監査役BLOG

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会社運営

[会社運営]

新規事業

当社の事業は医療・介護保険にかかわる事業です。 面接で志望動機を聞くと『市場規模が拡大する事業分野だから』と答えが返ってきます。 確かに無くなることはありません。 人が病気や要介護になる限り、保険制度がある限り、無くなることのない事業分野です。

しかし徴収された保険料と税金の補填、自己負担で運営されている保険制度で賄われる金額は膨大で、年々膨らんで行っています。 総額でいえば約50兆円、国の借金が国債発行残を含め1200兆円になり、今のままで制度維持が難しくなっています。

今まで制度改定の時期になると厚生労働省が検討してきたことを小出しにして、反応を見ていました。 財務省から予算を減らす圧力がかかって制度変更を行ってきたのですが、最近は財務省からこの制度をこのように変えてはという変更内容の指摘があるようです。

内容はともかく、お金がないのだから変更せざるを得ないわけですから『市場規模が拡大するから』と楽観できません。 もちろんすぐに無くなるものではありませんが、内容はどんどん変わって行くでしょう。 仮に医療・介護の保険制度がなく、全額自己負担なら高齢者の多重診療は殆どなくなり、高齢者が介護サービスを使う頻度は激減するでしょう。

例えば処方箋が出て、薬は病院やクリニックで調剤されることでそれなりの医療保健点数がつくようになれば門前薬局は激減するようになります。 高齢者介護の自己負担割合が1割から3割になれば介護サービスは激減します。 そのような施策について功罪があるので劇的な制度改正は行われませんが、ジェネリック使用割合を80%にする方針は10年前には考えられなかったことです。

会社運営をする中で毎期の業績を追求するのは当たり前として、どこの会社も10年先を考えています。 当社も同様で10年先も無くならないが大きく様変わりする事業は当社で継続できるかどうかわかりません。

介護用ベッドや車いすは無くなり、高齢者がガンダムのようなロボットスーツをまとうようになるかもしれません。 我々の仕事はロボットスーツのメンテナンス・配送になりますのでロボットメーカーがこの分野を担うようになるかもしれません。

そこで10年先を見越して今から何を手掛けてゆけばよいか、未来予測の本をいくつも読んでみました。 必ず出てくるのが人工知能AIの活用です。 インプット・アウトプットの関係が比較的単純な仕事は機械に置き換わるというものですが、以前にも書いたように税理士業務などはかなりの部分AIに代替されると予測されています。 なくならないのは相談業務、経費を使い何かを買った会計処理は単純ですが、今の財務状況で、または一般的に営業車両など資産を買うよりリースで賄うとアドバイスするとかです。

調剤薬局で調剤業務はAIの性能アップを待つまでもなく自動化は現在の技術で可能です。 機械・装置が大きくなり、高額でもあるので現在の調剤薬局の規模では過剰投資になってしまいますが、アマゾンの物流センターであれば投資も設置も可能で、処方箋が来てから数時間内に薬が手元に届くことが可能です。

現行制度の問題を無視すれば服薬指導はテレビ電話システムやメールの問診にこたえることで可能になります。 その受け手は薬剤師ですが、問診内容をAIが薬剤師に代わって行う可能性は否定できません。 薬剤師の役割はAIソフトの改善や新薬研究などになってきますが、新薬開発では一部AIが利用が始まっています。

現在の職業のかなりの部分は様変わりしてゆき、一体何を新規事業にすればよいかわからなくなってきます。

実際の事業運営を考えた時にすぐに劇的変化が起こるわけではないので、変化のプロセスを追う事になるでしょう。 30年ほど前に初めて携帯電話を見た時、現在のスマートフォンを誰も想像しなかったでしょうし、その頃初めてインターネットショッピングモールを熱く語った友人を思い出します。

現実にはスマホもネットショップも30年後の現在でも固定電話や店舗販売を完全に排除していませんが、かなりの部分代替してきたと思います。 私同様高齢の人は固定電話を使い、店で買い物をしています。 その利便性を受けるのは人ですから、世代交代と共に変化が進むのでしょう。

