監査役BLOG

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景気

景況感という指標があります。 経営者に以前に比べて景気が良くなったかというアンケートを集計し、『良くなった』から『悪化した』という回答を引いて割合を出すものです。

生活での実感を調べる意味でタクシードライバーにアンケートをとるものもあります。

医療・介護の業界にいると景況感を肌で感じることはあまりありません。 高額医薬品の処方せんをもってきた人が3割の自己負担額を聞いて怒り出し、「そんなに高いのなら要らん」と言って帰る客が続出するかと言えばそうではありません。

医療・介護で一番肌で感じるのは求人の応募者でしょうか。 就職氷河期と言われた時期では多くの応募者が応募してこられました。 しかし今ハローワークで求人を出しても応募者は少なく、大学まわりをして現4回生の求人を行っても応募する人は少ないです。 そんなに室卒の内定率が高いかと言えばキャリアセンターの人に聞くと3月で内定の出ていない学生さんも多いようです。

貿易赤字は2月が8000億円、20ヶ月連続赤字で企業がそんなに求人するとは思えません。 一部の輸出関連企業は円安効果で決算数字は良いようですが、割合としては少ないと思います。 またそのような輸出関連会社は海外に拠点も多く持っているから外国人を雇えばよいのにと思ってしまいます。

当社も零細企業ながら必死で求人活動をつづけ、一定の成果を上げています。 就職氷河期より良い人材が採用できている印象です。 求人難でどういうことかと言えば単に採用のハードルが上がったにすぎません。 今まで安易に採用していたレベルの人は採用しないようになったので質が良くなったようなわけです。

もちろん以前に比べて応募の絶対数も減少しているわけですから採用コスト・労力はバカになりません。 採用を増やした企業もひたすら採用者の質を上げようとしており、どこの企業も分野も同様な苦労をしていることと思います。 特に採用人数が多く、賃金は低いが仕事のきついスーパーマーケット業界の人は合同企業説明会なので会い、言葉を交わすと「あと150人です」と言っていました。 店舗要因は決まっているわけですから絶対数を確保しなければなりません。

その点当社はふさわしい人材が採用できなければ出店を断念すればよいと考えていますから比較的気楽です。 それでも計画があるわけですから、採用したい気持ちには変わりありません。

では良い人材とはどのような基準かというと、面接の質問に的を外さず答えることのできる人、ぐらいのことで蒸すがしいものではありません。 こちらが「本は読みますか?」と聞いてコミックの話を延々する人がいますが、コミックを否定しないまでも『本』といえば活字になり、絵ではありません。
「あまり読みません」というのも怪しい答えで、問いただすと全く読まない意味でおっしゃっています。 読まないなら読まないと言えばよいのにと思います。 そして本も読まない生活で物を考えることがあるかよく考えてほしいものです。

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デフォルト

デフォルトを直訳すると債務不履行、債務は平たく言えば借金ですから借金を返せなくなる状況を言います。 国債の発行残が2014年末に769兆円、2023年末には1千兆円と予測される中で新しい年度の予算は93兆8823億円、税収予測約50兆円、残りは国債の増発になります。

国の借金は国債以外にも種類があり、国債を含めた総額ではすでに1千兆円を超えています。

私は政治や経済の専門家ではなく、まして将来予測は学者でも難しいでしょうから私に解るはずがありません。 しかしよくあるたとえ話として、ある一家の年間総支出が1千万円、年収は500万円、銀行から500万円弱を借りて暮らしています。 銀行の借金は1億円というのが大雑把なたとえでしょうか。

もちろん年収500万円の人に銀行は1億円も貸しませんが、この人の父親が銀行の頭取なら可能性はなくもありません。 しかし銀行は節約して支出を抑えるように説得するでしょうね。

現政権は中央銀行(日銀)による国債引受で市中に出回る資金残量を増やし、円安にして輸出を増やし、企業利益を上げて税収を増やし、インフレを達成するという政策のようです。

