監査役BLOG

カテゴリ

採用

[採用]

欲しい人材

 採用面接を長年続けていて、応募者から『どのような人材を求めているのか?』と質問されることがあります。 営業職なら早期に売上を上げ、安定・継続して売上を伸ばしていく人ですが、質問の趣旨はもう少し抽象的で、素直な人、集中力のある人、頭の良い人、工夫する人等といった答えを期待しているようです。

 それを聞いてどうするのか、自己評価で素直な性格と思っている人は素直な人を求めているという回答で適性があると判断して安心するのでしょうか?

 素直が長所の人で実績を上げている人もいますし、集中力が武器の人、鈍感であることが取り柄の人、どれもが長所にもなりうるし、欠点になることもあると思います。 人が社会で生きていくうえでそれぞれが武器になるわけですから、その使用方法を熟知して、素直で友人はうまく作るものの販売では素直さが欠点になっている場合もあるということを考えてみてはどうでしょうか。

 人を人が評価する採用面接で相手のことは解るのですが、自分に振返って一体自分の長所は何だろうと考えた時に『創造性にたけている』と長年思っていました。 以前の会社での採用時に 『企画部署を希望します』といったように思います。

 近年いくつかの心理テストを受けて自分の長所が創造的だと判定されなくて長年の思いが崩れました。 最初のテストは全従業員を対象に行い、その人の特徴が現れるのですが、私の場合危機管理能力が他の誰より圧倒的に高く 、他の項目はすべて平均的でした。

 最近行ったテストでは経営者適性が高く出て、これも長年経営者に不適と思っていたのでショックを受けました。 私の中で経営者は負けず嫌いで何でも一番にならないと気が済まない性格だと思っていましたが、私の場合スポーツや勉強などあまり得意ではなく、人生を振り返り常に負け続けてきました。 負けるのは決して心地よいものではありませんが、負けた悔しさを引きずることはなく、負け慣れしているのではと思うほど負けてケロッとしています。

 ドラッカーの言葉に人はせいぜい自らの欠点を知る程度である、長所・強みなど解ろうはずがないと述べています。 心理テストが絶対的に正しいわけではないでしょうが、私の場合の特徴は傾向があるというより顕著であるわけですから当たらずとも遠からずといったところでしょうか。

 知らない特質で勝負してきて、心理テストで自らの特質・長所を教えてもらっても日々の行動や思考に変わりがあるわけではありません。 たとえドラッカーが身近にいて『明日から何が何でも一番を目指せ』とアドバイスされてもそうはならないと思います。

 確かに会社で経営の仕事をするうえで自分の長所を知ることは無駄ではないのですが、その使い方を誤れば危機管理能力も無用の長物、これがリスクだ、あれが危ないとオオカミ少年のごとく危機意識を煽り、周囲に迷惑をかけるかもしれません。 能力にも『使用上の注意』 が必要で、残念ながら心理テストの結果表にはこれは記載されていません。 せいぜいあなたは販売の仕事に向いているとか研究職に向いているとかといったところでしょうか。

 私はどんな正確であれ、その特質を生かせば社会で生きていくうえで幅広い貢献ができると信じています。 例えば私が政治家を目指すとか、研究者を目指すとか、全く的外れなことはないように思います。

 人間社会は複雑で、人の特質は多様です。 複雑な社会で多様な特質がそれぞれうまく機能するには各個人が『使用上の注意』をよく考えて活動すればよいと思います。 企業が採用に際して特定の資質だけを求めれば 偏った社風になって、環境が変わればそのような多様でない人質をそろえている企業は真っ先に崩壊するように思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*

上に戻る