ちなみに私の母親は90歳前ですが、毎日安否確認の電話を始めました。 最初は固定電話にしていたのですが、最近携帯を持つようになり、携帯にかけています。 電話のそばにいなくても電話に出る事が出来るので携帯が便利だと母もすぐに理解しました。

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[会社運営]

凡事徹底

組織は統一性を求めるがゆえに理念やスローガンを作る。 当社においても『凡事徹底』が浸透しました。

煩雑な制度ビジネスを行っている中で、業務の多くは凡事といえる定型作業です。 それを完璧に実行していないとルール違反として処罰されます。

凡事徹底はその意味で的を得たスローガンで、浸透してから凡事が徹底されたかというと徹底されないことが多く出てきました。 しかし、凡事を徹底しなければいけないということから、徹底されていない凡事に焦点が当たり、徹底を促された効果はありました。

そのようにして凡事が徹底してゆく中で、凡事の意味が拡大解釈され、非凡を徹底しようとする風潮があります。

凡事徹底は地味で革新的ではありません。 徹底されたときに問題の芽がなくなっただけで当たり前の状態になっただけの事、営業であれば基本ができたので拡販に向け、いろいろ考えそれを徹底しようという動きが出てきました。

徹底の独り歩きです。 最初に解説しましたように組織は統一性を求めるもの、徹底はそれに合致した言葉です。 会社という大きな組織の中で個別の組織単位でこれを行うことは場合によっては反会社的行為といえます。

会社全体のスローガンを補填する意味での戦略や方針の徹底は好ましいのですが、会社の方針や社会常識を無視したスローガンの徹底は問題となります。

このように言えば私が保守反動であるように見えますが、人の組織には説明しにくい良識、しきたり、掟があり、それを継続して無視することは出来ません。 それがビジネスモデルでも人事評価でもそうで、世の中で生き残れる革新的なことはそう多くはありません。

しかし、常識で反対意見を納得させることは難しく、非常識的選択が問題となるまで我慢して様子を見なければならないことが多くあります。 いきなり『ダメ!』と言ってしまうと新しい意見まで殺してしまいます。

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[会社運営]

[言葉]

イライラの原因

私の仕事のやり方は一つの事に集中すること、つまりは同時に複数の事をバランスよくこなせないことです。 良きも悪しきもそれが自分のスタイルで、若い時より少しはましになったものの概ね変わりません。

会社では同時に多くの課題が発生して、それぞれの組織長が課題に対処しています。 思っていたよりうまく解決できていることもあれば思った通りに失敗していることもあります。

大きな問題や現場から支援要請があると一緒になって対処しますが、多くの場合、当社管理職の皆さんは責任感からかほぼすべて自分で解決しようとします。

一部の管理職は私に支援要請したばかりに話をこじらせ、私の耳に入らないように隠蔽する、これは言葉が悪いので表面化するまでに対処し、解決してから報告が来たりします。

私としては楽な経営者と高をくくって、もしくは自分はあまり役に立たず期待されていないとすねながらお気楽に過ごしていて、ふと現場の問題に触れた時、『えらいこっちゃ、とんでもないことになった』と悲嘆に暮れてしまいます。 落ち込んだ状態で周囲を見ると問題だらけ、解決する問題より起こる問題の方がずっと多い、『あっちも、こっちも、こっちでまた』と目に入り耳に聞こえてきます。

一つに気が付いたなら何とかしようと努力しますが、同時多発ではイライラするばかりで手の打ちようがありません。 それぞれの管理職に問題の原因と対処を聞き、ますます深刻になります。

A氏とB氏が反目して業務に支障をきたしている、C氏は管理職昇格を辞退した、D氏は退職の意向がある、ええい、手の打ちようはないわい、次々起こる問題にイライラは募るばかりです。

TVのドラマで同じようなシーンがあり、私の比ではない深刻な問題が主人公の周りで次々起こり、主人公は問題に引きずり込まれ、誤解され、陰口をたたかれたり、恨まれたり散々な目にあいます。