しかし円安になれば輸入品が値上がりし、貿易収支は赤字を計上しています。 赤字による損失は電気代やガス代で生活や工業生産のコストに転嫁されます。 広くあまねく負担されるという点では消費税率を20%くらいに上げた印象でしょうか。

これら一連の政策展開と結果について批評する立場にありませんが、誰かが評価を下し、評価に応じてアクションを起こすことになります。 マーケットにおけるアクションは時代を先取りしたものですから、動かしやすいものから早く動くことになります。

一番動かしやすいのはお金、そしてその予測は投資家、特に株・為替などのマーケットでの投資家が行動します。
昨日の日本経済新聞朝刊の楽天ブック第一位として掲載された書籍はカイル・バス氏の『あと二年で国際暴落、1ドル250円に!!』というものでした。

このような風説(ひょっとして正しいのかもしれませんが)で多くの人の不安心理はあおられるでしょう。 同じ朝刊にBRICsを命名した意義率エコノミストのジム・オニール氏の論説が掲載されていて、日本経済に以下の解説がありました。

「円安が進んだ昨年は楽だった。 今年は簡単ではない。 安倍晋三首相は第一の矢(の金融政策)は忘れることだ。 これ以上の円の下落を、他国は受け入れない。 第三の矢となる女性活用、労働供給力の強化、生産性の向上に真剣に取り組まねばならない。 安倍氏は強い言葉こそ発しているが、実行する証拠はない。」

二人のエコノミストは矛盾していますが、オニール氏は地道な産業立国の努力をしなければ経済再建はあり得ないと言っていると思います。 ヨーロッパではイギリスでサッチャー氏、ドイツの最近の政策はこのような地道な政策で経済再建を果たし、それを目の当たりにしてきたエコノミストだと思います。

一方、投資家のバス氏はこのような地道な努力は日本の風土して無理と評価しているのか、今更遅きに失したと評価しているのか、結果の予測をしていることになります。 つまりは二人の評価に大きな違いはないと思われます。

私と同じ評価をする人は海外に資金を持ち出したり、多額の借金をしてハイパーインフレで目減りを狙ったりするかもしれません。 何と言っても日本で一番借金の多いのは日本そのものですから。

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国民の義務

診療報酬はプラスの改定をしないと安倍首相が公言したにもかかわらず0.1%の上乗せが認められたそうです。 政治の世界は不思議なもので、あれだけ高収入を得ている医者にさらに所得を増額させるのは官制インフレのためか、それとも賃金相場を上げるたための政策かと首をかしげたくなります。

増額概算は420億円、国家予算にすればわずかな比率でしょうが決して小さな金額ではなく、医師会へのリップサービスとしては大きな支払いと思います。

新聞によれば財務省官僚が『ごね得』と言ったらしいですが、軽自動車の増税はすんなり認められました。 我々一般国民としては医者に掛からないよう健康に留意し、過食を避け、歯を磨き、外出から帰宅すればうがいをする、深酒をしない、軽い運動とお金、お金と言っている医師会にお金が回らないようにするのが正しい義務でしょう。

ついでに言うなら私のように60歳を過ぎたものは介護を必要としないように健康維持に注力したいものです。 私はこの2年間、中性脂肪値が異常に上昇し、3ヶ月に一度内科医に受診していますが、体重を7㎏落とし、血液検査値ははすべて正常の範囲になりました。

健康まで他力本願になるとややこしい人たちが活躍するのは困ったことで、自己責任範囲を生活の中で考え直さなければならない時期に来ていると思います。

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診療報酬改定

昨日の夕刊に診療報酬改定の記事が出ていました。 結論から言うと微減、当然と言えば当然なのですが、内容は薬価引き下げによる減額分のみ下げるというもので、診療報酬の本体は変更がないそうです。

