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風土

 30年ぐらい前のアクション映画や刑事ものを見ているとやたらとタバコを吸うシーンがあります。 この話題は以前にも書きましたが、マカロニウェスタンでもニューヨークの刑事もフランスのヤクザもタバコをよく吸いま。 そして吸殻をところかまわず捨て、靴で踏みにじります。

 私がまだ学生だった40年以上前にタバコのポイ捨て禁止キャンペーンがTVで放映され、『地面はタバコを吸いません』というキャッチコピーが流れました。 携帯灰皿が売り出され、それを利用する人が出てきました。 それから10年以上たち、分煙や禁煙スペースが増えてゆきました。 私が子供のころは電車の中でたばこを吸っていたものです。 隔世の感があり、今では禁煙と書かずとも列車で喫煙するものはいません。

 考えを根付かす ことは優れたキャッチコピーのキャンペーン、携帯灰皿などのツールの開発等多くの手間と時間をかけ、好悪の問題から善悪の問題にまで上げて行き、初めて定着するのでしょう。 アメリカの銃規制などもそうだと思います。

 タバコに限れば私が生まれるころに当時の厚生省が健康被害を避けるために法律でたばこを禁止すれば喫煙の問題は回避できたことと思います。 喫煙者の私が言うのも説得力がありませんが。

 このような風土の問題は会社内でもあります。 当社で営業職を中心に細かな作業を手を抜かずに行うこと、難しい課題を逃げずに考えること、すぐに対処することなど現場で目先の対処方法につきスローガンを出しています。 凡事徹底、できる方法を考える、高速レスポンスなど『地面はタバコを吸いません』に相当することを現場管理職が提唱しました。 これは定着し、現場の課題に対してかなりの効果がありました。

 これらのスローガンが根付いてもまだ課題は山積みです。 全国同一制度の保険事業で全社が同じ戦略で、地域に応じた戦術を展開しても個人別の売り上げに、新規開発に個人別で何倍もの差が出ます。

 営業でいえばフロックもあり一定の差が出るのは当たり前ですが、それをはるかに超えて差が大きいのは『個人差』やフロックで片づけられるものではないと思っています。

 類似の課題は事務職やケアマネージャー、薬剤師でも同様にあります。

 仕事を行うにあたり苦痛や努力は伴うもの、同じ苦痛と努力でより高い成果を上げることができるシステムを取り入りなければ成果は増えません。 それが分業であったり、IT化であったりします。 しかしこれらの方法・手段も現場に近いものが多くあります。 新人に仕事を教えるのに簡単なマニュアルを作成し、分割された作業の定義が明確になれば分業が進みます。 分業された作業や定義が明確になった作業はIT化の対象になります。

 今話題にしようとしているのは現場ではなく経営マターとしてどのような仕組みが生産性向上につながるか、ということです。 経営マターでも例えば分業が話題になります。 管理職の設定、課長職の設定は分業に相当します。 人事制度をうまく使って生産性を上げた管理職は評価されますが、賃金制度の考え方を変えなければ評価が賃金に反映しません。 転勤や配置転換も同様、会社として一番欠けている事を見出して選任を置くことや会社全体のグランドデザインなどは経営マターの最たるものです。

 経営マターの個別の施策も重要です。 禁煙キャンペーンの携帯灰皿の売り出しのようなもの、しかし風土の醸成やコンプライアンスのような強制力を伴うものには好悪ではなく善悪のような価値観を形成することが必要になります。

 経営マターを担当するものは取締役、当社においても社歴の長い人で年齢も上です。 えてして経験で物事を判断します。 『賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ』、経験があるがゆえに経験に偏重すると歴史が教える解決策に目が行きません。 せいぜいキャッチコピーを思いつくぐらいです。
 

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