ある主人公は次々起こる問題に精一杯挑み、次々解決しますがこれでもかと問題が起こります。 ドラマだからいいもんの現実なら大変なことです。 別のドラマで同じような状況におかれた主人公は沈黙を守り、うろたえることなく静観し、本質的な原因を取り除き、すべての問題がすべて収束するのを静かに見守ります。

大変格好よくスマートで、『そんな上手くいくものか!』と思いますが、どちらの主人公にも憧れることになります。 当然作者や演出家はチープな意図を恥じらいもなく表現し、愚かな私は其れにどっぷりはまってしまいます。

しかし翌日会社で新たな問題に触れた瞬間、イライラは頂点に達し、時によっては激高します。

ドラッカーはこれらの対処について『問題を解決したとしても元の状態に戻っただけである』と冷静に判断しています。 目の霞に聞くといわれるブルーベリーのサプリメントを飲んで霞が和らいだとしてももともとも以上の視力に戻るわけではありません。 せいぜい霞が取れる程度、といっています。

会社の中の問題は解決するに越したことはないのですが、殆どが些細なこと、静観し多発する問題の根本原因を見極めなければ個別の問題対処はもぐら叩きになってしまいます。

自分がふともぐら叩きになっていることに気付き、ひどく落ち込むことがあります。 わかっているけど静観できない愚かな自分かいます。

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[会社運営]

[価値観]

時間管理

当社の管理職と就労時間、つまりは残業の多さについて話していました。 ある幹部職員の長時間就労が話題でした。 管理職なので本人が残業していても休日出勤していても残業代が支払われることはありません。 だから長時間勤務はどうなのか、という話ではなく、長時間すぎて健康を損なうのではないか、という心配からです。

本人には何度も何度も顔を合わせるたびにそのことを伝えますし、必要な打ち合わせも瞬時に終わらせるようにしています。

彼の仕事は無から何かを作り出すような仕事、薬局業界で大手以外では珍しい営業の仕事をしています。 初めの一年はなかなか成果が上がりませんでしたが、いろいろ工夫し、毎回違う形で大きな実績をあげるようになりました。 つまり人脈形成に1年かけて、広い人脈が相互作用で当社への貢献につながったわけですが、継続取引ではないので毎回違った切り口の商談を作り出すという離れ業をやっています。

広い人脈を維持するうえで毎晩の会食が時間外の仕事を増やしています。

一般の営業職もやはり残業時間が長く、残業短縮に向けて様々な取り組みを行っていますが、こちらは活動内容がある程度定型化できるので、効率化が可能だと思います。 此処での効率化はコミュニケーションスキルであったり、時間管理であったり、事務処理のIT化や分業など方法が見えていて、徐々に成果が表れています。

営業の効率化は、営業の管理職が仕事の進め方について本人スキルが高まるように指示することが多いと思います。 営業職が行うべき業務を分解して、その一部をこのようにしなさいということになるので、営業職でありながら定型作業の遂行に近くなってゆきます。 したがってやらされてる感が話題になったりします。

好き勝手にスケジュールを立て、自分の考えた方法で実績を上げ、実績がそのまま評価につながるわけですから一種自営業のやりがいがあります。

前出の薬局営業担当者は個人で動き、人間関係を築いてゆくわけですから自己研鑚というスキルアップになります。 ひたすら人間関係を築き続けるのが自己研鑚なのか、それとも落語など話術を磨くのかわかりませんが、当人は日々人脈つくりの結果、机の上には名刺の山が築かれています。

薬局営業担当の長時間就労の話題に区切りがついて、そう言えば他に長時間就労といえば私もですね、と言うとその管理職は笑いながら『経営者は別ですね』と返されました。 経営者も人間、しかし個別具体的ミッションより全体責任を果たすのが仕事の要になりますし、別に何もしなくても誰かに叱られるわけでもないので、オンとオフのけじめがつきにくい職種と言えるでしょう。

しかし経営者も人間、激務をこなす超人もいればゴルフのハンディがシングルと言う人もいます。 結果的にその会社が黒字であればゴルフのハンディがシングルでも問題はないのですが。