薬価を切り下げるとどうなるか、医薬品メーカーが医薬品卸に販売する単価が下がります。 薬価というのは処方箋指示薬の公定価格、厚生労働省は薬の単価を公定することで医薬品メーカー、医薬品卸、そして我々処方箋調剤薬局の利益をコントロールしようとするもの、診療報酬も同様に公定されており、医療機関の利益をコントロールしようとするものです。

利益が政治的に決まるものですから医師会等政治団体が力をもち、医師は高い報酬を得ることになります。 調剤薬局は政治力が全くと言ってよいほどない業界団体で、厚生労働省の官僚の意のままにコントロールされます。

薬価改定の負担は川下から調剤薬局、医薬品卸、医薬品メーカーが応分の負担をするわけですが、医薬品卸は最近まで一番割を食っていたのではないかと思います。

薬局は少しでも薬価マージン差を得るために卸に割引を求め、割引の良い卸に鞍替えします。 卸は利益率が低下しますから合併を繰り返します。 ある卸は1.5兆円の売り上げに対して十億円台の最終利益、一般上場企業では考えられない水準です。

次に調剤薬局、55千店と言われる数はコンビニの店数より多いと比較される中で、そろそろ閉局するところが出てくると思います。 医薬品メーカーは日本の企業の中では高い利益率を達成していますが、国際的にみると下位の企業で、海外医薬品メーカーが日本市場でも稼いでいます。

調剤薬局を経営していて医療分野にももう少し市場原理を導入し、国のコントロールを弱めればと思います。 かつての鉄道、タバコなど公社事業や銀行のコントロールは一定の役割をはたして民営化になっていってます。 その時、電力事業のように市場コントロールへの時期を失すると何か問題が起こった時の復元力に問題が出てくるように思います。

厚生労働省の官僚はいつも優秀だと思いますが、国民に対して誠実なのか施策を見ていて疑問を持つ局面があります。 そんなに優秀なら市場原理を組み込めば医療・介護の問題も政治の問題・役人の問題と思われなくて済むでしょう。 どうしたって問題のある分野ですから。

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国民医療を守る議員の会

タイトルの会は自民党の議員連盟で加盟議員が307名、党所属議員の4分の3にあたるそうです。

医者の族議員は自民党の伝統ですが、こんなに多くの議員が加盟しているとは知りませんでした。 自民党の体質なのか政治の体質なのか巨額の政治資金に議員が群れる構図は数十年変わらないのではないでしょうか?

いっそう名前も『やぶ医者の私腹を肥やす議員連盟』にしてはどうかと思います。 新聞の記事は、「出席者には豪華な弁当が配られ、参加者は数の力と資金力をみせつけられた」と皮肉っています。

選挙で大勝した政党が何でもありの政策を展開する構図は独裁政権の発展途上国と重なって見えます。 国債発行残やその他の国の借金が天文学的な数字になって、消費税増税の中その税金を医者が掠め取るのは国民感情としてどうかと思います。

当社の事務所を構える建屋に近所の若い生意気な歯医者が新車のBMWを乗り付けてきます。 そしておそらくその車の費用は経費で落ちるのでしょう。 政治は平等を目指す必要はないと思いますが、公平であるべきと思います。

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医療の将来

最近薬剤師が新しい調剤機器の話をしてくれました。 服薬指導で薬の数を確認してもらうときに後で数か足りなかったというクレームが多いのですが、それを写真撮影しておくというものです。

処方箋調剤において薬局内の作業を見ていると人の手で行う煩雑な作業が多くあり、素人目にも機械化できるのではないかと思います。

先進の機器を導入した薬局は自動化が進んでおり、薬剤師業務は煩雑な作業から解放され、機器のオペレーションに多くの時間を割いているようです。

処方箋がQRコード化して、リーダーに読ませると数分後に調剤が完了する時期はすぐに来るでしょう。 薬剤師業務はより服薬管理に特化してゆき、さらにはそれもタッチパネルでの質問に患者がタッチして応えるようにすることは可能だと思います。

