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人事考課

 人事考課の季節がやってきました。 全従業員の夏の賞与と昇給の査定がこの時期は同時に行われます。 私は手続き上全従業員の査定を承認しなければなりません。

 個々人の日々の活動について解るわけがありません。 したがって各部署の責任者の裁定を見て、違和感のある人の理由を聞きます。 『AさんはBさんと同じ賞与ですね、Aさんは何度かトップ賞を取っているはずですが?』、『賞与対象期間の二人の売り上げ、稼いだ粗利はほぼ同じです。Aは人間関係に優れていてそれは月末の昇給査定で反映されます。』、もちろん賞与対象期間6か月の売り上げ、粗利の数値を出して説明してくれます。

 私がチェックするのは個々人の評価が正しいかではなく評価者が客観事実に基づき緻密に評価しているか、につきます。 個々の評価がいかに客観数値に基づいていても担当現場の違いもあり、正しい評価は明確な基準があっても『神のみぞ知る 』ことになるでしょう。

 私が頭を悩ますのは各部署の管理者です。 上位管理者の賞与、賃金は私が決めざるを得ません。 毎年全職員の年収一覧表を取り寄せ、相対評価をします。 これは労働の対価が何によって決まっているか、直感を磨いています。 年収ベースで何倍もの差がつく理由は何か、責任の重さ、使っている資格、世間の相場、知識・技術スキル、経験、労働に伴う苦痛、いろいろな要因で年収が決まっていることが解ります。

 取締役の場合、一番に責任の重さがあるでしょう。 それゆえ権限も大きく、権限を行使しているかどうか、権限を行使することは何らかの決定を下しているわけですから結果が現れます。 決定事項が少なければ担当業務は平和であったことになります。

 抱えている案件が多いから優先順位をつけ、業務処理を円滑に行い、現場にストレスを抱えていないか、平たく言えばうまく仕事をこなしているか、これは周辺部署の噂でわかります。 うまくこなせていなければ取締役の関与していることは重要性が高いので陰口が耳に入ってきます。

 しかし人気で評価するわけにもゆかず、陰口をたたかれた取締役の業務執行を観察します。 説明責任をうまく果たしているか、説明が下手であればいくら仕事をうまくこなしていてもクレームが出てきます。

 最近気になるのはパーフォーマンス、きちっと挨拶している、いつも笑顔である、相手の話を誠実そうに聞いている、激怒しない、わからないことでも意思を明確にする、私以外は具体的業務を執行しているわけですからここのパーフォーマンスは重要です。

 しかしこの部分は上手い、下手の明確なところ、世間話がうまいだけで好感度が上がります。 逆にこの部分のパーフォーマンスが悪いがゆえに有能でありながら人気のない人もいます。 個々の評価を重視しすぎることも口だけ取締役を重用することにつながります。

 取締役の評価項目は私の場合結構煩雑なものになります。 そこで一律の年収に決めました。 取締役の場合それ相応の年収ですからもっと年収を増やしてほしいというリクエストはありませんが、評価してほしいという希望は強くあります。 包括的に評価しているのですがこの部分でこれを成し遂げたから評価してほしいというものです。

 それを言い出したら各取締役は苦渋の選択を多くしていて、最善であるにもかかわらず悪く言われている人もいるので、全部を知ってそれを言うか、心情において理解しても人に言えない決定を下している人は腐ってしまうと思いました。

 仕事の中には日の当たるものとそうでないものがあり、取締役は組織単位の長で、部署の企画を行い、商談もこなし、業務が多様に過ぎるように思いました。

 先日の取締役会で取締役は何をしたいのか明確にしてほしい、何でもかんでも自分でやろうとするな、業務を分割して人に任せ、部下を信じ、部下を育ててほしいとお膳をひっくり返すようなことを言ってしまいました。

 会社が早々成熟期を迎え、保守的になって成長が止まるのは私は認容しがたたいことです。 みんなは理解しがたく、議論は盛り上がりを欠きましたが、さんざん考えてもそれが結論、各取締役が自分の仕事を分析整理し、何に注力するか決められなければ、つまりそういう文化を気づきたいなら私は会社にとって不要な人材と思いました。

 

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