私の場合、比較的健康に恵まれているので超人とまでは言わないまでも体調を崩して休むことは何年もありません。 62歳の年齢を思えば恵まれています。 しかし仕事が若い時のようにできるかといえば年相応に老化しており、支障をきたさないために食べること、体を鍛えること、頭を鍛えること、ストレスを発散することにかなりの時間と労力を使っています。

若い営業の人たちもいろいろ工夫し、努力すれば残業も減るのにと思いつつ、薬局営業が自分なら彼ほどできないにしても同じように長時間就労になっていただろうと思います。

結果だけしか評価にならない仕事で、結果が出ない時や結果が見えにくい時の焦りは経験しないとわからないことです。 それに苦しんだものは常に何かをやり続けていなければ不安に耐えきれないのではないでしょうか。 その人に向かって、休んで遊びに行ってこいとはなかなか言えない話です。

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[会社運営]

権限移譲

会社運営で権限委譲が話題になります。 当社においても権限移譲は進めてきましたし、知る限り他社の権限移譲より委譲が進んでいると自負しています。

写真の書籍は米海軍原子力潜水艦艦長の大佐が潜水艦内の軍事行動において権限移譲を図った記録です。

一読してまず印象に残ったことは攻撃型原子力潜水艦の乗員が135名もいることです。 当社はやっと110名、それを上回る人員が海底に長期間潜む潜水艦内にいて、その艦長が権限移譲を図ったというところです。

そもそも原子力潜水艦は武器の中でも大変高価な物で、原子炉まで積載していて操船が複雑で多くの戦闘員のチームワークが必要とされるものだそうです。 それゆえ命令は絶対で、手順は厳守されるのですが、その潜水艦で権限移譲を図ることが奇異に思えて読んだ一冊です。

海軍内でも成績の悪い潜水艦の艦長に就任した筆者が権限移譲を図るわけですが、具体的には部下の休暇願の承認を艦長が行うところを下士官に委譲したことが皮きりで書かれています。 軍隊は米国においても大変官僚的で組織の頂点にいる者に多くの権限を集中させています。 休暇願なら権限移譲も許されるでしょうが、実戦形式の演習であっても各科の責任者が判断し、これから行う事を艦長に報告し、実行するというものです。 たとえば魚雷を発射するとかも艦長の次の役職者が判断し、報告してゆきます。

艦長は自分がいなくても戦闘を維持できる組織づくりを目指したのですが、常に報告を受けて状況を把握しますが、もちろん命令を出さないわけではありません。 二つの興味深いエピソードが書かれていました。 一つは艦長に就任して権限移譲を進めようとしたとき、原子炉を緊急停止する訓練で、バッテリーで推進する速度を全速力の1/3から2/3にあげる指示をこの艦長が出しました。 副長が操舵手に命令を復唱しましたが操舵手は機関担当に指示を出しません。 不審に思った艦長が「なぜか」と聞くと副長は艦長の命令を復唱するのは当然と答え、操舵手は2/3の速度設定が選択できないので機関に指示を出せないと答えたそうです。 艦長は知識の不足からできない命令を出したことになります。 艦長はこれを機会に自分が命令を出すのは極力止めようと思ったそうです。

もう一つのエピソードは権限移譲が十分に定着した時、艦長がレーダーを見誤って後退の指示を出した時に航海長が『艦長間違っています』と指摘したことです。

皆が権限を委譲されると自らの責任において臨機に対応を求められるので、モチベーションが上がるのはもちろんの事、いろいろ想定して勉強をしなくてはなりません。 乗員の向上心が高まり昇進試験の昇進率は格段に上がり、演習の成績も何度もトップを取ったそうです。

7つの習慣で有名になったコービィ博士も見学のために乗艦したそうですが、軍隊ですらこんなに変化しているのに日本の企業において身内の覇権争いなど組織運営の時代錯誤を感じました。

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[会社運営]

自ら動く

私は同業他社や仕入れ先の管理職の人、異業種の経営者と話す機会が多くあります。 ある会社を訪問した時、何か質問すると社長をはじめ幹部の人が並んでいて質問の内容に的確にこたえられる立場の人が社長の方を見ています。 社長がその人に答えるよう指示を出すまで待つか、しばらく沈黙があればその幹部の人が答え始めます。