一方医師の診察もモニターを見ながら問診される診察は、機械が問診項目を質問して患者がタッチパネルにダッチして診察を進めることは可能で、検査項目データの経歴を持っていれば機械の診断が人の診断を上回るより正確である可能性も出てきます。
チェスでも機械が人に勝つようになったのですから。

現実は一般薬のネット販売について厚生労働省が最高裁判決を無視して一部規制を残そうとしており、族議員は前回の診療報酬改定で大病院が加算されたから今回からクリニックの診療報酬をと言っています。
クリニックの診療はいわゆるホームドクターの世界ですからそんなに点数が必要なら上げればよい、国の借金が一千数百兆円の時代にヨーロッパ車に乗り高収入を享受する医者の所得増に貢献すればよいと思うのですが、負担するのは国民ですから負担割合を4割にすればよい、機械問診や診察を点数化すればよいと思います。 不安を感じる医者に診察してもらうのであれば機械に判定してもらい、それでも不安なら大病院の専門医というのが今後の姿になるかもしれません。

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郵便局

郵便事業は5年ぶりに黒字転換したと11月3日の日本経済新聞に記載されていました。 2012年の郵便物数は189億通、5年前と比べて30億通減っているそうで、その原因は電子メールの普及とのことです。 であれば今後5年でさらに減少するでしょう。

会社には多くの郵便物が送付されてきます。 たまたま私の机にある直近の郵便物は大阪府薬剤師会の会報、いつもかなり立派な会報が届けられますが、読むことはほとんどありません。 理由は私が薬剤師ではなく新薬紹介や薬学の論文、薬剤師会活動報告などです。 熱心に読んでいる人の話を聞いたことがなく、上質紙を使い500円の定価表示までしていて発刊の意味を疑います。

なぜなら薬剤師の殆どはネット環境にあり、新薬情報などはメーカーホームページなどから入手しています。 一方で薬剤師会の会費が高くなっています。

次に介護ベットメーカー会報で、介護ベッドにかかわる医療関係者や事業者の談話が中心で、私も取材を受けたことがありますが載せてやっている感があります。 私はこちらも見ることはありません。 自分の掲載記事ですら関心がなく、コピーライター、プロカメラマンで最悪の文章と写真が掲載されていました。 そういう風に取り上げられることを良しとする人がまだ多いのでしょう。

3通目は銀行からでNISAの広告です。 残念ながら私はすべて廃棄しました。 個人の偏った意見として、ほとんど価値のない出版物で、この3通の出版物だけで年間数億円の支出でしょう。 さらに紙の原料としての森林が失われてゆきます。 と言えはいかにも環境保全を心掛けているように見えますが、私はまだ新聞を電子版に変えていません。

薬剤師会も介護ベットの会社も医療・介護の業界もどちらかと言えは体質が古く、紙媒体に依存するのでしょう。 薬剤師会会報記事が有益であればホームページで開示すればよく、やがてはそのようになるでしょう。

日本の生産性が海外に比べて低いのは意外にこのような保守的な刊行物も寄与しているのかもしれません。 生産性の計算がどのようになされるのか知りませんが、GDPと利益分配の比率と考えれば薬剤師会の会費を下げて会報の出版をやめると薬剤師の生産性は上がるでしょう。 もちろん出版業界の生産は減少するでしょうが、生産性なら上がって行くと思います。

生産性を向上させるために不要な出版物を減少させると一つに情報収集に困ります。 NISAが何か調べたいとき、ネットで検索をかけると宣伝も含め数万の記事が出てきて、本当に知りたいことがどこにあるのかわかりにくいという問題です。 検索機能の発達は目を見張るものがありますが、サイトの管理人がいて有料の情報提供をすれば紙の情報提供が減少しても大きな問題にならないと思います。

