補は営業が上手かったりマネジメントが得意だったり、事務処理に長けていたり下になります。 そういう人の中からビジョンを描くことの得意な人を見つけるのは案外難しいことです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*

上に戻る