逆の場合、つまり当社も幹部が並んでいて対峙しているとき、当社に向けられた質問に対して一番的確に答えられる人がすぐに話し始めます。 誰が的確か判断がつかない時は私が答えるか誰かを指名します。

相手から見れば私はあまり話さない経営者か会社のことを語れない経営者に映るかもしれません。 こちらから見ると相手会社の社長はワンマンということになります。

会社が一貫性をもって事業運営にあたり、目指す方向性がその事業分野で妥当な場合、職員が皆目指す方向に向けて考え、工夫し最善を尽くす組織が効率が良く、高い業績を上げるものと思われます。 最近話題になった企業ではリッツカールトンホテル、企業の方向性はクレドに集約され、クレドに沿って多くのエピソードが紹介されていて、研究したわけではありませんが紹介する経営書が多いところを見ると業績は良いのでしょう。 東京ディズニーランドも良く紹介されています。

その次に業績を上げられる組織はトップが強力にリーダーシップを果たしている場合です。 そして職員が皆トップの指示に完全に従う組織です。 世間にはこのタイプで成功している企業が多くあるはずですが、私が話題として聞くのは日本電産の永守社長、ニッサンのゴーン社長、京セラの稲盛会長、スズキ自動車の鈴木会長などトップの個人名が話題になる企業です。

どちらが優れているというわけではありませんが、最近注目されるのは前者の方と思います。 そして当社もそれを目指しているわけですが、それは何かを参考にしたわけではなく会社の規模が大きくなる中で管理職を育てなければならない時期が長く続いたこと、私自身、指示を出すことで人を育てることを良しとしなかったことによります。

職員が10人いてそれぞれ現場を50件抱えていれば500件の現場があり、それを管理することはできません。 できることは報告、連絡、相談、一方私にはそれぞれの業務について指針を出すという仕事があります。 報告、連絡、相談を受けているとその人が何を気にして何に注意を払っているか見えてきます。 もし大きく欠落している視点があれば質問をします。

たとえば売上高を最大にすることに注力している人は利益率をおろそかにします。 「利益率についてどのように考えているのか?」と質問します。 答えを聞くとなにを考えているか透けて見えます。 できることをやっていないことにより利益率が低くなっているならこの質問だけでその人は利益率を考えるようになります。 「利益率を上げる工夫をしろ、例えばこういうふうに」と言ってしまうのは簡単な場合も多いですが、本人が考えることが重要なのでそのように言いません。

各取引の利益率一覧を出せば、利益率の低い部署は何か考えるでしょう。 そのような仕組みも必要になってきます。 言わなくても解ることは言わない、しかし欠けている視点があれば質問することを繰り返すと相手から「いつも謎かけをされていて、意図が見えない」と言われてしまいます。 つまり質問の中には私がこうした方が良いのではという意図が準備できていない場合があり、結果に不満ならその結果が導き出されたプロセスについて質問します。 こちらもよくわかっていないわけですから。

このようなやり方を人に説明するとき、「私は権限移譲を図っています」と表現しますが完全な説明ではないようです。

最近読んでいるアドラーの解説で「「ほめるな 叱るな 教えるな」というのがありました。 読んでいてこれが近いのかと思っていますが、会社という組織には生い立ち、風土、規模、事業ドメインなどあり、その会社が成長期とか現在のステージもあり、バリエーションが多様です。 何が一番良いのか、それはその組織が何を目指すかにもよりますが、仮に規模拡大期であればそれに沿ったやり方が別にあるかもしれません。

私もあまりほめることはしません。 『すごいな、よかったな』と共感することはあります。 『教えるな』はその通り、結果を求める質問ではどのようにすれば結果が判るか、調べる方法は教えることがあります。 しかし答えそのものを教えてしまうと次に同じ質問をしてきたときにまた教えなければなりません。