たとえば新聞がすべて電子版になるとか、図書館の蔵書がすべて電子書籍に置き換わるとか、今ある技術の使い方を整理してゆけば郵便局も違った事業形態になると思います。

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失業率&新卒離職率

10月29日の日本経済新聞によると大卒の31%が3年以内に離職し、前年度より離職率が2.2%上昇したそうです。 3年前がリーマンショック直後の新卒採用が低迷した時期で、職場環境の厳しい企業にやむなく就職した新卒者が離職し、結果的に離職者が増加したと評価されています。

当社は中小零細企業、最近3年間の大卒離職者が当社の最近の採用者には含まれています。 そして優秀な人も多く、優秀な新卒離職者のおこぼれに預かっています。

大企業等新卒者に人気の企業は優秀な人材が多く集まってくるもので、そもそも当社のような中小企業には応募すらあまりありません。

そこで社員教育に力を入れ、社会能力にたけていない、つまりはまり優秀でない中途採用者を鍛え上げようとすると書いてしまうと最近入社した人から「おれたちは落ちこぼれか」と怒られそうですが、そもそも一番就職しやすい時期に人気企業に就職できなかったという意味でいま人生のリベンジをしているのでしょうと言い返したくなります。

そもそも人気企業に就職できた人はすべてではないにしても目的意識を持ち、学業に励んで社会適応力を鍛え上げてきた人で、そのこと自体を批判する意味はありません。

社員教育で社員の質が上がるわけではなく、そもそも向上心を持てるかどうか、結果的に人質が上げられるのは本人の問題です。 本人がその気にならないのなら社員教育の時間は意味がありません。

その気は本人の価値観、これは教育の問題ではなくかなりの部分は幼児期の体験が多いのではないかと思います。 親の愛情をたくさん受けて育った人であるとか親が教育熱心とかそういう環境で一意に決まらないところが不思議なところです。

そして本人の履歴書は転職だらけでもその腹括りができて活躍している人は当社でも何人もおられます。 人気企業に就職して逆に嫌気がさし、離職する人も多いわけですが、そういう人も転職をきっかけに考えを変えられるかもしれません
しかしやっぱり本人の問題で、転職などの環境変化に頼り転職を繰り返すより考える癖をつけるほうが腹括りには必要と思います。

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若年者雇用

若い世代の失業が問題になっています。 厚生労働省は企業から徴収したお金を若年者雇用促進の助成金にしています。 そもそも若年者=20歳前後の世代ですが、なぜ失業率が高いかという疑問に日本経済新聞のコラムが解説しています。

若年者が離職して新たな仕事を見つける頻度が高いからで、2012年「雇用動向調査」による2012年1年間の男性離職率は14.8%、19歳以下は37.8%、20~24歳は24.1%、25~29歳は14.7%だそうです。

別の調査では中・高・大学卒業者が3年以内に離職した割合は64.2%、35.7%、28.8%といずれも高い値を示しています。 コラムは若い人が若いが故に転職できるので自分に合わない仕事に就いた時は離職して自分に合う仕事を見つけるので離職自体は問題ではないと解説しています。

その評価はそれで正しいのでしょうが、当社を応募してくる若年者で履歴書に書けないほど転職している人がいます。 それぞれ理由があるようですが、転職に傾向がなかったり、多くの仕事を経験してきた中で語るべきことが薄かったり、不満だったり、何か掴んでから次の仕事に向かうべきでは、辞めるなら辞めがいというかまた経験を積み増して自分の糧にできる世代であるがゆえに残念に思うことがあります。

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半沢直樹

悪評高い銀行から熱心に融資を持ちかけられ、断り続けていたときに担当する若い行員がこのドラマについて「銀行てなんなんでしょうね、最近見たTVドラマで考えさせられました」というようなことを別れ際につぶやいていました。
立派な体格の脳みそまで筋肉でできているような人ですが、愁いを漂わせて言われると『じゃ見てみよう』と思いました。

