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古い映画

古いモノクロのやくざ映画を見ました。 第二次世界大戦終戦の年から1960年にかけての映画と思われます。

ネットで検索すると1963年10月公開の『狼の王子』と言う映画で、石原慎太郎作の小説を脚色し、映画化したものでした。

主演は高橋秀樹、浅丘ルリ子で、日活配給だそうです。 前半は北九州の港湾荷役を牛耳るやくざと子供の浮浪者の生活、後半はその子供の一人が成長して東京で渡世人としてやくざの抗争事件に巻き込まれる映画です。 私が生まれたのは1953年、私の子供の時期とかぶる映画です。

道路は未舗装、道路を走る車は少なく、今となってはクラシックカーですが、当時は貴重な乗り物です。 役者が来ている服装など、たとえば主演の高橋秀樹は細い襟のスーツに細いネクタイ、食料品をデパートの食品売り場のようなところで買うと紙袋に入れて持ち帰ります。 店の込み具合、商品の品ぞろえ、着物を着た主婦、東京の街も少し郊外の風景は空き地が多く、高い建物はありません。

映画のシーンで安全保障条約の締結反対シーンデモが国会に押し掛けるシーンがあります。 映画のテーマとしては1945年から1960年までの戦後復興、高度成長、日本の文化や仕組みの変化を古い体質の侠客と新興やくざの対立としてあらわそうとしているように思います。

作品はエンターテイメントとして看板スターを使って構成されていますが、今見ると日本の近世史が臨場感をもって迫ってきます。 私のようにその時代に生きていた人間にとって役者の発言一つにも時代の匂いがよみがえります。 侠客であるから義理人情はテーマになっています。

道路が未舗装とか携帯電話が無いとか食べているもの・服装に貧しさを感じるとか物質的なものに目を奪われがちですが、考え方や行動に古い時代のパターンが読み取れ、自分の経験の中にもそのような考え方を体験しています。

そのような古い考え方を土台にして現在の自分の考え方がありますが、経験をもとにした考え方の土台は現在若い人には無いもので、同じ映画を20歳代の人が見てどのように感じるか大変興味深く思いました。

戦国時代の映画は最近でも数多く作られていて、エンターテイメントとして受け入れられていますが、その考え方は現代人の考え方に近いのかと思うことがあります。 そもそも戦国次第に生きていた人がシナリオを描いたわけではなく、皆当時の文書から想像したことで、戦国時代の武将が今生きていて、それらの作品に触れた時に違和感を感じると思います。

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