このように書いてくると私が何か皆より優れているような印象を持たれるかもしれませんが、逆で年齢や経験を除けば皆私より優れているように見えてしまうのが事実です。 若い人の考えは新鮮で、それぞれの集中力・達成力にも驚かされることが多いのです。 私としては感心ばかりしていては仕方がないので、自分に取り込み彼らと同じ視線で話ができるように努力するしかないのです。

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[人間関係]

[会社運営]

組織と人

当社は従業員がやっと100人を超えたところですが、事業を行う拠点は8箇所に分散しています。 一番人数の多いところは25人ほど、一番少ないところは5人、それぞれに責任者がいて組織をまとめています。

うまく運営されている事業所は組織の長のマネジメント能力が高く、まとまっていないところは逆といえるかもしれません。

もちろんマネジメントの優劣はもちろんの事、そこの構成メンバーに問題のある人がいればまとまりはさらに悪くなります。

店舗などお客様の出入りが多いところは組織人として問題のある人もそれなりに働いています。 衆人監視の行き届かないところは見えないところでさぼったり会社批判したり、問題行動を起こします。

そのような問題のある人がなぜ会社を辞めないのか不思議に思えます。 そもそも不満があるのなら不満の無い職場に転職すればよいわけで、どこにいても不満だらけなら自分の価値観に問題があると考えを改める必要があります。 百歩譲って、会社に問題がある場合、つまり会社批判が正当なら上長に言えばよいわけです。

このような話は珍しくもなく、その対応も古くから研究されてきました。 一つはその人に将来展望を持ってもらうこと、将来このように目標を達成してゆけば良い評価を得られるでしょう。 しかし将来展望を持ってもらうのは人によっては至難の業です。

次に監視を強化し、問題行動を指摘し注意することです。 教育的効果は限定的です。 そもそも問題行動を繰り返す人が考えを改める可能性が低すぎるわけです。 何とか引き上げようとしても改善するかどうかは本人次第、関与する管理職が疲弊してしまいます。

弁護士に相談するといろいろ方法を教えてくれますが、外部を頼って荒治療するのは最終手段になります。

私は最善の策として常に毅然とした態度を心掛けています。 これらの問題は『いじめ』や『愉快犯』と同じで、揺さぶりに動揺することなく徹底して対処しなければなりません。

少し利口な人で問題行動を起こす人は自らの考え方が明るみになった時に大抵は辞めてゆきました。 あまり利口でない人はなかなか辞めてゆきません。 もちろん考えを変えることもしません。 最後は日本の法律が改善するのを待つより仕方がありません。

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[人間関係]

[会社運営]

ガンコ

会社運営でうまく事が運ばない局面の一つに、重要な局面で意思の統一が上手く行かず、いつまでも決定できなかったり、無理やり決定して関係する(決定に従い実行する)メンバーが決定に忠実に従わない場合である。

後者の例でいえば営業部で個別の戦術、例えば今月はこの商材のデモを徹底して行うと店長から指示が出た時、個々の営業者はいろいろ考える。 付加される営業の課題なので熱心に行わない、自分の取引先のほんの一部しかデモを行わない、その中で一つでもデモに価値がない意見が出たらそれを一般化しようとする、等である。

その商材が現場で20%しか評価されないとすると10回デモを行って2回が有効となる訳ですが、デモ企画に何らかの理由で後ろ向きの営業は初めの数回で嫌気がさし、さらにデモを行ったとしてもその商材の自らの評価も下げているのでデモのトークに熱が入りません。

そもそもすべてのユーザーに受け入れる商材はほとんどない訳です。 2割のユーザーだけが評価すると考えるかこの商材は2割ものユーザーから評価されると考えるかで大きく異なります。 何万点と商材がある中で2割の支持は圧倒的です。

仮に評価割合が1%であった場合、当社の商売としても低ければその商材のデモを繰り返すことはその商材の販売という点で価値は低いでしょう。 しかし商材デモは市場で何が評価されるか見極めのために必要です。
指示を出した店長にとってもデモを行った営業者にとっても商売の感性を磨く点で重要です。