見て最初の印象は善悪の構図がはっきりしすぎている、抜群のキャスティングであるが表情表現が極端で漫画チック、ひょっとして金融監督庁に恨みを抱いているのでは、といったところでしょうか。

最後の評価は損害保険会社の職員が同庁のいじめともいえる行政指導におそらく徹夜の作業、それも意味のないことをやらされて憤懣やるかたなかったのでしょう。

われわれ医療・介護系も全く同じで、厚労省に意味のない作業を延々押し付けられ、毎年のように複雑化してゆき、官僚もそのうち理解できなくなるのではと思われるような体系を作り出します。 そして殺し文句が「あなた自身を守るために言っているのですよ」である。 一部の不正・不具合がマスコミに取り上げられ、それを調査して不正業者を排除するのではなくエビデンスを複雑にする、官僚のやり口は皆同じといったところでしょうか。
できれば厚労省に恨みを抱く作家が医療介護事業者の『倍返し』作品をドラマ化してくれれば高い視聴率を達成できるし、我々も少しは溜飲が下がる思いです。

話は当社への融資の話に戻って、当社には資金需要がないのでいらないと言っているのに借りろという。 資金需要のない企業に金を貸すのが銀行の仕事か、では資金が必要なときには貸しはがしするんだろうな?
と嫌味を言いますが、ほとんど応えていません。 応えていないのは半沢直樹の話をした担当の上司です。

半沢直樹の評価をネットでみると「働くことの尊さ、正しいことを主張する勇気」が今の時代に受けているとのことです。 時代を読んで制作したといったのは『風立ちぬ』の宮崎駿氏であったが、「働くことの尊さ」はそうかもしれないと思う半面、「正しいことを主張する勇気」が時代を反映しているのか感じることができません。

自分がサラリーマンをしていた時に「ある取引先が不渡りを出すのでその瞬間に立ち会って来い」という不可解な出張の指示が出たときです。 そもそも不渡りが出るその日にのこのこ出て行って何をしろというのか、わかりませんでした。 たとえばグレーな金融業者から借金していれば手当たり次第に資産を持ち帰るでしょう。 私は格闘技に通じておらず、そのような輩が来てもどうすることもできませんが、とりあえず担当営業と工場に入り、武器になるようものを手に持って照明の消えた工場の中を見て回りました。

当社の貸与資産があるということなのでそこに行くと何もありません。 担当営業に「なぜないのか?」、「以前は此処に置いてあったのですが」ととぼけます。 私ははなから無償貸与資産の存在には否定的で、無償貸与したのは金銭だと思っていました。 そもそも倒産し、会社が更生する道は絶たれ、管財人もすぐに決まるとのことでしたので無償貸与資産でなく、金銭貸付であっても大差がありません。 額面通りの資産であればそれに市場価値がなく、金銭消費貸借であっても清算価値がほぼない倒産ですから配当は殆どありません。 しかし営業担当の見え透いた態度に腹が立ち、帰社後その通りに報告書を上げました。

社長が担当部長を呼び、担当部長は開き直って退職しました。 後にその営業フロアに私が行くと皆視線を外します。 真実を言えば部長の首が飛び、引き金を引いたものは村八分、そもそも組織的に行っていたわけです。

半沢直樹との違いは半沢直樹には多くの味方がいた、当時の私には味方がいなかった、やめた会社に全く未練はありませんが、その会社はいまだに残っています。 半沢直樹のドラマの視聴率が高いのは日本的チームワークや仲間との連携、勧善懲悪的なものではと思いました。

ところが最終回でどんでん返しがあり、主人公は不正を暴くことに成功するのですが、信頼していた頭取からもらった辞令は左遷でした。 日本的村社会では目立つスーパーヒーローは追いやられるようです。 なまじハッピーエンドを期待した私には苦い思い出がよみがえりました。

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