人の気持ちは常に柔軟でも素直でもありません。 柔軟で素直な心の人がこの事例のような場合に小さな成功を収めていきます。 柔軟さや素直さを阻害するものは予断(この商材はダメだと思い込むこと)、徒労感(デモのやり方が下手でデモを行っても相手の歓心が得られないなど)、プライドなどです。

実は自分は別の商材の方が市場で評価されると思っていたり自分は営業として高い技能を持っているのでほかのやり方を行った方が良いと過信し、それを貫くことで良い結果をもたらすことがあります。 意地を張る場合です。 その結果を否定はしませんが、そこまで営業に自信があれば他の営業がデモを行ってその商材が2割の支持の時、その人は2割以上の支持を得られるはずです。

現実の場面でも指示にしたかって予断を持たずデモを行っている人は確実に実績を出していて、指示に従わなかった人は殆ど全員が結果を出せていません。

店長の役割はこの戦術に従わせること、しかも素直に、ということになりますからこの場面の例では簡単な役割に見えます。 しかし素直に(個々人のガンコを排して)支持に従わせることは至難の業です。

ある人はいろいろなデータから科学的な営業手法を開示し、自分への信頼感を高めようとしますし別の人は人事考課で露骨に差を付けようとします。 古来いろいろな組織の人心掌握方法が編み出され来ました。 結論から言うと決定打はありません。

指示に従わないことへの恐怖心は組織運営にとって必要ですが、恐怖心は抱くもので抱かせるものではありません。(少なくとも会社運営では) 科学的に説明は常に科学的に見えるほど管理職は営業の科学者ではありませんし、感じたことを科学的に説明するのが難しいものです。

結局話をよく聞き、まめに多面的説明・注意を繰り返すことが効果的に思えます。 自分の部下が皆素直と思うのはそうであるべきとの管理者の予断、皆悪意に満ちているというのもそう考えるほうにそもそも問題を感じます。

私のお勧めは自ら徹底的に素直になることです。

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[会社運営]

情報交換

同業他社と情報交換をするため、介護機器の卸にお願いして同業他社を紹介していただき、面談してきました。

介護保険制度は原則は全国一律制度、ところが貸与事業一つとってもやり方はいろいろ、もちろん競合しない他府県であっても本音の話は出ません。 ただどのように事業運営しているのかはある程度予想できます。

同業他社との情報交換は毎年行っており、今年で5回目になります。 今まで都市部の同業との意見交換を目指して東京・愛知・広島・京都と行きましたが、今回は郊外の都市で営まれている字義容赦の方にお会いしてきました。

長野県のある地方都市、人口で10万人前後の都市ですがここで手広く介護事業を営んでおられる事業者様です。 短期間で採用を重ね、多くの職員を抱え、ほとんどの決裁を社長自ら行う様子はまさにカリスマと言うべきでしょうか、私の場合権限移譲を進める中で方向性の相談はたまに受けますが個別の決裁は皆無に近く、マネのしようもありません。

しかし、会社運営のやり方はそれぞれ一長一短があり、最後の質問で資金の投資は何に行うがと言う質問に『人材育成しか考えていません』と答えましたが、高齢者施設を運営したりされている経営者にとって投資は施設であり機器でありという考えのようであまり理解してもらえなかったようです。

人材育成にどれほどコストがかかるのか、社内セミナー、外部セミナーへの参加、それはそれでコストがかかります。 また取引先との懇親会参加もコストと時間がかかります。 しかし一番時間とコストがかかる育成方法は現場を担当させることでしょうか?

たとえば店長候補を店長にするため他店を経験させる、その時に課長としてやらせる、これは実務も行うので単に人事異動で大きなコストがかかりません。 そして次の転勤で店長ということになりますが、黒字の既存店で店長が変わることでその店の業績が一気に赤字転落することもあり得ます。 店長として育てるつもりならこの赤字を投資と考えて耐えねばなりません。

会社として耐えるだけでなく教育効果を狙って本人を育成しなければなりません。 過去には毎月100万円程度の赤字を出し続けた店もありましたが、結局人が育たず、失敗したケースもあります。 仮に毎月100万円の赤字が10ヶ月続いたとして合計1000万円の赤字となりますが、当社の事業構成で一千万円の利益を生むのはなかなか大変です。 しかし人を育てるうえではある程度任せなくてはならず、任せるうえでできるだけ傷が深くならない方法をとらねばなりません。

少し乱暴な事例でしたが、本人が育つには責任を取らせるのが一番と思います。 他社視察に行くにあたって以後の反応を聞いてこの人は何を観察しているのかで投資効率の高い人かどうかを判断しています。

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[会社運営]

将来像委員会

当社の経営理念は『地域に根ざして人の健康と生活を支えます』というものです。

十数年前、まだ従業員が二十数名だったころ、どのような会社か明確にしようと言うことで理念が話題になり作りました。 最初に考えたのは『うちが儲かればいい、うちだけ儲かればいい』というものでした。 当時始めた取締役会で提案して全員に否定されました。

当時は売上が徐々に伸び始めましたが、資金が回らず黒字倒産寸前で、気持ちも切羽詰っていました。 だからこのような理念を提案した当時の自分をいまだに責めるつもりはありません。 後悔することもなく恥じる気持ちもありません。

これだけ聞くと医療・福祉に関する事業に従事していてさもしい事業者と思われるかもしれません。 しかし私は実際の商売において法令順守をし、お客様にとって一番良いと思われる提案をし、結果として売上が年率30%ずつ上昇していた時期でした。 経営が苦しい時に何とかがむしゃらに浮上しようという気持ちが滲んでいて私は好きな言葉です。

しかし人が、顧客が、市場がこの言葉を容認するかといえば否でしょう。 経営者一人の苦しみを組織の看板として標榜することは許されないばかりか的外れですらあります。

文頭に書いた理念はその後職員に不思議に浸透し、経営判断や行動基準の基本として深く根付きました。 しかし、この言葉でよそから見て、会社に帰属してどのような個性の会社か?ということが見えません。 経営戦略は地域密着、医療・介護という点でわかるのですが。

そこで経営理念の更改を決めました。 このブログでも何度も書きましたが、私はすでに61歳であと数年でリタイヤします。 というか現在も実質リタイヤしています。 だからこれからの当社を担う人に作ってもらおう、私はそのことに意見を挟まないでおこうと決心し、ある職員にその考えを託しました。

彼はプロジェクトを立ち上げ、そのメンバーに私も入れてしまいました。 私は意見を挟まないという点で私をメンバーに加えた判断に意見を挟まず、6回に及ぶプロジェクト会議に参加し、積極的に意見も言いました。 私を入れて6名のメンバーははじめバラバラでしたが、人の意見に相互に影響を受け、昨日最終回で大筋のものが決まりました。

今はまだ公表できませんが大変すばらしいもので、さらに言えば毎回出される宿題で、私の考えてきたものはことごとく否定されました。 否定されるたびに「そうなのか、そうなんだ、みんなはそんなことを思っているんだ」と感心ばかりしていました。 もちろん意見を検討するときに私なりに他人の意見を否定することなく自分の意見も展開し、それが違う言葉に編みかえられてゆきます。

結果、思っていたことと似ても似つかぬミッション、ビジョン、バリューがきまり、その中に私が吐いた言葉もちりばめられていました。 それらの言葉の意味合いは経営に携わったものと現場のマネジメントに尽力する人では異なるのでしょうが、共感があり、言葉にハーモニーすら感じられました。

親子ほど違う人たちとこれだけ違う言葉を綴り、互いに共感できたことは多事とって驚きと幸せを感じる瞬間でした。 自分は孤独に仕事をしてきたという思いがみんなにもあり、人に相談できない悩みを抱えて「だから正直に・・・・」と言うのは実はみんなの心の叫びだと気付きました。

こんな小さな会社で、みんなは多くの問題を抱え、困っている人のお世話をする仕事につき、考え抜きながら日々の業務をこなす仲間がいて涙が出ました。 人間は捨てたもんじゃない、そう感じて社内を回るとあちこちで鈍く光る人たちが見えました。

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